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社説:サマワの自衛隊 安全な撤収への準備怠るな
イラクに正式な政府が発足したことで、治安維持の権限がイラク政府に移譲され多国籍軍がいつどのように撤収するかが大きな焦点になってきた。
そうした中で新政府のマリキ首相がバグダッドを訪問したブレア英首相との会談で、陸上自衛隊が駐留するサマワの治安権限が早ければ6月にも英豪軍から地元治安当局に移譲されるとの見通しを明らかにした。
マリキ首相の見通しどおりになるなら、陸自の駐留部隊は英豪軍とともに7月にも撤収する可能性が出てくる。
派遣部隊は第9次群に代わって群馬県の部隊を中心にした第10次群の計約500人がサマワ入りしつつある。政府が近いうちに撤収の最終判断を下せば、10次群がサマワ駐留の最後の部隊となる。
政府は昨年12月に閣議決定したイラク派遣の基本計画の中に、(1)国民議会選挙や正式政府樹立など政治プロセスの進展(2)現地の治安状況(3)英豪軍など多国籍軍の活動状況・構成の変化−−などの「撤収の条件」を盛り込んだ。
大きな条件である正式政府の発足は予定より半年近く遅れてようやく実現した。新首相がサマワの治安権限の移譲に言及した。サマワの陸自部隊が撤収の準備段階を迎えたことは間違いない。
小泉純一郎首相は陸自の撤収時期について「総合的に判断する」と述べるだけで明言していない。安倍晋三官房長官もマリキ首相の治安権限の移譲に関する発言に対し「まだまだ予断は許さない」とあくまで慎重だ。
政府が神経を使うのは、武装勢力に狙われるなど部隊の撤収が危険を伴うからだ。移動中は待ち伏せを受けやすい。オランダ軍もサマワから撤収時に攻撃を受けた。
サマワはイラクで最も治安が安定した地域の一つだが、他の地域はあちこちでテロや武装組織の攻撃が続いている。陸自の宿営地にロケット砲弾が撃ちこまれたことがある。油断は禁物だ。
陸自の部隊は道路や公共施設の補修などで多い時には1日1000人もの現地人を雇用している。部隊がいなくなると、雇用が確保されなくなる。そのために現地の人たちの不満や反発を招かないように配慮することも必要だ。
陸自が撤収後も、日本はODA(政府開発援助)によって火力発電所建設など復興支援に引き続き全力を挙げることを住民に周知させなければならない。
英豪軍と一緒に撤収しようというのは、帰路の警護を担ってもらうためだ。英豪軍との調整に万全を期してもらいたい。
政府は陸自の撤収後もイラクで航空自衛隊による空輸を継続する方針だ。その空輸活動もイラク復興特別措置法に基づく人道復興支援の枠組みの中で行うのは言うまでもない。
陸自がサマワでの人道復興支援活動に取り組んで2年3カ月になる。この間、隊員に一人の犠牲者も出ていないのは何よりである。
危険が多い撤収に備え危機管理を徹底しなければならない。
毎日新聞 2006年5月24日 0時04分
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20060524k0000m070150000c.html
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