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乱用・拡大解釈 <共謀罪>尽きぬ懸念(東京新聞)
http://www.asyura2.com/0601/senkyo22/msg/144.html
投稿者 いいげる 日時 2006 年 5 月 17 日 10:07:12: Xn2tbFdBriSHs
 

(回答先: <共謀罪>与党、19日の委員会で採決に踏み切る構え(毎日新聞) 投稿者 いいげる 日時 2006 年 5 月 17 日 09:33:09)

http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060517/mng_____kakushin000.shtml

乱用・拡大解釈 共謀罪尽きぬ懸念

『議論尽くした』と言うが…

 犯罪を実行しなくても合意しただけで罪に問われる「共謀罪」の新設をめぐる、衆院法務委員会での与野党の駆け引きが大詰めを迎えている。民主党との修正協議を続ける与党側は、決裂すれば「国会で承認している国際条約締結のためにはやむを得ない」と、強行採決も辞さない構えだ。二度の廃案を経て、三度目の国会審議。政府・与党は「審議は十分尽くした」と強調するが、果たしてそうなのか。 (社会部・鬼木洋一)

 「『分かりません』と言われて、『ああ、そうですか』。そんな口頭のやりとりしか、していなかったんですか」。十日の衆院法務委で民主党の川内博史議員が、外務省国際社会協力部の辻優参事官の答弁にあきれたように問い返した。

 二〇〇〇年の国連総会で採択された国際組織犯罪防止条約は、締約国に「共謀罪」の国内法整備を課した上で、適用対象を懲役・禁固四年以上の犯罪にすることを求めている。日本の法律では対象犯罪は約六百に上る。

 例えば、マンション建設に反対するため「座り込みをしよう」と相談しただけで、組織的威力業務妨害の共謀罪に問われかねない。市民団体や労働組合が「捜査当局の乱用が怖い」と反発する大きな理由だ。

 民主党の修正案はこうした批判に配慮し、適用対象を「懲役・禁固五年を超える犯罪」として、対象犯罪を約三百に絞り込んだ。また適用するのは「国境を越えた国際的な組織的犯罪」に限るという縛りもかけている。だが、こうした修正は条約の趣旨に反する、というのが政府の立場だ。

 では既に共謀罪を備えている締約国に、懲役・禁固四年以上の罪はどれほどあるのか。冒頭の川内議員が聞いたのは、そんな素朴な疑問だった。「大使館の書記官が、英米、カナダの政府担当者に質問しましたが、『把握していない』と言われました」−。辻参事官の答弁は、法案を審議するための基礎的なデータさえ、極めて不十分なことを露呈させた。

 十六日に答弁に立った伊藤信太郎外務政務官が再調査の結果を公表したが、大半の先進諸国から得た答えはやはり「把握していない」。フランスから「刑法に限れば二百十の犯罪がある」という回答があっただけだった。

 「そんなあいまいな状況で『四年以上』という条約の文言を守る必要があるのか」。野党側からは怒りの声が上がった。

 「まったく誤解している。嫌になっちゃう」。日本ペンクラブ(井上ひさし会長)が前日の十五日、「共謀罪新設」に反対する声明を発表したことについて、杉浦正健法相が答弁の中で思わずぼやいた。

 共謀罪の乱用を危惧(きぐ)する世論の高まりに、法務省は警戒心を解くのに躍起だ。杉浦法相も「犯罪集団が対象の法律で、普通の市民団体や労組に適用されることはない」と繰り返し答弁してきた。

 だが、こうした答弁が将来も政府を拘束するかといえば、法相自身が認めるように「そこまでの効力はない」。

 政府・与党が審議の中で説明した法解釈も「参考資料」との位置付けだ。

 過去に立法の趣旨を離れ、成立後に独り歩きを始めた法律は数多い。暴力団対策を目的に一九五八年に制定された凶器準備集合罪は、学生運動などの取り締まりにも利用された。

 「これほど広範な犯罪が対象になる法改正は、初の経験。拡大解釈の余地を残さぬように、慎重な上にも慎重な審議が必要なのに、国民の不安に正面から答えようとしていない」。青山学院大の新倉修教授(刑法)は、不十分な審議を強く批判する。そして、政府・与党の拙速をいさめた。

 「テロ対策の優等生になるため、条約が求める以上の過剰反応をしている。国民の利益を守るべき国家が、国際社会にいい顔をしようと国民生活を犠牲にするのは、まさに本末転倒というべきでしょう」

(メモ)共謀罪 政府が組織的犯罪処罰法の改正による新設を提案。懲役・禁固4年以上の犯罪について、複数の人が遂行を合意した場合、最高で懲役・禁固5年の刑に問える。実行前に自首すると刑が減免される。与党、民主党がそれぞれ修正案を提出。与党案では処罰要件に「犯罪実行に資する(役立つ)行為」が加えられた。与党側はその後も、適用団体を「組織的な犯罪集団」に限定したり、「犯罪実行に必要な準備、その他の行為」を行った場合に限る再修正案を示したが、合意に至っていない。

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