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共謀罪 人とつきあわず、内心を明かさず、また怪しげなところには近寄らず、人を見たら疑え! といという社会が訪れる
http://www.asyura2.com/0601/senkyo21/msg/724.html
投稿者 愚民党 日時 2006 年 5 月 08 日 23:24:04: ogcGl0q1DMbpk
 

(回答先: 【共謀罪の審議】明日、共謀罪参考人質疑と今後の展開は(保坂展人のどこどこ日記) 投稿者 天木ファン 日時 2006 年 5 月 08 日 23:03:08)

【保坂展人のどこどこ日記】

同窓生の「ヤバイ話」の場に居合わせたら「沈黙の共謀」か


政治 / 2006年05月06日
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/63c69005b42142dbf216e691238dd312


「冗談も言えない共謀罪」と言われるが、正確に言うと「冗談を言うヤツの近くに居てはいけない共謀罪」だ。黙って無反応でいても、場を同じくしたことで共謀罪に問われないとも限らない……と書いた。どういうことなのか、「沈黙の共謀」について書いてみることにしよう。

19歳のA君は、中学時代の同級生4人に数年ぶりにバッタリ会った。「久しぶりじゃん。俺たちこれからカラオケに行くんだよ。一緒にいかないか」と誘われた。中学時代に親しかった子がひとりいて、昔は悪かった子と一緒だったのが気になったが、「すげえ偶然あったんだから、つきあえよ」と言われて「まあ、いいか」と一緒にカラオケ店に入ることにした。

ひとしきり、歌ったあとで雑談になった。
「なんかムカつくな。金ないし、スカッとすること何かないか」
と体格のいいBが言った。
「このまえのプレイはうまくいったから、またやりまっか」
お調子者のCが言い出したが、Aには何のことか分からなかった。
「おい、秘密の話だからな。誰にも言うなよ」
動転しているAの表情をとらえて、Bが脅しをかけてきた。何が秘密なのか、早く この場から立ち去りたいと思ったが、Bの目つきが怖くてすくんでしまった。
「お前、明日の夜に必ずこの店の前に来いよ」
Aは黙っていた。「……」下を向いているAに、Bは「わかったな」と念を押した。

これは、『オヤジ狩り』の共謀の場面だった。Aは、話の内容が具体的に何を指しているのか十分わからなかったが、「ヤバイ」という空気は読めた。Aの精一杯の抵抗は、黙って下を向いていることだったのだ。翌日、『オヤジ狩り』は実行されなかった。メンバーのひとりDが警察に駆け込んで計画を暴露し、Aも含む4人は強盗の共謀容疑で逮捕された。「Aは何度も深くうなづいてメンバーとなる意思表示をした」とDは証言したからだが、「犯行に加わらないのならなぜ黙っていたんだ。君も仲間なんだろう」と、「沈黙」の意味を問われてAは「違うんです」と必死に否定したが、逮捕された当日のAの服装が「黒いジャージと運動靴」であることもマイナスに働いた。「ふだんのカッコと違うじゃないか」と追及されて、Aは困惑した。

以上は、想像上のシチュエーションだが、よくある話だと思う。同級生たち4人は、『オヤジ狩り』を過去1度やったことがあり、その「犯罪収益」を分配したうまみが忘れられなかった。そして、メンバーのひとりが「駆け込み自主」をしたことで、その場にいた全員が容疑者となった。Aはメンバーではないが、他の4人のグループにその日、加わったと疑われたのだった。昨年の衆議院法務委員会で、大林刑事局長にこんな質問をしている。

○保坂(展)委員 共謀罪が成立した場合、ごめんなさい、ちょっと予告はその点はないんですが、例えば二十歳代の子供を持つ親はどんな点に注意したらいいですかね。というのは、こういうことなんです。
 私は子供の問題をずっとやってきて、いじめのグループなんかは、全員がいじめているグループというわけじゃないんですね。要するに、威迫されていじめられたやつが、金を持ってこいなんて言われたやつが見張りをやっていたりとかする場合もあるわけです。そして、パシリと言われたり、若者の中でも力関係があって、非常に性格が弱くて拒否できないタイプの男の子がグループの中にいるという場合もあるわけです。
 それで、グループの中で、例えば強姦の共謀とか恐ろしい内容の、犯罪に発展しかねない共謀の端緒が出てきたときに、やはり気が弱いから嫌だと言えない、あるいは僕帰りますとなかなか言えない、何となくうんとうなずいたり、黙って下を向いていたということでも、これは共謀罪のそのグループの一員というふうに認定されてしまう心配があるんじゃないかと、親として心配になるということも、今はないですけれども、この法律がありませんから。しかし、実際に施行されていったら、そういう場面というのは出てくるんじゃないでしょうか。どういう点に親は注意したらいいですか。

