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「話し合うことが罪になる!」共謀罪新設法案の廃案を求める市民の集い(JANJAN)
2005/07/18
7月1日、18時30分より東京仕事財団(旧シニアワーク東京)地下講堂にて、共謀罪に反対する市民の集い実行委員会による、「話し合うことが罪になる!共謀罪新設法案の廃案を求める市民の集い 言論・結社・表現の自由が危ない‼」と題し、集会が開かれました。講師は足立昌勝さん(関東学院大学教授)、小倉利丸さん(富山大学教員)、渡辺治さん(一橋大学教授)の3名です。講演の要旨は次のとおりです。
「共謀罪の危険な法律的構造」 足立昌勝さん
政府が今国会での成立を目指す、現代の治安維持法と言うべき共謀罪は、国連の「越境組織犯罪条約」の批准にともなう法整備として出てきたものです。この法案は、犯罪の実行行為が行われなくても相談や確認をしただけで処罰ができるというものです。
共謀罪の対象となる犯罪は、刑法・特別刑法で550を超えます。道路交通法、消費税法、公職選挙法……。なんでもありです。たとえば、消費税反対運動をした場合も処罰の対象になる。一般の人には関係がないと思われるような、組織性、団体性ともいっさい関係がないと思わせるようになっていますが、実際は刑法の改正を狙っているのではないか。結果が発生しなければ犯罪ではない刑法43条を、未遂でも処罰が可能とする真の意図が感じられます。
問題は、ある事実を裁こうとするのか、それともこの法律を使って捜査をするのか、ということです。この法律を使って捜査をする場合はスパイをしないといけない。捜査の担当者の判断によって疑わしいと思ったら、この法律を使って20日間拘留することができる。その場合、疑惑が晴れたとしても社会的ダメージが大きいなど、共謀罪の立法化が与える影響はきわめて大きいといえます。
共謀罪は治安維持法よりもっと悪い法律。絶対に成立させてはいけない。全ての団体に影響がある。自分は関係ないと思っているかもしれないが、政権交代によっていまの体制が変わったら、現政権も捜査の対象になる。
悪法は芽のうちに摘むことが大事。立場の違いを超え、連帯を訴えていきたい。
「監視社会化と共謀罪」 小倉利丸さん
イラクに自衛隊を出兵している今の状況を10年後20年後に振り返ったとき、戦時体制にあることがわかる。その意味で戦後はすでに終わった。今の状況はファシズムである。行政府が三権分立を超えて権力を行使している。議会も裁判も力を失っている。行政の独走がファシズム。
憲法の改正が言われているが、自民党の考えは新憲法の制定であり、改憲という言い回しでまったく中身の違うものを作ろうとしている。そうした位置づけの中で共謀罪を考えなければいけない。
この法案がなぜ日本で議論となるのか。9・11以後、国際的に組織犯罪を取り締まる脈絡の中で出てきた。国家安全保障という人々を安心させる仕掛けをし、安全安心をもってくる。いわば政府の2枚舌であり、二重の作戦の中で共謀罪をもってきた。共謀罪によって日常的に監視がしやすくなる。インターネットがターゲットになる。追跡がしやすいシステムだからだ。権力の監視の道具となるインターネット。
共謀罪が成立すると、さまざまな運動が違法行為として摘発される。実際に犯罪を行っていなくても、話し合っていただけで罰せられる。国民の自由な言論を犯罪と結びつける。全ての人を見張る強固な監視社会。ターゲットは絞られる。まず、移住労働者(日本人ではない。主にアジア系の外国人)。次によそ者(社会的に排除された人たち)。そして、市民運動や社会運動をしている人たちがターゲットになる可能性がある。
これは日本だけでなく、グローバル化による国際的な流れである。いまある体制を維持するためによそ者を排除する。この流れに反対するために、国内だけでなく、国際的にも連携していくことが必要である。国家間の政府間による共同の管理体制に反対するために、国民が連帯し、運動をしていかなければならない。
集会などを通して市民に訴えていくことが抑止力になる。共謀罪の認識が十分ではないので、多くの人たちに広く伝えていくことが大事。廃案を目指す。
