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2006年05月03日
沖縄はふたたび「捨て石」にされるのかー目取間俊講演会から
http://blog.livedoor.jp/sho923utg/archives/50423288.html
連休中に名古屋で開催された芥川賞作家目取真俊の講演をききにいった。わたしは目取真の小説も好きだが沖縄の地から発信する鋭い時事評論も常に注目している。
こんどの米軍再編のための日本側負担が３兆円とききオドロキ・アキレ・怒りがわいてきた。小泉内閣は財政危機を理由に国民に増税や社会保障費削減などの「痛み」を押しつけながら、アメリカのためなら湯水のように国民の税金を使うのだ。まさに日本はアメリカの属国・植民地・５１番目州・ミツグ国家。
現在進められている米軍の世界的再編については、梅林宏道が『世界』（０５年１２月号「これはもはや「在日米軍」ではない」）でわかりやすく解説している。米軍は対テロ戦争をグローバルに展開するために、海外の米兵を米本土にもどし、米本土から地球上どこへでも派遣できるように海外の基地ネットワークをつくろうとしている（ドイツから３．５万人、韓国から１．３万人撤収）。米軍の再編戦略は「蓮の葉戦略」と呼ばれている。（１）ハブ基地（常駐部隊）、（２）前進作戦地（ローテーション作戦部隊）、（３）安保協力地点を海外にはりめぐらし、カエルが蓮の葉をピョンピョン飛び跳ねるように移動する戦略だ。
そして日米共通の戦略目標を「テロとの戦い」と位置づけ、在日米軍基地をハブ基地として使用しながら、自衛隊を米軍のお手伝いからテロとの戦いの前線に立たせようとしている。この地平線上に憲法改悪も共謀罪などの治安立法も愛国心教育の教育基本法改悪もある。日本はますます戦争に巻き込まれる可能性が大きくなった。
梅林によれば米軍は沖縄に巨大な軍事基地をおく必要はなく地政学的メリットもないという。それではなぜ沖縄に米軍は駐留しつづけるのか。最大の理由は米本土に基地をおくよりはるかに安上がりだからだ。日米地位協定で基地維持費は米軍負担とされている。ところが日本は１９７８年の金丸防衛庁長官時代、基地で働く日本人労働者の労務費を「思いやり予算」として一部負担した。その後「思いやり予算」はふえつづけ現在年間２３００億円。米軍関連の日本側負担は年間６５００億円をこえ、米兵１人当たり年１６００万円にもなる。こんな国は日本をおいて世界中どこにもないのだ。だから米軍は日本からでていこうとしないのだ。日本政府が口先だけでなく本気で沖縄の負担軽減をするつもりなら、「思いやり予算」をやめればよい。そうすれば米軍は否応なく日本から撤収するだろう。
目取真は戦後の日本が憲法と安保を共存させ、沖縄に米軍基地を押しつけて平和と繁栄を享受してきたことをきびしく問う。戦後６０年、沖縄は米国の軍事基地として実質的に占領され、米国のおこなう戦争の渦中におかれてきた。「沖縄を「捨て石」にして本土決戦を回避し、沖縄をアメリカに売り渡すことによって戦後の経済成長を実現した。「戦後」６０年経った今も米軍基地を集中させ、一部の地域を除いては日米安保体制の負担を感じることもなく生活している。その醜さを日本人は自覚すべきです。」（『沖縄「戦後」ゼロ年』）。
９５年におきた米兵の少女暴行事件は、少女の勇気ある告発で反基地闘争の巨大な運動をつくりだした。日本政府は反基地闘争をつぶすため１０年間で１０００億円の金を沖縄にバラまき、札束で頬をひっぱたいて基地の受け入れを強制してきた。その結果なにがおきたか。沖縄は金と引き換えに基地を受け入れたとの認識が本土に広がり基地への関心がうすれた。。その後は「ちゅらさん」ブームに代表されるように、「基地の島」から「癒しの島」へと、沖縄の文化・芸術・自然だけがもてはやされて基地の実態はおきざりにされていった。あの少女の勇気ある告発はなんだったのかと目取真はいう。
いま沖縄の人々の２５％が日本から独立を望んでいる。本土をあてにしているかぎり沖縄の将来はロクなことにはならないと。そして沖縄に同情したり関心をもったり連帯しなくていいから、基地を本土にもっていけと思っているというのだ。
米軍の世界再編で沖縄は再び南西領土防衛の最前線に立たされ「捨石」にされようとしている。沖縄に集中する米軍基地を日本から撤退させるには政治をかえるしかない。そのためにはひとりひとりができるところから声をあげて、沖縄の声に応答していくしかないだろう。
http://blog.livedoor.jp/sho923utg/archives/50423288.html
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