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□社説:4増4減可決 これをどさくさ紛れという [毎日新聞]
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20060520k0000m070159000c.html
社説:4増4減可決 これをどさくさ紛れという
人知れず……という表現がぴったりかもしれない。「共謀罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案をめぐり与野党の対決ムードが高まる中、参院で19日、参院選挙区の1票の格差を是正するため、定数を「4増4減」する公職選挙法改正案が与党と社民党などの賛成多数で可決された。
再三指摘してきたように、「4増4減」案は急場しのぎの策に過ぎない。恐らく賛成した議員も「恥ずかしい」とは思っているはずだ。「共謀罪」対決の陰に隠れ、余り注目を集めなかったのは、むしろ幸いと感じているのではなかろうか。だが、これを世間では、どさくさ紛れというのである。
自公両党が提出した今回の案は参院選挙区の定数について、東京を今の8から10に、千葉も4から6に増やす一方、栃木と群馬はそれぞれ4から2に減らすというものだ。だが、05年国勢調査によれば、この是正では1票の格差が最大5・18倍から4・84倍に縮まるに過ぎない。
最高裁は04年、5倍以上の格差について、9対6で辛くも合憲との判決を下したが、合憲派のうち4人は「現状が漫然と維持されるなら違憲の余地が十分にある」との付帯意見を記している。要するに、参院選が来年夏に迫る中、「ともかく5倍さえ切れば違憲判決は免れるかもしれない」というだけの是正なのだ。
しかも、参院議長の諮問機関で与野党協議を重ねてきたとはいえ、改正案が提出され、委員会で審議したのは、わずか2日という有り様だ。そして参院の話のため、衆院でもほとんど論議もなく可決・成立する見通しが強いという。
言うまでもなく、1人で2人以上の権利を持つのは「法の下における平等」に反する。格差は2倍未満を目指すのが筋である。
民主党は最も人口が少ない鳥取と、次いで少ない島根の両選挙区を合区する案を提案したが退けられた。これでも格差は3倍強になるが、もっと真剣に検討してもよかった。両県の有権者は不満だろうが、憲法には参院議員は「都道府県代表」とは書いてない。「全国民を代表する選挙された議員」と記されているのだ。
だが、民主党も体を張って与党案に反対した節はない。19日は見送られたが、「共謀罪」を与党が強行採決した場合、民主党は他の法案審議もボイコットする方針だったという。ところが、この日は「共謀罪」採決の見通しがついていないというのに、午前中、参院本会議が開かれ、改正案はあっさり可決されてしまった。民主党も与党案を事実上、是認したようなものではないか。
そもそも参院の役割は何か。誰を、どのように選ぶか。与野党とも現状を変えたくないという意識ばかり優先され、根本から問い直す議論もほとんどなかった。参院与野党は次々期参院選を目指し、次こそは「抜本改革」するともいうが、本当にできるのだろうか。このままでは、ますます参院不要論は強まる。そんな危機感がまるで感じられないのだ。
毎日新聞 2006年5月20日 0時18分
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