★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK23 > 264.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
【天木直人 ニッポン外交の迷走】
2006年6月12日 掲載
外務省出向時から生意気だった村上
本当のワルは他にいる
かつて私が外務省の課長をしていた時、隣の課に通産省(当時)から出向していた生意気な事務官がいた。それが村上世彰だ。ある日突然見知らぬアルバイト嬢がひとり増えたことがあった。皆がいぶかしく思ったのも束の間、それが村上個人の雇った秘書だとわかった。「自分の小遣いで雇ってどこが悪い」と開き直った村上を知っている私は、逮捕前の記者会見で「たまたま知ってしまった」と弁明する村上を見て苦笑せざるを得なかった。
しかし、今度の事件の本質は別のところにある。嫌われ者村上ひとりだけが極悪人ではない。もっと卑劣で悪質な連中が放置されている。
株取引を少しでも経験したことのある者なら株で確実に儲ける唯一の方法がインサイダー取引であることを知っている。できるものなら皆インサイダー情報が欲しい。その情報を得ることができず損を重ねる一般投資家と、「法の支配」の及ばないところで甘い汁を吸い続ける権力者。こんな不公平、不正義が放置されていいはずがない。ヒルズ族の社長たちはもとより、株屋や金貸し連中の多くは捕まらなくてはならない。選挙が近づくと怪しげな値動きをする「政治銘柄」こそ、黙認された官製インサイダー取引ではないのか。あのホリエモン騒動にしても、寝耳に水で大損をさせられた一般投資家を尻目に、東京地検の動きを事前に知らされていた権力者とその周辺はストップ安の前に売り逃げているはずだ。
許しがたいのは、やたらとテレビに出て正義面でコメントする元検察幹部連中だ。彼らは時の権力に迎合して正義を曲げたことはなかったか。検事を辞めた後に犯罪企業の用心棒に成り下がっている己を恥ずかしいと思わないのか。調査活動費横領という組織的犯罪を隠蔽し続けているのではないのか。
歪曲された「法の支配」に最も守られているのはこの国の首相だ。自衛隊をイラクへ派遣して米国に加担する小泉首相は、それでも憲法違反、自衛隊法違反を犯していないというのか。無辜(むこ)の子供や妊婦までも無差別に殺害するブッシュ大統領はれっきとした戦争犯罪者である。そのブッシュ大統領に追従する小泉首相は共犯者ではないのか。それなのに法の番人であるこの国の裁判官は誰一人としてイラク訴訟を審理しようとしない。
この国の歪んだ「法の支配」の前には、村上の犯罪などはほとんど冗談だ。
●あまき・なおと 元レバノン大使。1947年生まれ、京大法学部中退で外務省入省。イラク戦争に反対する公電を送り、小泉首相の対米追従外交を批判して「勇退」を迫られる。著書に「さらば外務省!」「ウラ読みニッポン」(講談社)など。
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=26822
▼「天木直人 ニッポン外交の迷走」記事一覧へ
http://gendai.net/?m=list&g=syakai&c=020&s=81
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK23掲示板