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社説(2006年5月16日朝刊)
[米軍再編特措法]
アメでなくモルヒネだ
日米両政府が最終合意した在日米軍再編を実行に移すため、政府は「駐留軍等再編円滑化特別措置法案」(仮称)の今国会提出を視野に準備を加速させている。
法案の全容が十五日、ほぼ明らかになった。ひと言でいうと、従来「アメとムチ」に例えられてきた経済振興策は、もはやアメを通り越し、県民の基地負担の重圧感をマヒさせるための「モルヒネ」に等しい。
文字通り、麻酔剤あるいは鎮痛剤のように感覚をマヒさせるための新規立法案といえるのではないか。
法案は(1)再編事業の進み具合に応じ段階的に交付金を拡充する「再編交付金」制度の創設(2)特に基地負担が重い名護市や山口県岩国市を念頭にインフラ整備を支援する別枠の振興策を盛り込む―と、二種類の振興策を用意したのが大きな特徴だ。
だが、「再編交付金」制度は再編計画に関係する基地を「再編関連特定防衛施設」に指定し、周辺市町村に(1)環境影響評価の開始(2)事業着工(3)事業完了―の各段階に応じて交付金を増額。子育て支援などのソフト事業にも使えるようにするという。
これは、事業の各段階ごとに交付金を評価、決定するわけで、事業が進行しないと交付金も止まる仕組みだ。
つまり、普天間飛行場の移設先の名護市辺野古の「沿岸案」や、厚木基地の空母艦載機が移転する岩国市にしても、受け入れが進まないと交付金もストップすることになる。
逆に、事業が進めば首相を議長とする「再編関連閣僚会議」を設立し、米軍再編地域振興特別計画を策定。道路、空港、港湾整備などで国の補助率をかさ上げするなど優遇措置を講じる。
これでは、まるで馬の鼻先にニンジンをぶら下げて馬(事業)を前に進めようとするやり方だ。
「アメ・ムチ」を盾に圧力を強める一方、モルヒネを打ったり、やめたり、投与量を調整し、結果的に基地経済への依存症を生むやり方に見える。
沖縄の基地経済は「月光経済」とも揶揄されてきた。月は、太陽の光(政府の振興策)を浴びて輝いており、自らは輝いていないためだ。
今回の米軍再編で最も懸念されるのは、沖縄に限らず再編対象の本土の自治体も含めて国の優遇措置に取り込まれ、自ら「精神的奴隷」状態に陥ることである。
基地経済への依存は、真の自立経済につながらないことをわれわれは学んできたはずだ。
米軍再編を機に、月光経済への内省が迫られているといえよう。
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20060516.html#no_1
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