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「Winny」による内部データ流出で明らかになった事実(五十嵐仁の転成仁語 5月17日)
http://www.asyura2.com/0601/senkyo22/msg/194.html
投稿者 gataro 日時 2006 年 5 月 18 日 17:51:43: KbIx4LOvH6Ccw
 

5月17日(水)
http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm から転載。

(総連と民団のトップ会談などに触れた部分省略)

 今日の『朝日新聞』には、もう一つ、重要な事実が報じられていました。昨日のHPで“予告”した「Winny」による海上自衛隊の内部データ流出問題です。「有事演習計画も流出 ウィニー被害 海自文書計3000点」という見出しの朝日の記事は、次のようなものです。

 海上自衛隊の内部資料がインターネット上に流出した問題で、防衛庁は03年に行われた海自最大の実動演習「海上自衛隊演習(海演)」の作戦計画を含む大量の文書が流出していたことを確認した。総数は約3000点にのぼる。同作戦計画は事実上、朝鮮半島有事を想定したものだが、秘匿性の高い海演のシナリオが公になるのは初めて。流出文書は通信や暗号の分野にも及び、海自は共通するものも使っている米海軍と協議し、暗号については全名称を、通信については周波数の一部を変更した。


 この記事には、大きな問題があります。このような情報流出事態を情報の保全や管理とその漏洩という観点からだけ問題にしているという点です。
 同紙の3面には「北朝鮮念頭の有事演習流出」「『秘』文書 世界漂う 米との信頼関係 失墜も」という関連記事があり、このような観点をより強く打ち出しています。「ウィニーによる今回の海自文書流出事件は、従来の外国スパイなどによる情報漏洩の懸念を超えた恐ろしい事態を、日本の防衛に突きつけた」というのです。
 このように書く記者は、「北朝鮮念頭の有事演習」の中身の方がもっと「恐ろしい」ということには全く気づいていません。「日本有事に移行すると、海自の主力部隊の自衛艦隊は、作戦海域に向かう空母部隊などの米海軍部隊を護衛、S諸島に陸上自衛隊の部隊を揚陸させるために艦船による海上輸送作戦を行う」ことになっており、「海上自衛隊がどこで船舶検査をするのか、米空母部隊をどう護衛するのか、海自と米海軍の作戦調整所をどこに置くかまで、作戦の詳細が出ている」というのに。

 何故、これらの「作戦の詳細」をきちんと検討しないのでしょうか。それが「秘」指定とされた理由を、どうして検証しようとしないのでしょうか。せっかくのチャンスではありませんか。
 何故、「今回の流出事件が日米同盟に及ぼした傷」だけを問題にするのでしょう。その日米同盟が、日本国憲法の制約や日本の安全に及ぼした「傷」を、どうして問題にしないのでしょうか。
 問題は、「米との信頼関係」にあるのではないでしょう。そのような「信頼関係」の下で、「全国の海上自衛隊が参加し、米海軍とも共同して行うこの演習の内容」はどのようなものだったのか、「北朝鮮を示唆する『茶国』の危機から始まり周辺事態、日本有事に移るシナリオ」には問題があるのかないのか―それを検証することこそ、新聞記者の仕事ではありませんか。


 実は、このような検証は、既に一部なされています。ジャーナリストの斉藤貴男さんが書かれ、今月号の『現代』に掲載されている「告発スクープ Winny流出資料で判明 自衛隊秘作戦計画『憲法違反』の核心」という記事がそれです。
 つまり、『朝日新聞』の記事は、完全な「二番煎じ」だということになります。どうして、今頃になってこのような記事を、あたかも初めて明らかになったかのように掲載したのか、大いに疑問です。
 問題を取り上げたこと自体は評価できるとしても、日本国憲法の制約という観点から流出した資料の中身を問題にする斉藤さんに対抗して、情報管理の観点から情報の流出それ自体を問題にする記事によって論点をすり替えようとしたのではないかと、勘ぐりたくなります。いずれにせよ、天下の『朝日新聞』も墜ちたものです。


 この『朝日新聞』の記事とは異なって、斉藤さんの論攷はこれまで「秘」とされて明らかでなかった日米共同演習の内容やシナリオについて細かくレポートしています。その詳細については、この論攷自体をご覧ください。
 ここで斉藤さんは、結論的に、「流出した文書から読みとれるのは、日米『同盟』というよりも、もはや米軍の一部としての自衛隊の姿である。それは同時に『集団的自衛権の行使が違憲である』という憲法上の制約が形骸化し、もはや自衛隊の演習には反映されていないことを強く示唆している」(53頁)と指摘しています。ここまで私が書いてきたことを読まれた方であれば、このような指摘に驚かれる方はおられないでしょう。

(一部略)

