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原子力空母の横須賀配備問題
米、情報公開し説得攻勢
米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に配備が計画されている原子力空母。米海軍は、原子炉事故への不安を訴える地元に対し、空母に搭載している「海軍原子炉」の一部データの公開に踏み切った。安全性の検証にはほど遠い内容ながら、機密保持を盾に一切の情報公開を拒んできた姿勢を変えた。その背景には、受け入れ施設の整備を目前に控え、地元説得を最優先させなくてはならない事情が垣間見える。 (横須賀支局・斎藤裕仁)
原子力軍艦の安全性を説明した「ファクトシート」が、蒲谷亮一・横須賀市長に提示された今月十七日。米国・西海岸のサンディエゴ基地に停泊中の原子力空母「ステニス」艦内では、市議会と横須賀の経済界の代表約二十人で構成する視察団が、原子炉の安全性について説明を受けていた。
「海軍原子炉は加圧水型で、燃料は固体金属。出力は大型発電用原子炉の五分の一(約二十万キロワット)で二基積んでいる」
原子炉構造の概要にも触れた米海軍原子力管理局のエリック・スナイダー報道部長は、燃料濃縮度が原発用(3−5%)よりはるかに高い93%以上だと明かし、特別な教育、訓練を受けた約四百人の原子炉要員が制御していることも加えた。
これまで推定でしか語られなかった数字だ。強く希望した原子炉の見学は実現しなかったが、同行した在日米海軍司令部報道部長のジョン・ワラック中佐は「原子炉の設計データや技術を明かさないのは、コピーされたら戦術上、作戦上の優位が崩れるからだ。原子炉は私でも見ることは許されていない」と言う。
米軍のアジア戦略にとって、原子力空母の横須賀配備は至上命令。一部とはいえ、技術情報を公表したのは、この実現に地元協力がいかに重いかを裏付けた。ワシントンから駆け付けた在米日本大使館の防衛駐在官、吉田正紀海将補は「米軍がこんなに丁寧に説明するのは例がない。破格な待遇だ」と驚いていた。
こうした米海軍の説得攻勢の背景には、間近に迫ってきた空母の受け入れ施設整備がある。
最も大きな課題は、空母が停泊する埠頭(ふとう)の海底を二メートル近く掘り下げるしゅんせつ工事。原子炉の冷却用に海水を取り込む必要がある原子力空母にとって、浅い水深は取水を妨げ、安全を脅かすからだ。
政府は来年度の「思いやり予算」で実施する方針で、八月の概算要求に盛り込むための予備調査が目前に迫っている。着手するには港湾管理者である蒲谷市長の同意が不可欠だ。
同意のかぎは安全性の証明。外務省は「安全性を確信している政府の判断を見直す必要はない」と開示情報を評価するが、原子炉技術者からは「船舶に搭載するため、小型化の工夫がされているのは分かるが、この程度の情報では独自に安全性を検証することはできない」との声が聞かれる。
原子力災害に備えた自治体と海軍との防災協定締結も市民の安心感を高めるが、原子力に照準を合わせた協定は、サンディエゴにもない。
視察団は帰国後、配備容認に肯定的な視察結果を蒲谷市長に報告。市議会の一部会派は二十六日、安全性を確認できたとして容認を決めた。だが、地元の市民団体は「自分たちの都合のよい情報しか出さず、危険性を明らかにしていない」と反発を強めている。
配備容認に直結する工事同意に蒲谷市長がどう判断を下すか。間もなく、原子力空母問題はヤマ場を迎える。
<メモ>原子力空母配備問題
米海軍は、横須賀基地に配備中の通常動力型空母「キティホーク」を2008年に退役させ、原子力空母「ジョージ・ワシントン」を配備する計画を表明。横須賀市は、唯一残る通常型空母「ジョン・F・ケネディ」の配備を強く求めてきたが、米海軍は老朽化を理由に07年中に「ケネディ」も退役させる方針を打ち出している。
<メモ>ファクトシート
原子力災害を不安視する横須賀市の要請に対し、米国政府が原子力軍艦の安全性について説明した文書が「ファクトシート」。原子炉の概要や廃棄物の処理方法、緊急時の対応などを説明しているが、同市は疑問点があるとして再度、政府に説明を求める方針。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060428/mng_____kakushin000.shtml
(一部は新聞から引用)
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