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(回答先: 「横浜日記」(45)その2―「ウィ・シャル・リターン」 【時代状況 横浜日記】 投稿者 愚民党 日時 2006 年 5 月 04 日 18:10:08)
「横浜日記」(45)その1―「ウィ・シャル・リターン」
http://blogs.yahoo.co.jp/humemoto2005/34822807.html?p=1&pm=c
「横浜日記」(45)その1 06・4・26 梅本浩志
<「ウィ・シャル・リターン」>
額賀防衛庁長官が訪米して、4月23日に米国のラムズフェルド国防長官と会談し、在沖縄米軍海兵隊のグアム移転費について、日本側が移転に伴う総経費102億7千万ドル(約1兆1900万円)の59パーセントにあたる60億9千万ドル(約7千億円)を負担することで合意した、と発表した。言葉を失う日本政府の対応だったと言わざるをえない。
とにかく米国ブッシュ政権の強引極まるやり方と日本小泉政権の屈従的な対応が際立つ交渉と「合意」であった。敗戦後60年以上に及び、講和条約を締結して日本は独立国となっているはずなのに、沖縄を中心とする米国の日本に対する軍事占領は今日まで続き、基地に苦しむ住民たちの怒りと不満は限界状況にある。米国をはじめ日本政府もそのことを知らないはずがない「戦後」が続いてきたし、いま改めてその現実を強く再認識させられる今度の合意だった。
21世紀に入って米国は、世界の軍事支配戦略を根本的に変更する必要に迫られていた。中国の強大化とイスラム・ゲリラの世界規模の攻勢、そして石油資源の限界の露呈や経済のグローバリゼーションに伴う通商・通貨体制の不安定化などで、米国の軍事中心の世界支配体制が必ずしも磐石でないことが露呈し、世界戦略を大幅に変更する必要に迫られていたのである。
こうして米国は、自らの世界戦略の大幅変更の一環として、沖縄の第3海兵機動展開部隊司令部の大半をグアムに移転することを決定し、日本政府に構想と実施計画を提示した。なんと「沖縄の負担軽減策の柱だ」としてそうするのだと、偽善的な口ぶりも露にである。
大袈裟なその言い振りからして、では海兵隊の全員1万5千人が沖縄から撤退するのかと思いきや、司令部要員を中心とする8千人とその家族など9千人合わせて1万7千人だけで、戦闘部隊7千人は駐留を続けるというのだから、つまり半数しか撤退しないわけである。
こうした偽善の上にどあつかましさを重ねたのがブッシュの米国だ。当初、撤退に伴う総経費の実に75パーセント、つまり約9000億円を日本が負担すべきだと要求してきたのである。日本側が沖縄の米軍基地負担の軽減を望んでいたのだから、必要経費の大半を日本が負担して当然だ、というのがその理屈だった。沖縄で支配的特権階級として生活を享受していたアメリカ軍家族の、新築するグアム住宅のカネも日本が出せという、なんともどあつかましい要求である。
アメリカ側の要求は、私のような素人から見ても見え透いていた。最終的には折半の相互負担になるだろうから、100パーセントと50パーセントのまん中の75パーセントを吹っかけておけばよかろう、というブッシュ政権の魂胆である。
私は日本政府もこのようなことは当然読み、交渉の駆け引きの常識からして、まず最初に日本側の負担ゼロから始めるものだと思っていた。だが私の小泉政権に対する認識はまだ甘く、なんとブッシュ政権の吹っかけからほとんど間がない数日後に小泉自ら、「応分の負担は当然」と公の場で発言する始末で、既にこの時点で勝負あったのである。その結果が日本側59パーセント、米国側41パーセント(41億8千万ドル)の負担で急きょ決着した次第である。
外国占領軍が撤退するに際して、占領相手国から、移転費用なるものを支払わされるなど、前代未聞である。少なくとも引き揚げ先の本国での経費、それも軍人家族の住宅建設の工事費用まで支払わさせるなど、不勉強かもしれないが、私はそんな前例を聞いたことがない。外国でそうした先例があるのだろうか。
そうでなくても日本人は、米国の軍事政策に対してこれまで非常識とも言える協力をしてきた。させられてきたというべきだが、日本の自民党政権のなんとも卑屈で、見識も誇りもない態度で、進んで協力してきた。
アフガン戦争ではインド洋に給油艦を派遣して、米国軍を中心とする多国籍軍に燃料を無料で供給し続けてきた。洋上無料石油スタンドである。それに要する直接的な費用として日本は毎年150億円ぐらい負担していたはずで、軍艦の派遣費や人件費などをいれるとはたしてどのぐらいの金額になっていることやら。
湾岸戦争では、1兆円とも2兆円とも言われる巨額の軍事資金を米国に提供した。このとき日本は世界から「ATM(現金自動支払機)」と呼ばれてバカにされたことは記憶に新しい。海上自衛隊(日本海軍)の掃海艇も派遣して、ペルシャ湾の機雷除去をやったりした。日本の船舶の安全のためという大義名分を日本政府は掲げたが、米国からせき立てられて同国の艦船の安全のためのほうに比重がかかっていたことは明らかだった。
