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●遠山清彦参議院議員
T-mode 遠山清彦の国会奮戦記
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【No.360】 2006年(平成18年)5月8日発行
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共謀罪の問題:現代の『治安維持法』ではない
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みなさん、こんにちは。実はGW直前の4月28日(金)、私は外務大臣政務官として2度目の国会答弁をしていました。どの委員会で答弁させていただいたかというと、衆院法務委員会、テーマは組織犯罪処罰法改正案で、いわゆる今世間で急速に注目を集めている「共謀罪」をめぐるものでした。(この改正は、2003年に日本が締結した条約を受けてなされているので、外務省答弁も要求されたのです。)
最近私のところにも、「なぜ共謀罪に賛成するのか?」といった問い合わせメールが来るようになりました。やや偏ったマスコミ報道があるため、国民のみなさんの中には批判的な方が多いようですが、誤解も多いと感じています。今日は、「共謀罪」をテーマに書きたいと思います。
<『治安維持法』とは違う>
マスコミの一部には、現在政府が提出し与党修正案が付された組織犯罪処罰法改正案について、主に「共謀罪」の導入を理由に、「現代の『治安維持法』だ」との意見を喧伝する向きもあるようです。結論を先に言えば、これは全くの誤解・誤報であり、事実と異なります。
なぜか?最初の、そして最大の理由は、「今回の改正案は2000年に国連で採択され、2003年に国会承認された『国際組織犯罪防止条約』の中に規定されている内容を国内法で担保するために国会提出されているから」です。戦前の治安維持法のように、国家権力による統制を強めたい政府が一方的に提出したのではなく、国連で議論され採択された条約で、しかも日本の国会では与党のみならず野党の民主党と共産党(いつも反対なのに!)さえ締結に賛成した規程を国内法化するために改正案が出されているのです。
野党は今気勢をあげて反対に回っていますが、今頃反対するなら、なぜ2004年の条約審議の時に賛成したのでしょうか?全く理解に苦しみますし、姿勢が一貫していません。マスコミはこの点をあまり出さないので、あえて強調しますが、野党のこの法案に対する審議姿勢は不誠実の一言です。
<国民の不安・懸念>
しかし、いままで日本の刑法になかった「共謀罪」の導入に、国民が懸念を持つのは当然であり、その懸念を払拭する努力は必要です。公明新聞の5月4日付け解説記事(4面)が「共謀罪」を取り上げていますが、その中で国民の不安は次の2つに集約されるとしています。(1)心の中の合意(共謀)だけで処罰されるため、思想まで処罰されるのではないかという不安(2)会社やNPO団体など普通の活動をしている団体までも、共謀罪の対象にされるのではないかという不安。
条約が定めた共謀罪の場合、犯罪を意図し、それを他の人と謀議しただけで処罰対象になるので、犯罪をまだ実行していなくてもそれを意図する心の中の「故意」だけで処罰される可能性があります。また、「組織的な犯罪の共謀罪」(条約)の対象となる団体についても、政府の改正案では「団体の活動として犯罪実行のための組織により行う犯罪」または「団体の不正権益の獲得、維持、拡大の目的で行う犯罪」を共謀した団体を処罰することになっていますが、拡大解釈された場合、一般の会社やNPO団体なども対象になるのではないか、との懸念が表明されてきています。
<与党修正案のポイント>
上記の国民の懸念について公明党は今までの国会審議の中で理解を示し、それを払拭する修正を政府に求めてきました。今国会では与党としてその目的で修正案を作成し、国会に議員立法として提出し、併せて審議されています。
与党修正案のポイントは以下の通りです。まず、条約上の共謀罪が成立するのに、単に「心中で合意する」だけでなく「犯罪の実行に資する行為をする」という条件をつけました。すなわち、複数で「○○氏を殺そう」という謀議をしただけでなく、その実行のために具体的な準備をした場合に共謀罪としての処罰対象になるようにしたわけです。犯行現場や逃走経路の下見をしたり、犯行に使う車両や機材の予約行為など、客観的に共謀を判断できる場合にのみ犯罪が成立するようにしたのです。
