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【天木直人 ニッポン外交の迷走】 2006年5月29日 掲載
本当は機能不全に陥っている日米関係
小泉外交5年間を総括する時の決まり文句は、「ブッシュ大統領と小泉首相の個人的な信頼関係によって日米関係は最良になった」というものである。本当にそうか。
元NHKワシントン支局長の手嶋龍一氏はサンデー毎日5月21日号でこう喝破している。「今の日本外交において、緊急に再建すべきは対アジア外交ではなくむしろ日米同盟関係だ、小泉対米外交は空洞化が進み、もはや機能不全に陥っている」と――。
その根拠の一例として手嶋氏はブッシュ第2期政権の国務副長官であるゼーリックとわが国の加藤良三・駐米大使が過去1年半もの間にたった1回しかランチをともにしていない疎遠さをあげている。そのほかの幹部大使館員も米国内での人脈を全く構築できていない。最前線で活躍しているはずの外交官がこんな状態でどうして「最良の日米関係」ができるというのか。
手嶋氏に指摘されるまでもなく、実は米国にとって今の日本は存在感のない国になり下がっているのだ。米国人の日本専門家の数は激減しており、米国議員らの日本訪問回数(2000〜2005年の通算)は、中国113回、インド79回、台湾68回などに比較してたった39回と見劣っている。
その一方で、中国と米国との関係が、「最良の日米関係」よりも、急速に充実しつつあるのだ。4月の胡錦涛主席の訪米の際にブッシュ大統領は中国との宇宙共同開発を提案しているし、最近では6月下旬にグアム周辺海域で行う米軍軍事演習に中国軍幹部が招待されている。米中間の最大の懸案である台湾問題に至っては、ゼーリック国務副長官はわざわざ米国議会の公聴会で、「台湾の独立に向けた動きは奨励できない。なぜなら独立は戦争を意味する」と中国の立場を代弁するかのような発言をして陳水扁総統を牽制した。
そんな中でハイド米国下院外交委員長は小泉首相に痛烈なパンチをくらわせた。「いくら訪米しても靖国参拝をやめると宣言しない限り米国議会で演説させてやらないぞ」と下院議長にねじ込んだのだ。
国賓待遇の米国公式訪問で有終の美を飾ろうとする小泉首相と、そのちょうちん記事で忙しい大手メディアよ、どうする?
ポスト小泉の候補者は、「小泉改革の継続」を叫ぶよりも、小泉首相によって壊された対米自主外交を取り戻すことが急務であると心得よ。
●あまき・なおと 元レバノン大使。1947年生まれ、京大法学部中退で外務省入省。イラク戦争に反対する公電を送り、小泉首相の対米追従外交を批判して「勇退」を迫られる。著書に「さらば外務省!」「ウラ読みニッポン」(講談社)など。
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=26550
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