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質問本文情報
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平成十七年十月三十一日提出
質問第六七号
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a163067.htm
犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案に関する質問主意書
提出者 平岡秀夫
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犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案に関する質問主意書
近年における犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化の状況にかんがみ、国際的な組織犯罪の防止対策は緊急を要するものとなっている。しかしながら、第百六十三回国会に政府から提出された、犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案は、提案理由となっている国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結及びサイバー犯罪に関する条約の内容を逸脱した規定等が盛り込まれており、また、我が国の法体系を著しく変更し、国民の自由、権利を著しく狭め、侵害する懸念があるものである。よって当該条約の締結を名目とした国内立法化については慎重を期する必要があるものと考えられる。
従って、次の事項について質問する。
1 共謀罪
(1) 国内法の基本原則との関係
@ 組織的犯罪処罰法では、一定の組織的犯罪について、限定的にその未遂や予備も処罰することとしている。未遂や予備に至らない共謀を、より広範に犯罪の対象とすることは、刑事法の体系として矛盾しているのではないか。
A 我が国の「国内法の基本原則」は「法益侵害の結果が発生したものについて処罰する」というものであり、その基本原則に従い、共謀罪、陰謀罪は我が国では例外的に設けられているに過ぎない。TOC条約(国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約。以下、TOC条約という)三十四条一項に基づき、我が国の「国内法の基本原則」に従った立法化をすべきではないか。
(2) 組織犯罪集団
@ TOC条約五条の国内法化に当たって、共謀罪について「組織的犯罪集団」の関与を必要とした国はあるのか。また、それらの国では、「組織的犯罪集団」をどのように特定しているのか。
A TOC条約二条の「組織的な犯罪集団」は、「金銭的利益その他の物質的利益を得るため」のものに限定されているが、宗教的目的や政治的目的の集団は、含まれないのか。組織犯罪処罰法六条の二の「団体」には宗教的目的や政治的目的の為に作られた団体も含まれているのではないか。
B 法案では、明文上「団体」が組織的犯罪集団に限定されていないが、本法案で対象となる「組織的犯罪集団」を定義するとどのようになるのか。
C 官庁における組織ぐるみの裏金作りの共謀が、共謀罪に該当するのか、法文案に即しての説明を求める。
D 新設を提案している組織犯罪処罰法六条の二で罪に問われるのは、「団体」に所属する者に限られるのか、「団体」の外にいる者は、どのような場合に処罰の対象になるのか。TOC条約五条で罪に問われるのは、組織的犯罪集団に所属する者に限られるのか。
E 今回の共謀罪における組織性の要件は、現行の組織的犯罪処罰法における加重処罰する場合の組織性の要件と同じである。政府としては、これまでにこの要件を満たした事例として把握している団体はどのくらいあるのか。また、そのうち、越境的な組織犯罪を行っている、又は行う可能性が高い団体はどれくらいあると見ているのか。
F この条約の趣旨が、越境的な組織犯罪を防止することにあることに鑑みれば、我が国の刑法原則では極めて例外的な共謀罪の対象となる団体については、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」に基づいて指定される「指定暴力団等」のように予め国家公安委員会で指定する仕組みをとるべきではないか。
(3) 顕示行為
@ TOC条約五条に基づき、立法化に当たって、「合意」に「準備行為(顕示行為)」を伴うこととした国は、「準備行為(顕示行為)」をどのように規定しているのか。
A TOC条約に基づき我が国で国内法制化を行うときには、「準備罪又は予備罪とそれらの共謀共同正犯又は教唆犯」という法体系でも良いのではないか。
(4) 行為の越境性
@ TOC条約三十四条二項の「越境的な性質とは関係なく定める」と規定することについては、我が国政府は、どのような判断に基づいて合意したのか。
A 条約交渉会合において、我が国は、犯罪の越境性に関して、「国際組織犯罪を防止し、その捜査及び訴追に関する国際協力を確保するには、一律に厳格な要件を定めることは適当ではない。」と主張したと聞くが、どういう趣旨か。
B 「越境的な性質とは関係なく定める」という規定の受諾を留保することは、TOC条約の趣旨・目的に照らし、どのような不都合が生じるのか。
