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社説
共謀罪審議大詰め・問題点は解消されていない
殺人など重大犯罪の実行行為がなくても、謀議に加わるだけで処罰可能な「共謀罪」の新設を柱とした組織犯罪処罰法の改正案が、衆院法務委員会で大詰めの審議を迎えている。
9日に行われた参考人質疑では、捜査当局の「恣意(しい)的運用」への懸念や「拡大解釈」の可能性といった共謀罪の問題点があらためて指摘された。
与党は「1日でも早く衆院を通過させ、ほかの法案の審議に取り掛かりたい」とし、今国会での成立を目指している。しかし、国民生活にも重大な影響を及ぼしかねない法案であり、拙速は避けるべきだ。
改正案は2003年の通常国会に提出して以来、継続審議や廃案を繰り返し、今回が7回目の国会審議である。最初の法案提出から3年が経過したが、共謀罪が一般市民団体の取り締まりの根拠に使われる恐れがあるとの懸念は依然として根強い。
法務省は、暴力団による組織的な殺傷事犯、振り込め詐欺のような組織的詐欺事犯、暴力団の縄張り獲得のための暴力事犯の共謀など、組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の共謀行為に限り処罰すると説明している。国民の一般的な社会生活上の行為が共謀罪に当たることはないとも強調している。
しかし、問題点は解消されてはいない。
憲法は思想、言論の自由を保障している。その内容がどうであれ、個人が思うことは自由である。さまざまな意見の表明にも制限を加えてはならないのである。
刑法もその精神にのっとり、実際に行われた犯罪行為を処罰対象としている。話し合うことは処罰されない。共謀罪は刑法のその原則を根底から覆すことにもなる。
足立昌勝関東学院大教授は共謀罪を「国や社会の意思に反する人を犯罪者にすることができる悪法」と批判している。
ジャーナリストの桜井よしこ氏は「共謀罪を安易に導入した後、どこまで(適用範囲が)拡大するかは誰も責任を持てない」と拡大解釈されることの危険性を指摘している。県内では反基地運動などが対象とされるとの危惧(きぐ)もある。
共謀罪は基本的人権の尊重とは相いれないものである。民主主義社会の根幹をも揺るがしかねない危険性をはらんでいる。
政府は2000年12月、テロなど国際化した犯罪防止に向け、各国の相互協力を促進するため国連が採択した「国際組織犯罪防止条約」に署名したが、条約批准には共謀罪の整備が条件となっている。
国際化する犯罪の防止は大切なことである。併せて国民の思想信条の自由など基本的人権も重視する必要がある。
(5/11 9:43)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-13514-storytopic-11.html
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