○大林政府参考人 今度の共謀罪の関係で申し上げますと、いわゆる「団体の活動として、」という要件がございます。今おっしゃられた事案は、よほど凶悪化したグループでなければ、同じ犯行を繰り返していなければ、なかなか団体の活動としては言えないというふうに思います。
 今委員が御指摘なのは、例えばお子さんの場合ですけれども、なかなかちょっと、そういう事案では想定しがたいと思いますけれども、それを引き直して、例えば暴力団の場合でも気の弱い人もいるかもしれません。そういう意味においては、ある面、同じ社会、団体の中ではそういう問題は生じてくるのかなと。ですから、それは共謀が成立する以上は、あとは量刑の問題、処遇の問題ではないかというふうな感じがいたします。

○保坂(展)委員 大学生でも、大規模なパーティーだ、コンパだということで、繰り返しいわば大変な事件を起こして、まさに世間を驚かせた事件もありましたよね。だから、大学生だからということで、別にそういう例がないわけじゃないので、そういう共謀の場にいて、同意も心の中でしない、あるいはうんとも言わなかった。しかし、どうだというか、目が合ったから、怖いからちょっと首を下げたという程度の若者も、行為としての、例えば強姦事件などがあれば、見張りをしていたにしても、その共謀の一員ということになってしまうわけですよね、今回の。どうですか。

○大林政府参考人 共謀罪が成立するかどうかという問題になりますと、またいろいろな要件がありますけれども、共謀ということであれば、それは見張り的なものであっても、幇助犯になる場合もあるでしょうし、正犯になる場合もあるでしょうしということだと思います。

○保坂(展)委員 そうすると、法律をよく読み込んで、この法務委員会の議論なんかを聞いていた場合はどうですか。そういう場合、あなた、自首しなさい、その場合は大丈夫だよというふうにある人がアドバイスするかもしれないですね。
 だけれども、若者というのは大体、地域で、学校で集団をつくりますよね。中には悪いやつもいるわけですよ。ちょっぴり、年齢的にも元気ですから、ぎりぎりすれすれのことをやる者もいるという中で、では、自首しますということが若者の集団の中でどういうふうになっちゃうのかというところは、チクリだということでもう大変な危機に陥るわけですね。それによって命を奪われた、少年犯罪なんか見ていくと、あります。
 これはどうですか。どう考えたらいいんですか。そういう共謀に当たりそうな、あるいは自分が疑われそうなときになったら自首しろと親は言うべきですか。

○大林政府参考人 なかなかお答えしにくい設例かなと。それはもう本当にケース・バイ・ケースでございます。共謀罪の成立は別としても、犯罪の場合に自首すれば、それだけの刑の減軽がされる場合もあります。何も必要的な減軽でない、情状として評価される場合もあります。ですから、一般論として申し上げれば、確かに委員がおっしゃるような場合もあり得るかなというふうな感じはいたしますけれども。

○保坂(展)委員 つまり、人間に印がついていないですね、犯罪をやっていますという。ですから、にこやかに近づいてきた若者が、果たして一般的な、つまり法を逸脱しない範囲の活動をしているかどうかというのはわからないわけですね。ですから、非常に身近な問題になってくるのかなと。
 それで、この共謀罪ということが、もともとの提案の趣旨は、組織犯罪対策で国際的な、越境的なということですから、ややというか、うんと広がり過ぎたなという印象を私は持ちます。
 そして、その際、立証する際にどうしても供述中心になりますね、これ。そうすると、ただでさえ自白偏重だと言われている、司法制度改革の中でもそういう議論があった、このことと逆行することになりませんか。

○大林政府参考人 今委員も御指摘になったように、今度の共謀罪というのは、重大な犯罪について未然に防止しようということが目的でございます。
 先ほど私申し上げたとおり、前の段階であれば前の段階であるほど、それは確かに結果が生じていませんから、どのような共謀であったかという吟味というのは慎重になされるべきだと思います。ですから、それは供述が、仮にAという者がBとやりましたと言ったところで、それはやはり客観的な状況、彼らの組織性とか今までの行動とかもろもろ、あるいは利益の分配の仕方とかそういうものを総合して決められるものであって、安易に認定される、ある者の自白があったから共謀罪がみんなについて成立するというものではないというふうに思います。(衆議院法務委員会 05年10月28日議事録より)

議事録をそのまま読んでも「抽象的な論議」に思えるかもしれないが、大林刑事局長は誠実に答弁している。市民団体・労働組合の問題のみならず、社会のあらゆる場面で「619種類の共謀罪」の容疑を受けることのないよう行動するにはどうしたらいいのか。人とつきあわず、内心を明かさず、また怪しげなところには近寄らず、人を見たら疑え! という社会が訪れるのではないか。今日は、「沈黙の共謀」を考えてみた。


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