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福祉作業所「ふれんどりぃ」(埼玉県北本市)の知的障害者27人は、全員が保険業法の規制を受けない無認可共済の「やまびこ互助会」(会員約5200人)に加入している。
宮本修さん(22)は肺炎でたびたび入院する。安い掛け金で済む互助会の給付金が家計の助けだ。母きみ子さん(50)は「保険会社には、障害者というだけで加入を断られた」と言う。
その互助会が昨年4月の保険業法改正で、保険専門スタッフをそろえるよう迫られている。金融庁は「共済の財政を健全化し、消費者を保護するため」というが、事務局は「掛け金収入のほとんどが人件費などに消えてしまう」と心配する。
金融庁は04年1月、一枚の要望リストを添え、無認可共済への規制を金融審議会に諮った。リストは保険の業界団体や米国が総合規制改革会議(宮内義彦議長)に提出した要望の抜粋だった。最も強い表現を使ったのは「すべての共済に保険会社と同一の規制」を求めた米国。背景には共済にシェアを奪われる危機感がある。
金融審の専門委員で外国損害保険協会の森崎公夫副会長でさえ「こんなに厳しい規制を急いでかけては共済つぶしと疑われても仕方がない」と指摘する。
その前年の秋、共済をめぐる動きがすでにあった。在日米国商工会議所(ACCJ)が政府に規制を求め、米国の対日規制緩和要求リスト「年次改革要望書」にも盛り込まれていた。
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94年1月下旬、ワシントンは大雪に見舞われた。就任1年を迎えたクリントン大統領に日本から一つのレポートが届く。「政権は日本にどの程度どういう風にいつ外圧をかければ、日本の反感を招かずに目標を最も有効に達成できるかを知らない」。レポートの執筆者グレン・S・フクシマ氏によると、大統領はこの箇所に線を引き「正しい」と書きこんでクリストファー国務長官やカンター通商代表らに目を通すよう指示したという。
フクシマ氏は日系3世。日本への留学経験もある。レーガン、ブッシュ政権の5年間、米通商代表部(USTR)の日本担当を務め、ACCJの会頭になった。
米政府は対日貿易赤字の削減交渉に行き詰まっていた。フクシマレポートの9カ月後、チャールズ・レイクUSTR日本課長(現ACCJ会頭)を日本に派遣する。「規制緩和」を求める路線への転換を日本側に伝えるためだった。「自由な競争こそが日本の競争力向上につながる」と考える通産省、経団連と利害が一致した。
米政府は94年11月、初の年次改革要望書を日本に提出する。フクシマ氏は「日本の財界人、役所、政治家が(自分たちの要望を)アメリカの要求に加えてほしいと頼んできたことがある」と証言する。日本経団連事務局の幹部も「必要ならば外圧を利用してきたし、外圧といえば米国しかない」と言い切る。
00年11月、オリックスの宮内義彦会長が委員長を務める規制改革委員会にフォーリー米駐日大使が招かれ、年次改革要望書の説明をした。ある委員が発言した。「(規制の強い)医療の分野で米国から議論が出ないのは残念だ。米国のビジネスチャンスを増やすのに役立つではないか」
国内の外資系企業で働く日本人が増え、ACCJの個人会員約3000人の6割を日本人が占める。日本の企業社会に詳しい彼らから寄せられる要望が「ガイアツ」をパワーアップさせる。
ACCJは宮内氏を01年の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選んだ。「長年にわたる規制緩和や構造改革に向けた積極的な活動」が表彰の理由だった。
今年2月中旬、ACCJの約40人が有力国会議員や省庁を手分けして訪問した。「国会ドアノック」と呼ばれる陳情だ。
「日本の改革応援団」。これが今年の活動方針だという。
(毎日新聞) - 4月6日18時33分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060406-00000070-mai-soci
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