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米軍再編最終報告の課題<上>
恒久化解消の道筋示せ
「市民と一生懸命がんばったことが伝わらず、国が受け入れなかった。とても承服できない」
在日米軍再編問題の中核ともいえる米陸軍第一軍団司令部の改編移転と、陸上自衛隊の中央即応集団司令部設置が計画されているキャンプ座間。日米政府による最終報告の合意から一夜明けた二日、座間市の星野勝司市長は記者会見で感情を押し殺すように、ゆっくりとした口調で話した。
その硬い表情は冷たい怒りを感じさせた。
星野市長はキャンプ座間の基地機能強化が浮上して以降、自ら先頭に立って反対の声を上げてきた。市民の半数にあたる約六万人の反対署名を集めて政府に提出。市民集会で「ミサイルが撃ち込まれても阻止する」と宣言するなど強硬姿勢を示していた。
政府間で最終報告が合意された後も、「これからも引き続き、キャンプ座間の将来を見つめて、その恒久化解消策を、市民と一体となって国に求め続けていきたい」と決意を表明した。
しかし、市内関係者には微妙な温度差もかいま見える。
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「(昨年十月末の)中間報告前は市民の五人に三人が反対。今は三人に二人は、どうせ来るのなら条件闘争をするべきだという思いでしょう」
座間市の「基地強化に反対する市連絡協議会」委員の一人は、突然訪ねてきた防衛施設局幹部に市民の意識変化について自身の考えを説明した。政府間で「最終報告」のとりまとめ作業が加速していた四月上旬のことだ。委員自身も既に「受け入れはやむを得ない」と考えていた。
全面返還を市是としつつ、基地と共存してきた複雑な市民感情がそこにはあった。
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星野市長の訴えはどこにたどり着くのか。
基地問題で自治体側が将来的な返還の確約を求めた例は過去、稲嶺恵一沖縄県知事が知事選で公約にした「十五年使用期限」がある。普天間飛行場を名護市沖の代替施設へ受け入れる条件として代替施設の使用期限を十五年と限定したケースだ。
だが星野市長は「腹の中には、これで良しとする考えは当然持っているが、負担軽減の考えは国の責任で示すべきだ」と政府に対しては多くを語らない。ある市議は「再編は阻止できなくても、将来的な基地の縮小返還を確約する国の言質を取りたいはずだ」と市長の考えを推し量る。
座間市域には主要施設が集中するが、最終報告で返還が提示されたのは市内の基地占有面積六十二ヘクタール中、わずか一・一ヘクタールにすぎなかった。
市是からすれば、ささやかな土地の返還で容認はできない。星野市長は「恒久化解消の道筋を示せ」と政府に問いかけている。それは米軍基地を抱える自治体に共通の根本的な課題でもある。
だが国は、従来通りに「(基地の)必要性についてわが国が主体的に不断に検討・精査」を行うとするにとどめ、何ら具体的な答えを示すことができないでいる。
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県内米軍基地を巻き込んだ在日米軍再編の「最終報告」が一日、決定した。しかし地元自治体や住民には不信や異論、懸念や期待が複雑に交錯している。土地の返還、部隊の移転−。計画完了の目標とされる二〇一四年に向けた課題を追った。 (米軍再編問題取材班)
■座間市の質問に対する防衛庁側の回答要旨(4月24日付、抜粋)
【米軍基地の将来に向けての展望】
政府は今後も国際的な安全保障環境の改善に主体的・積極的に取り組む考えであり、それが米軍基地の返還をはじめとする地元負担軽減につながり得るものと認識。既存の基地の効果的・効率的な使用の可能性を探求するとともに、必要性についてもわが国として主体的に不断に検討・精査を行い、整理縮小に向けて必要な措置を講じていく所存。
将来、安全保障環境が大幅に改善されたような状況においては、キャンプ座間を含め、特に人口密集地所在の基地について、地元負担がより軽減される方向で重点的に検討が行われるよう最善の努力を傾注したい。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20060503/lcl_____kgw_____000.shtml
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