 実は、このような形で流出したのは海自のデータだけではありませんでした。海自に続いて、他にも陸上自衛隊や航空自衛隊の隊員が同様のウイルスで公務情報を流出させていた事実が、短期間に相次いで判明しました。
 このようにして流出した陸自の内部データの中に、「国内隊付訓練『部隊防護』成果報告」という文書があります。それがきっかけとなって、驚くべき事実が明らかになりました。
 05年3月、陸上自衛隊が沖縄の米軍実弾演習場「キャンプ・ハンセン」で、米海兵隊から暴徒鎮圧など部隊防護の訓練研修を受けていたということが暴露されたのです(『毎日新聞』5月8日付)。01年の自衛隊法改正によって在日米軍基地の自衛隊による警護が可能になり、この面でも一体化が進んでいますが、米軍の協力による暴徒鎮圧などの訓練研修が明らかになったのは初めてです。


 このほか、基地の日米共同使用という形でも、軍事的一体化が進行しています。たとえば4月27日、那覇防衛施設局の佐藤勉局長は在沖米軍基地の自衛隊との共同使用について、嘉手納飛行場、キャンプ・ハンセン以外にも、沖縄県内にある他の米軍施設・区域を対象に、日米共同使用の検討を進めていくことを明らかにしました。
 また、海兵隊を沖縄からグアムに移転させる計画に伴って、アメリカ国防総省はグアムだけでなくテニアンやサイパンなどマリアナ諸島に「沿岸戦闘用」などの訓練施設を整備する方針ですが、マリアナ諸島には自衛隊も参加できる訓練施設を整備する構想を進めています。グアムでは、これまでも自衛隊がアメリカと合同の軍事演習を行っていますが、さらにマリアナ諸島を大規模な演習場として整備することで日米同盟を強化する場にしたいというわけです。


 コンピュータ・ウイルスによって情報が流出しなければ、海自や陸自での日米共同訓練の実態は分からないままだったかもしれません。

(一部略)


ネット流出、海自文書計3千点 有事演習計画も
2006年05月17日
http://www.asahi.com/digital/internet/TKY200605160541.html

演習の概要図

 海上自衛隊の内部資料がインターネット上に流出した問題で、防衛庁は03年に行われた海自最大の実動演習「海上自衛隊演習(海演)」の作戦計画を含む大量の文書が流出していたことを確認した。総数は約3000点にのぼる。同作戦計画は事実上、朝鮮半島有事を想定したものだが、秘匿性の高い海演のシナリオが公になるのは初めて。流出文書は通信や暗号の分野にも及び、海自は共通するものも使っている米海軍と協議し、暗号については全名称を、通信については周波数の一部を変更した。

 03年11月に行われた海演(10日間)には、艦艇約80隻、航空機約170機、人員約2万5000人が参加した。

 その内容を周辺事態と防衛出動事態に分けて詳述した3点の資料は、九州・沖縄を管轄する海自の佐世保地方隊が、主力部隊の自衛艦隊や米海軍とともに事態に応じて実施する作戦を列挙。いずれも防衛庁が定める3段階の秘密区分のうち、3番目にあたる「秘」に指定されていたが、問題発覚後に指定を解除された。

 海演のシナリオは、周辺事態で日本周辺の2カ国が、日本に対しても弾道ミサイルを発射する準備に入ったり、南西諸島の「S諸島」の領有権を主張したりするという筋書きになっている。

 佐世保地方隊は、対馬海峡から九州西方にかけての海域で、警戒監視活動や船舶検査活動、邦人輸送、機雷掃海などを行う。

 日本有事に移行すると、海自の主力部隊の自衛艦隊は、作戦海域に向かう空母部隊などの米海軍部隊を護衛、S諸島に陸上自衛隊の部隊を揚陸させるために艦船による海上輸送作戦を行う。また、米海軍は、朝鮮半島を中心に作戦行動を展開する一方、日本海でも海上阻止行動(MIO)などを行うとしている。

 このほか流出が確認された資料には、有事の際にも使う通信や暗号に関するものが多数確認された。有事に九州の沿岸部に派遣される移動通信部隊の周波数や通信可能範囲などを図示した「秘」指定文書もあった。

 一方、海上幕僚監部の調査で、佐世保基地所属の護衛艦に勤務していた隊員が資料を流出させた時期は、今年1月21日とわかった。04年から自宅のパソコンでファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を使い始め、05年から業務用データを勝手に自宅に持ち帰り私物パソコンに保存していた。

 海自がネット上に秘密文書が流出しているのに気づいたのは2月16日。5日後の同21日、ようやく流出元を突き止めた。

 再発防止策として、防衛庁は(1)ファイル交換ソフトの削除(2)私物パソコンからの秘密文書の削除などを定めた通達を出す一方、パソコン約5万6000台(約40億円)を購入。今年9月末までにパソコンが必要な全隊員に行き渡るようにした。

 同庁は流出元の隊員を含め処分を検討中だ。

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