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信濃毎日新聞 5月8日(月)社説=共謀罪 拡大適用に不安が残る
実際に犯罪行為がなくても話し合っただけで処罰できる「共謀罪」の新設について、衆院法務委員会で審議が再開された。市民グループの活動や労働運動に対して、日常的な監視や規制が加えられるのではないかと、かねて批判が強い。不安が取り除かれない限り、制定へ進むべきでない。
組織犯罪処罰法などの改正案の柱として盛り込まれている罪である。対象となる犯罪は、公選法違反、職業安定法違反なども含めて600以上になる。範囲は広く、市民生活への影響が懸念されている。
何が処罰の対象になるのか分かりにくく、犯罪と無関係な市民団体の規制につながりかねない。乱用されれば内心の自由も脅かされる。そんな不安が広がっている。言論、思想の弾圧につながった戦前・戦中の治安維持法と比較されるのはこのためである。
法務省は「酒の席で犯罪の実行について意気投合しただけでは共謀罪にはならない」などと説明。「国民同士が警戒し合ったり、表現・言論の自由が制約される結果を招くことはない」としている。
日弁連は、共謀罪の新設に反対を表明した。市民団体にも反対の動きが広がっている。
政府が制定を目指すのは、国連の国際組織犯罪防止条約があるからだ。テロ組織などによる国際犯罪に対抗するため、2003年9月に発効し、参加国に国内法の整備を求めている。日本はこの条約を国会承認し、署名済みだ。今年4月現在、119カ国が参加している。
改正案は過去2度廃案になり、3度目の提出となった昨年の特別国会で継続審議になっていた。
法改正が進まないことから、与党は今国会での成立を目指して修正案を提出。これに対抗して民主党も独自に修正案を出した。
与党修正案は、共謀罪の適用は暴力団などを想定し、犯罪を行うことを共同の目的とする団体に限定。下見などの準備行為があった場合に処罰することを明記した。
これに対し民主党は、共謀罪はもともとテロ対策が主目的であり、対象を国際的な犯罪に絞るべきだ、と主張。国境をまたぐ犯罪に限定する修正案を提出した。
それでも、共謀罪が持つ基本的な問題点は解消されない。
テロ組織や組織的犯罪集団を連携して取り締まることは重要だ。ただ、法案が抱える問題は重大である。審議は慎重でなければならない。都合よく解釈、運用されないよう、厳格な歯止めが必要だ。
http://www.shinmai.co.jp/news/20060508/KT060502ETI090009000022.htm
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