(5) 「重大な犯罪」
@ TOC条約で「重大な犯罪」とされる我が国の犯罪のうち、「越境性」の可能性のあるものと無いものはどれか。
A 「重大な犯罪」を国内法化するに当たっては、内容を吟味した上で選別すべきではないか。法案の提案理由にそぐわない「重大な犯罪」が多いのではないか。
B 我が国の国内法において、共謀罪の対象を「長期四年以上の自由刑」に当たる犯罪の共謀とする合理的理由は何か。
C TOC条約の「長期四年以上の自由刑」という基準で特定された「重大な犯罪」は、各国で異なっており、国際的な捜査共助はできないのではないか。
D 我が国では、共謀罪が「国内法の基本原則」に従ったものと言い難い状況にあることから、我が国も、ウクライナと同様な手続きで、「重大な犯罪」をより限定して国内法化すべきではないか。
E ウクライナの例では「重大さの大きくない犯罪(二年を超えない自由刑)」「中程度の犯罪(五年を超えない自由刑)」「重大な犯罪(十年を超えない)」「特に重大な犯罪(十年以上)」という区分があって、共謀罪の対象となるのは後ろの二つ。日本の刑法の体系でも、長期五年超が重大犯罪との境目といってよいのではないか。
F 先進諸国各国における「重大な犯罪(長期四年以上の自由刑)」に当たる犯罪数はいくつあるか。
G 我が国における「重大な犯罪(長期四年以上の自由刑)」に相当する犯罪数は、戦後から現在までどのように推移しているか。また将来の増減についてどのような見通しをもっているか。
(6) 捜査
@ 共謀罪の自首減免は、社会への影響が大きく認めるべきではないと思われるが、仮に自首減免を認めるとしても、それが認められるのは、その共謀が実行に移された場合には、被害が広範・重大で、かつ、事後の回復措置をとることが困難なものに限定されるべきではないか。
A 「共謀罪」を捜査する手法として、どのような方法が考えられるのか。昨年九月に発足した「国際組織犯罪等・国際テロ対策本部」(本部長:細田官房長官)でも検討されているようだが、捜査手法として、司法取引、盗聴、おとり捜査なども考えられるのか。
B 国際的組織犯罪について国際的捜査共助の必要性が指摘されているが、国際的組織犯罪についての捜査共助は、どの程度行われているのか。
C ある国では参加罪を定め、ある国では共謀罪を定めている場合には、国際的な捜査共助は可能か。それは、どのように行うことになるのか。
D この条約の締結により、国際的組織犯罪についての国際的捜査共助の範囲は、どの程度拡大されるのか。また、その件数はどの程度が見込まれるのか。
(7) 「共謀」
「合意」は、TOC条約五条二項で「客観的な事実の状況により推認することができる」としているが、どういうことを規定しているのか。我が国法体系との関係は、どうなっているのか。
2 証人等買収罪
@ 証人との打ち合わせのために、弁護士が、証人の交通費日当、打ち合わせの際の飲食費用を支払うことは、「証人等買収罪」に該当するのか。
A 「証人等買収罪」の創設は、検察側がその意に沿わない証言をする証人に対し圧力を加える虞が生じるのではないか。
B TOC条約二十三条の立法化に当たっても、「越境的な性質」及び「組織的犯罪集団の関与」という要件を付すべきではないか。
3 サイバー犯罪
(1) コンピュータ・ウィルス作成罪
@ サイバー犯罪条約を批准しているのは,アルバニア,クロアチア,エストニア、ハンガリー、リトアニアなど少数であり,主要国において批准した国は存在していないのではないか。なぜ、主要国では批准にいたっていないのか。
A 電子ワクチンなどの製造行為も処罰の対象とするのか。
(2) 保全要請
@ プロバイダ業者の実態をどのように把握しているのか。通信履歴の保全をするために、業者の負担がどの程度あると認識しているのか。
A 保全要請ができる場合を、「電磁的記録の消去又は改変の虞がある場合」に限定すべきではないか。
B 保全要請期間として、なぜ九十日が必要なのか。その根拠は何か。
C 保全要請期間を「三十日以内」に短縮すべきではないか。
D 当局による本権限の濫用を防止するためにも、保全要請は書面で行わせるべきではないか。
E 当局による本権限の濫用を防止するためにも、実施状況を国会報告すべきではないか。
(3) 差押さえ
@ 差押さえ対象が広すぎないか。コンピュータがLAN網で接続されている場合など、令状での特定が無意味になってしまわないか。
A 差押さえ対象を明文で限定すべきではないか。
(4) 猥褻物頒布罪
刑法百七十五条一項後段を「電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も同様」と改正することにより、行為の客体(電磁的記録)を拡張するとともに,現行法の「頒布(無償の譲渡行為もしくは販売以外の方法とされてきた)」と「販売(有償)」を一括して「頒布」としてまとめている。また、わいせつな記録等の電気通信の送信行為(実際は相手のコンピュータ上で複製されるだけで所有権の移転を伴わない)も「頒布」に含めようとしているなど、従来の「頒布」概念を改変している。構成要件の規定の仕方としては問題ではないか。
右質問する。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a163067.htm
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