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http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/73857c74701db5cdbb08b0dfe94c3d27
共謀罪の与党修正案(末尾で引用)について,批判はした(ここ←)
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/473bc92dc2f3f34f25004e1e646fb3ef
が,まさか,改悪されたという見方ができるとは思わなかった。4月25日発行の「超監視社会と自由」(田島泰彦・斎藤貴男編/花伝社)で,元日本刑法学会理事長である村井敏邦教授(←ここ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%91%E4%BA%95%E6%95%8F%E9%82%A6
が,鋭い指摘をしている。
その指摘は,3点。最初の2点は,修正案では適用範囲を制限することはできないというもので,最後の一つが逆に適用範囲が広がるというものだ。
第1に,与党修正案の@について,一件限定したように見えるが,目的の正当性の判断は,法適用者側にあるという点が問題だと指摘したうえ,正当な目的だと考えていても,犯罪目的だとされる場合があることを考えると,団体の共同目的を犯罪目的に限定したというのは,あまり有効な制限にならないと切り捨てている。具体例としては,これまでも,労働者が賃上げのための正当な活動と考えて,会社の前でスクラムを組み,ピケを張る行為が威力業務妨害として起訴され,有罪となっている例を挙げている。
第2に,修正案@の団体とは,政党や労働組合などの既成の組織それ自体を指している訳ではないということだ。そして,2人以上の人が一定の犯罪を目的として集まり,犯罪をしようという合意が形成されれば,そこに「犯罪を共同の目的とする団体」ができあがると指摘したうえ,具体例として,A政党に属する政治家と秘書らが政治資金規正法違反を犯そうと相談したとすれば,その時点で「その共同の目的が政治資金規正法違反の罪を実行することにある団体」が形成されたことになるという事案を挙げている。結局,この点では,修正前とまったく変化がないと手厳しい。
第3に,修正案の@によって,共謀罪の対象となる懲役4年以上の犯罪だけでなく,「別表第1に掲げる罪」(別表1は末尾)を目的の中に含ませたことによって,修正前よりも目的要件は広がっていると言ってよい,というのだ!!別表第1には,公務執行妨害や強要罪,贈賄罪のように,懲役長期4年以上の罪に当たらない,したがって,共謀罪の対象となっていない罪も含まれているため,会社の役員が政治家に賄賂を送ろうと相談したとすれば,共謀罪の対象となる団体が形成されたことになり,結果的に,共謀罪の対象となる犯罪を目的としない団体でも共謀罪が適用されることになるという指摘だ!!
これは,確かに条文上は,そのように読める…。適用範囲を縮小するようなそぶりをしつつ,適用範囲を拡大する…。恐るべし,与党!!
■■与党修正案引用開始■■
第六条の二
次の各号に掲げる罪に当たる行為で、団体の活動【(その共同の目的がこれらの罪又は別表第一に掲げる罪を実行することにある団体である場合に限る。)】@ として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、【その共謀をした者のいずれかにより共謀に係る犯罪の実行に資する行為が行われた場合において,】A当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 五年以下の懲役又は禁錮
二 長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪 二年以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、第三条第二項に規定する目的で行われるものの遂行を共謀した者も、前項と同様とする。
【三 前二項の適用に当たっては,思想及び良心の自由を侵すようなことがあってはならず,かつ,団体の正当な活動を制限するようなことがあってはならない。】B
修正したのは【】で囲まれたところ3カ所。
■■引用終了■■
■■別表第1引用開始■■
別表第一(第二条、第七条の二関係)
一 第六条の二(組織的な犯罪の共謀)の罪
二 第七条の二(証人等買収)の罪
三 第十条(犯罪収益等隠匿)若しくは第十一条(犯罪収益等収受)の罪又は麻薬特例法第六条(薬物犯罪収益等隠匿)若しくは第七条(薬物犯罪収益等収受)の罪
四 刑法第九十五条(公務執行妨害及び職務強要)の罪(裁判、検察又は警察の職務を行う公務員による次に掲げる罪に係る審判又は捜査の職務の執行を妨害する目的で犯されたものに限る。)又は同法第二百二十三条(強要)の罪(次に掲げる罪に係る自己又は他人の刑事事件に関し、証言をさせず、若しくは虚偽の証言をさせ、又は証拠を隠滅させ、偽造させ、若しくは変造させ、若しくは偽造若しくは変造の証拠を使用させる目的で犯されたものに限る。)
イ 第六条の二(組織的な犯罪の共謀)の罪
ロ 第七条の二(証人等買収)の罪
ハ 第十条(犯罪収益等隠匿)若しくは第十一条(犯罪収益等収受)の罪又は麻薬特例法第六条(薬物犯罪収益等隠匿)若しくは第七条(薬物犯罪収益等収受)の罪
ニ 刑法第九十五条(公務執行妨害及び職務強要)の罪(裁判、検察又は警察の職務を行う公務員によるイからヘまでに掲げる罪に係る審判又は捜査の職務の執行を妨害する目的で犯されたものに限る。)又は同法第二百二十三条(強要)の罪(イからヘまでに掲げる罪に係る自己又は他人の刑事事件に関し、証言をさせず、若しくは虚偽の証言をさせ、又は証拠を隠滅させ、偽造させ、若しくは変造させ、若しくは偽造若しくは変造の証拠を使用させる目的で犯されたものに限る。)
ホ 刑法第百九十七条から第百九十七条の四まで(収賄、受託収賄及び事前収賄、第三者供賄、加重収賄及び事後収賄、あっせん収賄)又は第百九十八条(贈賄)の罪
ヘ イからホまでに掲げるもののほか、死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪
五 刑法第百九十七条から第百九十七条の四まで(収賄、受託収賄及び事前収賄、第三者供賄、加重収賄及び事後収賄、あっせん収賄)又は第百九十八条(贈賄)の罪
■■引用終了■■
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