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http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/ba797a45fdb7cf7141f87a32955dae4aより転載。
2006-05-13 17:36:24
犯罪の企てを話しあっただけで罪となる「共謀罪」の創設を盛り込んだ組織的犯罪処罰法などの改正案が,来週早々にも衆院法務委で採決されると噂されている。
その採決に向けて,与党側が,再度(これで何度目?)の修正案を示した。
この修正にもまだまだ,問題がある。
まず,修正案全文を見てみよう。
■■引用開始■■
第六条の二
次の各号に掲げる罪に当たる行為で、組織的な犯罪集団の活動@【(組織的な犯罪集団(団体のうち,その共同の目的がこれらの罪又は別表第一(第一号を除く。)に掲げる罪を実行することにある団体をいう。)の意思決定に基づく行為であって,その効果又はこれによる利益が当該組織的な犯罪集団に帰属するものをいう。)】として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、A【その共謀をした者のいずれかにより共謀に係る犯罪の実行に必要な行為が行われた場合において,】当該各号に定める刑に処する。
ただし、B【死刑又は無期若しくは長期5年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪に係るものについては,】実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 五年以下の懲役又は禁錮
二 長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪 二年以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、第三条第二項に規定する目的で行われるものの遂行を共謀した者も、前項と同様とする。
C【3 前二項の適用に当たっては,思想及び良心の自由並びに結社の自由その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当制限するようなことがあってはならず,かつ,労働組合その他の団体の正当な活動を制限するようなことがあってはならない。】
※4カ所の【】内の文言が元々の政府案に付け加えられたものです。@〜Cは便宜上,付け加えたものです。
■■引用終了■■
以上の修正のうち,実質的に意味があるのは,@とAだ。
Bは,日本の刑法では長期刑については,「懲役5年以下」という決め方がされているものが多いため,「5年以上の懲役…」という分け方では限定されない。
「5年を超える」とされれば,少しは意味のあるものになる。
しかし,それでも,300以上の犯罪が該当することになるが…。
Cは,単なる訓示規定であり,意味がない。
犯罪だと見なしさえすれば,正当な活動ではなくなるのだから…。
そこで,まず,Aだが,
【犯罪の実行に必要な準備その他の行為】というのは確かに前の修正案「犯罪の実行に資する行為」よりは限定されそうではある。
しかし,まず,思い出して欲しいのは,与党は,この要件を,犯罪の成立要件ではなく,処罰要件だとしたことだ
(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/1bdea0742b574dbecb358f3ff4f73529 参照)。つまり,この要件がなくても,逮捕し,取り調べることはできる。
そのうえで,本当は別の目的で行った行為〜例えば,生活費として銀行預金を引き出した行為〜をもって,「犯罪の実行に必要な準備その他の行為」とされてしまい,処罰されてしまう可能性がある。
というか,警察ににらまれれば,そうなるでしょう。
さらに,【その他の行為】というのがいかにも不明確だ。
最後に@だ。
これは,組織的な犯罪集団という言葉が,いかにもテロ集団とか暴力団を示しているように思え,市民とは関係がない法律になったかのような印象を与える。
しかし,法律というのは,印象ではなく,きちんと,定義をみていく必要がある。
そうすると,
【団体のうち,その共同の目的がこれらの罪又は別表第一(第一号を除く。)に掲げる罪を実行することにある団体】 ということになり,テロ集団だとか暴力団とかには限定されない。
「組織的な犯罪集団」とは,
一つ一つ見ていこう。
【(組織的な犯罪集団(団体のうち,その共同の目的がこれらの罪又は別表第一(第一号を除く。)に掲げる罪を実行することにある団体をいう。)の意思決定に基づく行為であって,その効果又はこれによる利益が当該組織的な犯罪集団に帰属するものをいう。)として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者】に何が該当するか?
例えば,ある酷い公害を撒きちらす企業があったとして,その公害企業を追及してその公害に関係する行為を中止させようというメディアがあったとします。
その公害企業の行為と公害の因果関係は明白ではないのが通常(明白になっていたら,公害企業相手に訴訟をすればいい)だから,場合によっては,メディアの行為は,組織的信用毀損罪・組織的業務妨害罪(5年以下)だとみなされる可能性がある。
そうすると,このメディアは,「共同の目的が組織的信用毀損罪・組織的業務妨害罪を実行することにある団体」すなわち,【組織的犯罪集団】だと言える。
次に,【団体の意思決定に基づく行為】といえるかどうかだが,これは,メディアが取材する場合,当然,いえる。
そして,【その効果又はこれによる利益が当該組織的な犯罪集団に帰属するもの】といえるかどうか。
取材し,報道した結果,視聴率がアップし,あるいは,発行部数が伸びる可能性があるし,報道する側はそれを期待する。
ということは,利益が帰属するという要件はクリアできる。
※実はここで問題なのは,この法律がテロ対策とされているが,テロ集団にとってテロを行うことによって,【その効果又はこれによる利益が当該組織的な犯罪集団に帰属する】といえるだろうか?
例えば,東京ドームに毒ガスを撒いたとしましょう。
その結果,多数の死傷者が出たとして,テロ集団にとって,いかなる効果,利益が帰属するのか?
一見,帰属しないように思えるでしょう。
ところが,テロ対策だという以上,ここは,強引にでも帰属させますよ。
例えば,組織の知名度があがるとか組織に加入する人や狂信的に寄付する人が増えるなど…
つまり,歯止めにならないし,政府側もするつもりがない…ということです。
以上,@も,公害取材スタッフが該当するようでは,到底,市民団体には適用されないとはいえません。
とりあえず,与党再度の修正案についての反論です。
ちなみに前の修正案に対する反論はここ(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/473bc92dc2f3f34f25004e1e646fb3ef)です。
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