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□政府与党の「心理的サイフ」はノンズロ状態/田中康夫 [ゲンダイ]
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=26218
【田中康夫の奇っ怪ニッポン】
2006年5月10日掲載
政府与党の「心理的サイフ」はノンズロ状態
「心理的サイフ」なる単語を耳にした事が有るでしょう。人間、それぞれにサイフの大きさが異なるのです。
と申し上げると、優勝劣敗な「格差社会」の到来で、持ち歩くサイフの大きさにも「格差」が生まれてしまったのか、と早とちりされる向きも現れるかも知れません。
そうではなく、一人ひとり、ここまでなら支出許容範囲だと思える金額が、求める商品に応じて異なるのです。“萌え”青年が東京の秋葉原、大阪の日本橋に出掛けて、お気に入りの女性タレントを摸したフィギュアを買い求める際、心理的サイフは最大限に拡大します。斯(か)くなる領域に然(さ)したる関心を抱かぬ向きからすれば、何十万円もの金額を人形一体に投じるのは理解し得ぬ行為でしょう。
他方で、件(くだん)の青年が購入後に摂(と)る夕食は500円にも満たぬ金額の、牛丼ならぬ豚丼一杯かも知れないのです。即(すなわ)ち、心理的サイフの違いです。「山国」を理由に信州では、ガソリン価格が全国屈指の高値です。加えて驚く勿(なか)れ、6割ものスタンドが店頭価格表示を行っていません。而(しか)も理由が揮(ふる)っています。本県生活環境部の調査に対し、価格表示は競争激化を招く、と大半の経営者が高言するのですから。
何たる内向きの理屈。観光立県を標榜する信州の風上にも置けぬ、慨嘆すべき事態です。加えて、石油商組合幹部には県議会議員等の公職者も数多いのです。風下にも立ち得ぬ面々です。
成る程、リッター当たり5円高として30リッターで150円の違い。缶コーヒー1本分に過ぎぬではないか、と強弁するやも知れません。が、鶏卵価格と並んで、消費者は敏感なのです。
レギュラー、ハイオク、ディーゼルの価格表示を行う、或る意味では業を営む者として当然の、消費者に対する礼儀を徹底すべく、秀逸な意匠の木製看板を店頭に設置する指導を開始しました。
他方、「助け合いや譲り合いの共生の心を失わせ」「ミニ・ヒトラーと言っていい権力の乱用」だ、と近著で元通産相の堀内光雄に批判された宰相・小泉純一郎が牛耳る中央政府に於(お)いては、阿呆アホな心理的サイフが跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)しています。
一例を挙げれば、牛海綿状脳症の悲劇を防ぐべく「全頭検査」を義務付けていたBSE特別措置法の施行規則を改「正」し、20カ月齢以下の牛への検査を適用除外としました。検査費用が3億円「も」減少する、との理由で。
ならば、当事者の米国政府自らが「腰溜め」の数字でしかない、と吐露した米軍基地移転費用負担の3兆円改め2兆円を唯々諾々と受け入れるとは、心理的サイフに照らし合わせて如何(いかが)なのでしょう? ペシャワールの市場の叩き売り価格じゃあるまいし、ズロースなる懐かしい言葉を用いて、お宅様、ゴムが切れてますよ、と茶々を入れたい気分に駆られます。
他方で小中学校に於ける教科書を、現在の無償配布から有償化してこそ自己責任の義務教育だ、などと政府与党は巧言しています。その金額は全国で年間395億円に過ぎません。数千億円に達する巨大なダム建設費用の、僅(わず)か十分の一にも満たぬ金額です。いやはや、阿呆アホの心理的サイフ。だから世界一の借金帝国として日本は、1時間に66億円ずつ財政赤字を増やしているのです。【田中康夫】
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