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共謀罪 与党は数で押し切るな
犯罪の実行がなくとも、謀議段階の合意で処罰できるのが「共謀罪」だ。根強い反対論が絶えない法案を、与党は数の力で押し切ってはいけない。捜査当局に都合よく用いられる懸念があるからだ。
二度も廃案になった共謀罪の成立を政府が今国会で目指すのは、国際的な“約束”の建前があるからだ。
そもそも二〇〇〇年の国連総会で、国際的なテロ組織やマフィアによる犯罪防止のため、国際組織犯罪防止条約が採択されたことによる。既に百十九カ国が条約を締結しており、G8(主要八カ国)でも、米国など五カ国が条約締結を済ませた。
日本も同年に署名という“約束”をしたが、この条約は共謀罪など国内法の整備を求めている。だから、政府は同罪を盛り込んだ関係法案の早期成立を目指しているのである。
だが、共謀罪は思想の取り締まりにつながるという指摘が絶えない。
「団体の活動」として犯罪の共謀をした者を処罰する内容だ。つまり具体的な犯罪が発生しなくとも、犯罪を起こすことを合意しただけで罪に問われることになる。
心の中で思ったことが処罰されるのと紙一重では…と不安を呼んでいる。内乱罪の陰謀など例外はあるが、「行為」があって初めて犯罪が成立するのが、刑法の大原則だ。だから、思想処罰に近づく恐れがあると指摘されているのである。
しかも、対象犯罪は実に六百十九。広く投網を打つような法律だ。たんなる「団体」では、市民団体や労働組合などまで、対象にされかねないことにも批判が集中している。
そのため、与党は「共同の目的が罪を実行することにある団体」と制限を付け、犯罪の実行に「資する行為」があった場合に適用されるという修正案を出した。
民主党案は団体を「組織的犯罪集団」と明記し、法適用は「予備行為」があった場合に限るとしている。同党案の「予備行為」とは、殺人謀議の場合、武器の用意などが想定される。与党案の「資する行為」という表現はあいまい過ぎる。
麻薬の密輸など国際犯罪対策といいつつ、国内犯罪についても適用される。いったん法が定められてしまえば、注意しないと独り歩きしかねない。現行法だけでも対応できるという説もある。かつて治安維持法という思想弾圧の歴史を背負った国である。
捜査当局による法の拡大解釈や恣意(しい)的運用の恐れがある。性急な結論はやめるべきだ。条文で「歯止め」を明確にするほどの慎重に慎重を重ねた議論が必要だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/sha/
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