「思いやり予算」とかいって、なんと駐留米軍の経費をずいぶんと負担している。軍事占領するものに、されるものが「思いやる」とは心温かい太っ腹の負担である。手許に「思いやり予算」についての資料がないので、インターネットで調べてみると、おおよそ次のようなことが分かった。
この「思いやり予算」は、1978年の金丸・ブラウン会談で取り決められたものだという。金丸とは現民主党党首・小沢一郎の親分である金丸信で、ブラウンとは当時の米国国防長官である。なんでも金丸が「思いやりを持って接しよう」といったとかでこの名称で呼ばれるようになったとか。
データは少し古いが、予算総額は1979年から2000年までの期間、1万1930件もの在日米軍関係事案について日本が資金負担し、その額は実に1兆6000億円に上るそうだ。この数字はなんでも赤嶺政賢衆議院議員の質問要求に対して防衛施設庁が提出した回答資料に基づくものだそうだから、まず正確なのであろう。
その内訳は、基地用地借上げ費、基地内住宅整備費、米軍家族住宅建設費、基地住宅光熱費、学校関係費、育児所費、日本人従業員給与費、騒音対策転地訓練費等々多岐にわたり、「思いやり」が一杯詰まっている。
この22年間にわたっての予算支出額1兆6000億円を基に計算してみると、1年当たりの単純平均額は727億円という数字になるから、これをベースに2001年から2006年までの6年間の予算額を推計してみたところ、合計4362億円になり、従って「思いやり予算」が創設されてから、今日までわれわれ「金持ち」の日本人が「貧乏な」アメリカ軍のために税金からプレゼントしてあげたお金は実に2兆円以上になるわけだ。
そして今回、またもや日本は本来、米国が独自に負担すべき資金の59パーセント、約1兆1900億円を出すことに合意した。日米両国政府は、額賀・ラムズフェルト会談の結果としてそう発表した。
ところがである。この原稿をここまで書いたとき、午後3時(26日)のテレビ・ニュースでとんでもないニュースが報じられたのである。それは、小泉政権の思いと姿勢を見て取ったブッシュ政権が、嵩(かさ)にかかって日本から搾り取れるだけ搾り取る方針であることを、あっけらかんと公表してしまったのである。
この公表で、ますます日本はブッシュの米国からバカにされ、なめられることとなったことが誰の目にも明かとなった。いい気になったブッシュ政権は、ローレンス国防副長官の記者会見という形で、4月25日に「日本国内における米軍の再編成に必要とする少なくとも260億ドル(約3兆円)は、全額日本側が負担することとなる」と発表したのだ。今回の60億9000万ドル(約1兆1900万円)はその260億ドルの一部にすぎないのだと言い、ローレンス副長官は、この数字は「控えめな試算」の結果の数字であることを言い添え、このため「日本側負担の総額は3兆円を超える可能性がある」(朝日新聞06年4月26日付夕刊)という。
ローレンスによると、なんでも在日米軍の再編にかかわる経費の総額は約300億ドル(約3兆4300億円)なのだそうで、そのうち米国側の負担はグアム移転経費の約40億ドル(約4600億円)(注・厳密には41億8000万ドル)にすぎないのだと言い、残りは全部日本側が負担するのだというのだ。
米国政府がここまで明らかにしたのには、額賀防衛庁長官が渡米して、ラムズフルト国防長官と会談して、米国側の軍事再編成構想を積極的に支持し、全体計画を取り決めた結果だと考えるほうが常識であろう。全体計画をまず決めておいて、その一部について、より具体的に取り決めるのがこの世の常識というものだからだ。額賀は子どもの使いで行ったのではあるまいに。
3兆円といえば、国民1人あたり3万円だと考えてよいから、4人家族の家庭では12万円ものカネを米軍の勝手と自民党政権の延命のために出させようというわけだ。
これら巨額の負担金はほぼすべてわれわれ日本人の税金で賄われることは当然である。そうでなくても財政難に喘ぎ、おそらく1000兆円(もし1000兆円だとすると、国民1人あたり約1000万円の負担となり、4人家族では4000万円の借金を背負ったことと同じである)には達していると思われる国家と地方自治体の借金で首が回らず、社会福祉費は大幅に削られ、様々な公共サービスは低下の一方をたどり、失業者は実質的に増え(いわゆるフリーターや派遣社員は言うに及ばず引きこもりとなってしまっている若者たちは失業者としてカウントすべきである)、社会は荒廃し、人心は荒れるにまかせている日本国。
その反面、消費税などの増税は必至となり、医療費や介護保険料は言うに及ばず年金なども支払額が増え続ける一方で、逆に公共サービスは低下し、社会的弱者は切り捨てられ、格差が拡大する一方の時代となっているわが日本国。にもかかわらず小泉たち自民党政権は米国占領軍に対して、世界から物笑いの種でしかない巨額の資金を現金自動支払機よろしく差し出すのだという。いい加減にしろよな。
http://blogs.yahoo.co.jp/humemoto2005/34822807.html?p=1&pm=c
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