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2006年05月03日
■「共謀罪」法案は廃案しか無い!■〜「越境性」を犯罪構成要件に加えようとする民主党「修正案」への疑問
http://blog.livedoor.jp/zatsu_blog/archives/50775396.html
政府・与党側が提出する「共謀罪」法案に反対している民主党ですが、その民主党は独自の修正案を提示しています。
以下、4月26日付「NIKKEI NET」記事より。
『民主党は26日の法務部門会議で、犯罪を組織的に謀議しただけで罪に問うことができる「共謀罪」を新設する組織犯罪処罰法などの改正案について独自の修正案をまとめた。同日の「次の内閣」会合で了承を得た上で27日にも国会に提出する。
政府案に比べ適用範囲を厳格に制限した。対象団体を組織的な犯罪集団に限定。国際テロ対策の観点を踏まえ国境を越える「越境性」も要件とする。対象となる犯罪行為を政府案の約600から約300に減らす。与党は政府案の28日採決を目指しているが、民主は徹底審議を求めていく方針。』
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20060426AT3S2600C26042006.html
その民主党の修正案は以下のリンク先で全文を閲覧することができます。
http://www.dpj.or.jp/kyoubou/pdf/keihou-shuusei-taisho060427.pdf
この民主党修正案の要は、現行の組織的犯罪対策法の第2条で規定されている「団体」の定義を
『共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織(指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいう。以下同じ。)により反復して行われるもの』
から、
『犯罪を実行することを主たる目的又は活動とする多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織(指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいう。以下同じ。)により反復して行われるもの』
と改め、さらに同法6条の2として、
『次の各号に掲げる行為(国際的な犯罪の防止に関する国際連合条約第三条(a)から(d)までのいずれかの場合に係わるものに限る。)で、組織的犯罪集団の活動(組織的犯罪集団(団体のうち、死刑若しくは無期若しくは長期五年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪または別表第一第二号から第五号までに掲げる罪を実行することを主たる目的又は活動とする団体をいう。次項において同じ)の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該組織的犯罪集団に帰属するものをいう。第七条の二において同じ。)として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、その共謀をした者のいずれかがその共謀に係わる犯罪の予備をした場合において、当該各号に定める刑に処する。ただし、死刑又は無期若しくは禁錮の刑が定められている罪については、実行に着手する前に自首た者は、その刑を軽減し、または免除する。』
という規定を設けることで、「共謀罪」が市民団体などに濫用される事態を防げるとしている点が特徴です。
なお、同修正案条文内に記されている「国際的な犯罪の防止に関する国際連合条約(国連組織犯罪防止条約)第三条(a)から(d)」をここで確認してみます。
『第三条 適用範囲
1 この条約は、別段の定めがある場合を除くほか、次の犯罪であって、性質上国際的なものであり、かつ、組織的な犯罪集団が関与するものの防止、捜査および訴追について適用する。
(a) 第五条、第六条、第八条および第二三条の規定に従って定められる犯罪
(b) 前条に定義する重大な犯罪
2 1の規定の適用上、次の場合には、犯罪は国際的である。
(a) 二以上の国において行われる犯罪
(b) 一の国において行われるものであるが、その準備、計画、指示又は統制の実質的な部分が他の国において行われる場合
(c) 一の国において行われるものであるが、二以上の国において犯罪活動を行う組織的な犯罪集団が関与する場合
(d) 一の国において行われるものであるが、他の国に実質的な影響を及ぼす場合』
私はこの民主党の「修正案」にも疑問を感じます。
まず、「犯罪を実行することを主たる目的又は活動とする」(組織的犯罪対策法民主党修正案3条)という要件は幅広い解釈が可能です。例えば、所謂「過激派」と接点があるとされる人物が団体の役員に就いていた場合など、当該団体が「犯罪を実行することを主たる目的又は活動とする」団体だとされる可能性は十分に考えられます。いや、実際には所謂「過激派」と接点が無くても、警察当局が「接点がある」という嫌疑を抱けば、この条文を拠り所に合法的に当該団体を監視・スパイ等の対象とすることが可能になるでしょう。
同修正案6条の2における「組織的犯罪集団」にしても然りです。例えば、「ブント」のように嘗ては新左翼党派として活動を展開していた団体の場合、この修正案においても「組織的犯罪集団」とのレッテルが貼られる懸念は依然として拭い切れません。
また、民主党は「国連組織犯罪防止条約(国際的な犯罪の防止に関する国際連合条約)」の第3条の網を被せる(同修正案6条の2)ことで濫用を防げると考えているようですが、先に引用した同条約3条をよく読めば明らかなように、この条文は「一の国において行われる」犯罪であっても、他の国に実質的影響を及ぼす可能性さえあれば適用できるのです。
民主党およびマスコミ(民主党修正案を支持している「朝日新聞」など)は、同修正案が「共謀罪」の構成要件に「越境性」を付与し、これによって市民団体への濫用が防げると主張していますが、このような規定は法律文の解釈次第でどうとでもなります。
「共謀罪」法制化に反対しているアムネスティ・インターナショナル日本の寺中誠事務局長は、以下のようなを指摘をしています。
「アムネスティインターナショナルの寺中誠氏はわれわれの活動は世界の多くの国で「犯罪行為」とされ、私たちこそ「越境犯罪組織」そのものでやられてしまう、絶対作らせてはならないと述べた。」
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/Movements/anti-kyobozai060426.htm
私もアムネスティ日本など複数の「国際性」のある団体に入会していますが、アムネスティのような「国際人権団体」などの場合、「越境性」こそを活動の特徴としています。外国人や外国の団体と共同することは決して珍しくありませんし、運動自体も日本は勿論に他国に「実質的な影響を及ぼす」ことを目的に展開しています。
例え、民主党が言うところの「越境性」を「共謀罪」の構成要件に加えたとしても、こうした団体の場合は依然として「共謀罪」の網に掛かる懸念があり、公安警察や公安調査庁などによる「監視・調査活動」に正当化を付与することに繋がります。
このように、民主党の「修正案」も問題を内包しています。
寺中氏も指摘するように「共謀罪」法案は「絶対作らせてはならない」のであり、飽くまで<廃案>を目指すべきだと私は考えます。
http://blog.livedoor.jp/zatsu_blog/archives/50775396.html
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