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□旧山古志村の現状は10年後の日本だ [ゲンダイ]
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=26305
【金子勝の天下の逆襲】
2006年5月16日掲載
旧山古志村の現状は10年後の日本だ
筆者は、今年一年をかけて全国の農山村を回っている。
現在、フリーターや派遣社員など「個人の格差」が社会問題になっているが、これからは「地域間格差」が大きな問題になっていくに違いない。これから日本全体が直面する人口減少、少子高齢化が、最初に押し寄せるのも農山村である。その意味で、農山村こそが日本の未来を暗示する最前線なのだ。
この連休中には、新潟中越地震に直撃された旧山古志村を訪ねた。滞在したのは3日間だったが、仮設住宅や各集落を回り、主だった人たちに話を聞いてきた。分かったことは、新潟中越地震が高齢化と過疎化を加速していることであった。
すでに04年10月の地震から1年半が経っているが、まだ2000世帯以上が仮設住宅に住んでいる。まだ小学校が再建されていないので、子供を抱える世帯は戻りたくても戻れない。学校がなければ、人は住めないのだ。
被害がひどかった地域は、山が大きく崩れ、家はずり落ち、道路は寸断されたままだった。だが、無駄な大規模公共事業を行う余力はない。
複雑なのは、立場や年齢によって旧山古志村に対するスタンスが大きく違うことだ。若者を中心に、もともと長岡市に通勤していた人たちは、村に戻らない人も多くいる。その一方で、仮設住宅に国民年金だけで暮らしている老人は戻りたがっている。これまでコメや野菜など買ったことがなかった。国民年金6万6000円だけでは生活できないのである。老人たちが残る集落は、将来、自然消滅の可能性もある。
旧山古志村は錦鯉で有名だが、大規模にやってきたものは何とかなる。しかし、中小業者は野池が壊れ、農家も棚田のあぜ道が壊れたままで、生活の再建は簡単ではない。「やまこし道楽村」など、新たに特産物を作って再建しようという動きもあって頑張っている。しかし、村落全体が再建できるかどうかは分からない。いま旧山古志村は、人口が急減し共同性も崩れていくかどうかの岐路に立っている。
旧山古志村の姿は、10年後20年後の日本中のどこでも起こりうることで、町や村自体が崩壊してしまう事態を予想させる。確実に過疎化が見通せる農山村を、どう維持するか。モデルが求められている。
小泉改革によって地方交付税の削減が実施され、地方はどんどん荒廃している。「国破れて山河あり」といわれるが、このままでは「山河も荒れ果てる」になりかねない。日本は本当に小国になっていく。【金子勝・慶大教授】
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