★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK21 > 957.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
(回答先: <大阪府>旧同和地区を調査 / 学力テストを他地域と比較 中止求め住民提訴 / 「新たな部落民づくり」の批判(赤旗) 投稿者 gataro 日時 2006 年 5 月 15 日 11:29:08)
http://www.geocities.jp/jouhoku21/undou/daikyouso/060221d_gakuryoku.html から転載。
憲法・教育基本法、個人情報保護法に違反し、秘密調査をすすめる
大阪府「学力等実態調査」の中止・撤回を
2006年2月21日
大阪教職員組合中央執行委員会
大阪府教育委員会は今春に、府内のすべての小学校6年生と中学校3年生を対象に「学力等実態調査」を実施するとしています。そして府が指定する10%程度の学校および児童生徒支援加配校には、「学力調査」と「生活調査」に加え、保護者の教育や子育てに関する意識を問う「保護者調査」と「学校調査」もおこなうとしています。
ところがその一方で、府教委がひそかに各市町教委に「同和問題の解決に向けた実態把握(大阪府学力等実態調査を活用した実態把握)について」という依頼文書を発し、大阪府内の旧「同和校」の管理職に住所データを収集するよう求め、その中から旧「同和地区」に居住する子ども・保護者を秘密裏に特定して、比較調査を実施しようとしていることが明らかになりました。これによって、これまで「すべての子どもに確かな学力を保障するため」と説明してきた「学力等実態調査」の目的は表向きのものであり、実際は、父母・府民、そして教職員さえまったく知らない間に、法的にも実態的にも存在しない旧「同和地区」との比較のための調査に置きかえられていたことが明らかになりました。
この「調査」は、4つの重大な問題点をもっています。
第1は、府教委が、個人情報保護法に違反して、プライバシーを侵害する秘密調査をおこなうことです。
調査を受ける子どもや保護者は、本人が知らない間に、テスト結果のみならず生活実態や保護者の意識調査のデータなども含む、重大なプライバシー情報を勝手に利用されることになります。そして旧「同和校」では管理職が、テストを受けたすべての児童・生徒の住所データと調査結果を府教委に提供させられ、そのデータの中から、府の人権室が「対象地域」の生徒のデータをぬきだし、教育に責任を負う教職員さえ知りえない、完全な密室で比較調査が行われることになります。
個人情報保護法は、「法令の定める事務を遂行する」場合を除いて、「本人に通知」するか、「本人の同意を得る」ことなく、個人情報を目的外使用したり、第三者に提供することを禁じています。調査において「対象地域」とされる旧「同和地区」は、02年3月末で「地対財特法」が失効し、「地区指定」も「法令の定める事務」も、法的には存在しません。今回の「調査」は法的根拠がないばかりか、明らかな違法行為です。府教委は、「大阪府個人情報保護審議会に認可されたので合法的だ」と強弁していますが、府の審議会は当然のことながら、超法規的存在ではなく、法に違反する内容について認可する権限はありません。つねづね「開かれた学校」「学校の説明責任」を標榜する府教委が、違法な秘密調査を行うことは府民への背信行為です。
第2は、こうした違法調査によって、行政がみずから新たな「同和地区・同和地区住民」づくりを行い、府民同士が融合、団結する流れを妨害することです。
旧「同和地区」については、すでに2000年の府「実態調査」において「住民の3分の2が来住者」という結果が出され、特別措置としての同和対策事業も終了し、法的にも、実態的にも「同和地区」は存在しなくなりました。それは、行政が国民を生まれや住所によって特別扱いしてはならないことを意味しています。府の人権室が、旧「同和地区」の「地名総鑑」ともいえる住所データを保管し、それによって子どもや府民の線引きを新たに行うことは、憲法第14条「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」という「法の下の平等」に反する社会的差別であり、さらに教育基本法第3条の「人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」という規定にも反する、教育上の差別になります。
第3は、府民にかくれて特定団体の特権的利益を温存、拡大し、「改革」とは無縁の"不公正行政"、"偏向行政"をすすめることです。
これまで「同和対策事業」を通じて特権的な利益を得てきた一部特定団体が、昨年行なった対府交渉で、今回の「調査」実施を強く求めたのに対し、府当局は「必要であると認識している」と回答し、その直後に今回の「調査」実施が、決定されたことがそれを裏付けています。「小さな政府」をとなえて、福祉・教育の切りすてを続けている太田府政が、特定団体にたいしては利権を保護し、温存する対応をとることは、府民の理解をえられるものではありません。
第4は、今回の「調査」はとうてい「学力調査」の名に値しないものだということです。
そもそも、府内の小学6年生・中学3年生全員を対象として実施される今回の「学力等実態調査」そのものが、東京の実態などに見られるように、その結果を公表することによって、子どもたちに競争を強要し、学校間・自治体間の競争と序列化をひきおこしへ子どもの成長、発達をゆがめるという大きな問題点をもっています。加えて今回の「調査」は、その結果を秘密行政や利権温存のための道具に使おうとするものであり、とうてい「学力調査」とはいえないものです。
以上のように、今回の大阪府「学力等実態調査」は、「改革」の名のもとに教育・医療・福祉を削って、府民に冷たい府政をすすめる大阪府と府教育委員会が、府民の知らない間に個人情報を濫用して新たな「同和地区住民」をつくり出し、特定団体の利権保護のために、その結果を利用しようとするものであり、断じて認められません。いま、府の教育行政に求められるのは、この4年間で就学援助を受ける児童・生徒の数が4割近くも増え、受給率が27.9%にも達するなど、不況の影響が子どもにまで及ぼうとしているもとで、すべての子どもたちに、憲法・教育基本法にもとづき、ゆきとどいた教育を保障していくことです。
大教組は、今回の「学力等実態調査」の中止・撤回を強く求めるとともに、父母・府民のみなさんと力をあわせて、太田府政による府民不在の不公正・密室行政をゆるさず、すべての子どもに学び・成長する権利を保障し、府民が主人公の府政を実現するために奮闘することを表明するものです。
(大阪教職員組合機関紙「大阪教育」2006.2.11・21付)
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK21掲示板