次に、共謀罪の対象の団体を限定する修正をしました。つまり、拡大解釈の余地をなくし、一般の会社などが処罰対象にならないようにしたわけです。具体的には、処罰対象の団体の定義を「共同の目的が重大な犯罪等を実行することにある団体」とし、犯罪を実行することがそもそも団体設立・活動の目的になっているような団体に限るようにしたわけです。与党修正案提出者の漆原衆議院議員(公明)は、「これによって、暴力団や、振り込め詐欺、リフォーム詐欺などの詐欺集団、テロ集団といった明らかな犯罪組織だけが共謀罪の対象」と明快に説明しています。
仮に、一般の会社などの団体が脱税などの犯罪行為について取締役会などで謀議をしたとしても、それだけで犯罪を共同の目的とした団体にはならず、よって組織犯罪処罰法の対象にもならないのです。これら2つの修正ポイントは、まさに国民の声に公明党が耳を傾け、自民党と協議した上で国会に提出したわけで、私はしっかり説明がされれば、国民の懸念は払拭されると確信しています。
<民主党修正案:2つの矛盾点>
久しぶりに長くなりましたが、最後に、民主党修正案の矛盾について。民主党はGW直前に衆院法務委員会に独自の修正案を提示しましたが、2つの矛盾点=問題点を抱えています。1つは、対象犯罪について、政府案では「死刑、無期、4年以上の懲役刑または禁固刑に相当するもの」になっているのに対し、「5年以上の懲役刑または禁固刑」にして、対象犯罪の数を政府案(615)から半減させようという修正を提案しています。しかし、日本の国会がすでに承認している条約は明示的に「4年以上」を求めており、この民主党修正案は条約内容に反します。3年前に条約に賛成していたのに、その内容と異なる修正を求める民主党の態度は自己矛盾と断ぜざるをえません。
2つ目の民主党の修正ポイントは、対象犯罪に「国際性」(越境性)の条件をつけるというものですが、これも理解しがたいものです。共謀罪が成立するような犯罪は必ずしも常に国際的な組織によって国境を越えて行われるとは限りません。もし、民主党の修正を受け入れた場合、日本国内で日本の犯罪集団によって自己完結的に行われうる組織犯罪の共謀は全く処罰対象にならないことになり、法律の「抜け穴」になってしまいます。国際性のないものであっても、組織犯罪は許さないというのが政府の基本姿勢であり、私はこれは国民の大多数から支持されると思います。
<何でもかんでも「右傾化」ではない>
まとめれば、今回の組織犯罪処罰法の改正の目的は、「犯罪組織が行う重大な犯罪の共謀に限って処罰する」というものであり、巷間言われているような国家統制強化のための法律改正ではありません。冒頭書いたように、きっかけも国連で採択された条約なのですから、当然です。
最近マスコミの一部は、日本が右傾化しているという視座から、国会で政府与党が行うことを何でもかんでも「右傾化の象徴」と描きたがります。厳密な国会審議の検証や法律案の精査に基づいてそのような主張をするなら私も理解しますが、往々にしていい加減なレッテル張りの報道が(特に映像メディアに)多く見受けられ、私は非常にミスリーディングだと思っています。これでは、国民は適切な判断をすることができなくなってしまいます。
一部の(あえて右よりな発言ばかりする)国会議員はともかく、大多数の私たち議員は国民の側に立ち、国民の代表として国民の意見を聞きながら慎重に審議をしているのが、現実です。教育基本法にしても組織犯罪処罰法にしても、特に公明党は拙速な議論を避け、時間をかけて審議した上で国会に臨んでいることをご理解いただきたいと思います。
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遠山清彦(とおやま きよひこ)
参議院議員、外務大臣政務官、
平和学博士(Ph.D in Peace Studies, University of Bradford,UK,1998)
参議院:外交防衛委員会委員、倫理選挙特別委員会委員
公明党:青年局長、宣伝局長、国際局次長、
東京都本部副代表、沖縄県本部・山梨県本部顧問
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発行部数: 4,142部(2006年5月8日現在)
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