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□カルタゴのような国にしてはいけない [ゲンダイ]
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=26398
【斎藤貴男「二極化・格差社会の真相」】
2006年5月22日掲載
カルタゴのような国にしてはいけない
ローマ帝国にやられた
箕輪登・元郵政相が亡くなった。5月14日、享年82歳。小樽市内での告別焼香には1700人もの人々が駆けつけた。
元外科医で、衆院議員を8期23年務めた。自民党きってのタカ派だったが、引退後、イラクへの自衛隊派兵差し止めを札幌地裁に提訴。地元出身の高遠菜穂子さんらがバグダッドで人質にされた事件では、身代わり志願を武装グループに発信していた。
提訴直後の2004年3月7日、私は東京・渋谷のホテルで、彼に1時間半ほどのインタビューを試みている。掲載を予定していた雑誌に連載を打ち切られ、そのままになっていた取材内容の一端を披露したい。安全保障問題を熟知した老政治家の遺言だ。
――訴訟への思いを。
「このままでは日本が軍事国家にされてしまう。それだけは駄目だ。自衛隊は専守防衛の任務を遂行するためにのみ、武器の保有を認められているのですよ」
――しかし箕輪さんもタカ派でした。
「憲法の前文に偉そうなことが書いてある。だが待てよ、日本が繁栄すれば、どこかの国に狙われるかもしれない。だから専守防衛の限りにおいて、自衛隊は強くなきゃいかん。ローマ帝国にやられたカルタゴのようになってはいけないのです。
自衛隊員からも電話が来ます。自分は日本の防衛に命を捨てるつもりで入隊した。外国で死ねとは言われていない、と」
――今では誰も彼もがイケイケドンドン。
「専守防衛という言葉を作ったのは中曽根さん(康弘・元首相)です。最近は相変わらず“風見鶏”で、参っちゃうね(笑い)。小泉君も石破(茂・前防衛庁長官)も何も勉強していない」
――箕輪さんの立場で、よくぞ国を提訴された。
「僕は国のためにやっている。憲法9条の精神をこそ、むしろ世界に真似してもらわなくちゃ。世界には日本が人道支援するべき国がいくらでもあります。アメリカの軍靴に汚されたまま戦争が続けられている、ソマリアのような。人道支援なら、占領軍の仲間になるのではなく、日本の独立性を保ちながらやるべきだ。
北朝鮮がテポドンをぶっ放してこようが、それはその時にどうするかということでね。先制攻撃は絶対にいけない」
今から3カ月前の2月27日、箕輪さんは札幌地裁の法廷で、日本政府をどう思うかと問われて、こう答えていた。「アメリカの言うことを聞いているだけだ」
せめて遺言に応えたい。合掌――。
●さいとう・たかお 1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「機会不平等」「『非国民』のすすめ」「安心のファシズム」など著書多数。
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