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http://blog.livedoor.jp/zatsu_blog/archives/50789523.htmlより転載。
■オウムのような「組織的犯罪集団」を潰すためには「共謀罪」を新設するしか無い!?
2006年05月08日
このエントリーは「■「共謀罪」法案は廃案しか無い!■〜「越境性」を犯罪構成要件に加えようとする民主党「修正案」への疑問」と題したエントリー(http://blog.livedoor.jp/zatsu_blog/archives/50775396.html)のコメント欄に投稿した私の文章を一部修正の上、再アップしたものです。
●オウム真理教(現・アーレフ)のような凶悪犯罪集団を潰すために「共謀罪」を新設するしか無いという主張があります。
そもそも、「オウム神仙の会」と自称していた設立当初、オウムは「変なおっさん(=麻原)が主宰する風変わりなヨガ・グループ」に過ぎませんでした。
その「風変わりなヨガ・グループ」が何時から無差別大量殺人を是とする集団へと変質したのか−。
「オウム神仙の会」から「オウム真理教」へと改名した後からだと指摘する人もいれば、いや坂本弁護士一家「拉致」事件以後だ等々、様々な説がありますが、「真実」は未だ定かではありません。
●ところで、この日本社会において「風変わりな集団」はオウムに限ったことではありません。
そして、中には「ハルマゲドン」の実現等、怪しげな「理想」を仲間内で語り合っている集団も存在するでしょう。
では、それら「風変わりな集団」が須らくオウムのような凶悪犯罪を起こすのかと言えば、そうではありません。
寧ろ大多数の「集団」は、例え世間から見れば胡散臭い、あるいは「危険」と思われる「理想」であっても、仲間内の「妄想」を語り合う(=「共謀」?)だけで自己完結しているケースが大半でしょう。
結局、「怪しげな集団」は須らく権力機関が盗聴・監視等を行って逐次動向を掴まなければべきという「思想」に行き着くのでは無いでしょうか。
そうでもしなければ単なる「妄想」集団から「犯罪」集団へと変質する「共謀」過程を精緻に把握することは出来ないでしょうしね。
それは、ザミャーチンの「われら」が描くような監視社会では無いでしょうか。
●では、監視体制を敷いて徹底的に「共謀」しているか否かを聞き耳を立てなければ犯罪を抑止出来ないのか?
私は必ずしもそうは思えません。
例えばオウムの場合、彼らが何時から凶悪犯罪肯定集団へと変質したかという過程は掴めなくても、その過程の中で彼らは社会で様々なトラブルを起こしている訳です。
例えば、「お布施」や脱会を巡るトラブルなどは「オウム真理教」初期の時代にも起きています。
そして何よりも坂本事件、神奈川県警が「もし」あの事件を真摯に捜査して事件の全容を解明していれば、サリン事件のような無差別殺人が起きる前に麻原らを「法の裁き」に掛けることだって叶っていたかもしれません。
オウムはある日突然「反社会的集団」として世に登場した訳ではありません。
サリン事件の前にも「反社会的予兆」は幾らでもあったのです。
そして、それを軽視していたのが神奈川県警などの捜査機関であり、そして私達の社会だったのです。
●さて、私は「共謀罪」法案について議論するにおいては、まずこの法案が提起されている政治的状況へのリアリズムへの認識を認識する必要があるのではないかと考えます。
現行の刑事法制では現状の犯罪状況には対応できない、オウムのような集団に対応するためにも「共謀罪」を制定すべきだと主張する人がいます。
しかし、法務省も2003年の時点では法制審議会で「国連組織犯罪防止条約」の批准においては「共謀罪」など新たな犯罪類型を導入するための立法は必要無いとの意向を示しています。
現行法でも犯罪には対応可能という姿勢ですね。
●では、何故政府が姿勢を変えたのか?
これは2004年以降に続発する市民運動等への不当弾圧という状況を抜きにして語れないでしょうね。
公安警察は2004年春の立川自衛隊監視テント村の活動家の逮捕など、家宅侵入罪や公正証書等原本不実記載罪などの犯罪類型を用いて、かなり強硬な姿勢で反戦市民運動への弾圧を繰り返しています。
政府の方針転換はかような状況下で行われ、しかも数百もの犯罪類型に「共謀罪」の網を掛けようとしている訳です。
「共謀罪」法案が政府・与党の言明通り単なる刑事犯罪対策のために提起されたと捉えるのはナイーブだと思いますし、かような政治的状況を的確に踏まえずに、観念論的に「共謀罪」を議論しても余り意味が無いのでは無いかと思います。
私は現下の情勢下で、権力機関に「共謀罪」という「武器」を与えることは、政府の政策に異を唱える市民の運動の萎縮に繋がるものだと考えるものです。
●私は組織的な凶悪犯罪への対策自体を否定するものではありません。
しかしながら、「共謀罪」のような公安的「調査」手法を乱発させる可能性を内在している犯罪類型に安易に手を出す前に、まずは反社会的違法行為を地道に捜査・適宜摘発していく「捜査力」、そして私達の社会がかような行為を告発する人達の声に敏感になることこそ求められているのではないでしょうか。
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