「現代警察の戦略と共謀罪」 渡辺治さん
どうしてこんなひどい法案が出てきたのか。全体の流れの中でどんな社会を狙っているのかを考えると、政府がいまの日本社会を彼らの都合のいい社会に変えようとしていることがわかる。
冷戦の終結により、グローバリゼーションが起こった。資本を受け入れる2つの大きな流れ。自由に活動ができるために抗議や反対が起こらない社会を望む。アメリカ・日本の企業の軍需化。軍事国家としてアメリカと手を組んで特権(企業)のために戦う。トヨタ、日産、GMなど、大企業が勝つためにつかいやすい社会に変えていくのが構造改革である。法人税を安くする。中小企業の保護をやめる。規制緩和。日本の農業をつぶしてもかまわない。
軍需大国化と構造改革は、企業にとって都合のいい社会に変えていくこと。日本の社会は自民党支配の利益誘導型社会である。60年〜80年代、社会は安定していた。企業の傘の下にいれば暮らしていけた。失業率、離婚率、犯罪、いずれも低かった。夫は正社員として働き、家族の安定があった。共謀罪は、グローバル化や新自由主義が日本の社会構造を破綻させてしまい、取り締まるために出てきた象徴的な出来事である。
新自由主義によって格差社会が確立した。下層の人や市民の反政府的な運動を、警察権力によって弾圧する。社会の改造による治安の強化。新自由主義が伴う社会構造の破綻は世界的に起こっている。予想しなかった事態。日本の社会の安定や社会が壊れた。これを防ぐには、グローバル化をやめることである。
構造改革は社会保障や中小企業のスリム化であり、自民党の利益誘導型政治を壊すことである。グローバル化を維持するために競争して構造改革をし、正社員を切ることによって予想以上に社会構造が破綻した。失業者400万人(不況ではない)、生活保護世帯100万所帯、健康保険料を払えない世帯が25万所帯、非正規労働者女性50%。男性20%、15歳〜20歳の4割は非正規労働者、フリーター400万人、離婚率2.5%(先進国並み)。犯罪増加・……。
グローバル化による治安の強化ではなく、国民経済をよくすることが犯罪を防ぐ。新自由主義をやめて福祉国家に変えることである。
企業と政府が日本をアメリカ型の階層社会にしようとしている。そこに日本独特の共同体がある。格差社会と共同体社会。市民上層を中心とした社会を共同体で抑える。はみ出しているものを治安で抑える。監視カメラや地域共同体の強化によって、あぶりだす。地域のコミュニケーションの強化や、憲法24条を改正し、離婚や結婚に制限を設けるなど、家族の強化をはかる。
階層型社会、格差社会が共謀罪を生み出した。自民党と民主党は同じ。ともに構造改革、軍事大国を目指している。どっちが倒れてもいいように2大政党を作った。反対派の人たちが爆発するような社会は困るので、治安国家となる。労働組合や福祉の切捨てに反対する運動など、市民運動のグローバル化、大衆的な基盤ができるのを恐れている。治安の強化は政府や警察だけでなく、党や地方自治体や財界など、政財官をあげてその担い手の拡大がはかられている。
共謀罪は予防主義。犯罪は起こってしまったら終わりなので、テロを取り締まる口実として外国人の不法滞在や、青少年がポルノ雑誌等を手にしないための規制を行う。労働組合や市民運動など、自覚的な活動をしている人を取り締まる。立川テント村事件や、共産党のビラを配っていた公務員が国公法で逮捕されるなど、公安警察が再活性化している。
治安国家戦略の中の共謀罪は、国際的な共同歩調から政党、組合、市民運動など自覚的反抗運動への流用の思惑がある。テロ対策立法への布石。
※当日は講演のほかに、弁護士や市民団体の方々の共謀罪廃案に向けての決意表明がありました。また、社民党の福島瑞穂党首も駆けつけ、「こんな乱暴な法律が出てきたことに驚いている。廃案を目指す」と宣言しました。そのほか、共謀罪に反対する民主党や共産党の国会議員からのメッセージが読み上げられました。
(ひらのゆきこ)
http://www.janjan.jp/government/0507/0507179665/1.php
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