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2006.4.3(その2)
森田実の言わねばならぬ[10]
小泉構造改革は国民生活を破壊した
データで見る小泉政治の5年[東京新聞(2006.3.26)3面の記事「核心」より]
――企業倒産・不良債権・労働分配率・就学援助・生活保護・自殺者数――
「息の香の臭きは主知らず」(日本の諺)
東京新聞は他の中央紙(朝日、毎日、読売、日経、産経)に比べて、よい新聞である。中央紙の5紙は傲慢である。それだけではない。思い上がっている。このため非常識な記事が少なくない。国民の常識から遊離している。
これに対して東京新聞は国民の常識に根をおいている。謙虚である。
だが、次の表現は正しくない。
《日本経済がデフレにあえいでいた時期に誕生した小泉政権は、景気が回復軌道に乗るまでさまざまな事態に直面した。》(3.26朝刊3面の記事、「データで見る小泉政治の5年」前文の冒頭部分)。
私が問題にするのは「景気が回復軌道に乗るまで…」という表現である。東京や名古屋は「景気が回復軌道に乗った」といえるかもしれないが、全国的には景気は回復したとはいえないのが現状である。大企業の景気は回復したとはいえるが、中小零細企業はいまだ回復していない。国民生活はいまだ回復していない。「景気が回復軌道に乗った」というのは、マスコミがつくり出した一種のフィクションである。繰り返す。景気は全国的に見れば、いまだ回復していないのである。
マスコミは景気が回復したとの固定観念に固まってしまっている。東京新聞一紙くらいは、日本の現実を直視してほしいと思う。揚げ足を取るように思われるかもしれないが、この点は厳密に考えたほうがよい。
3月26日付の東京新聞朝刊が取り上げているデータは、(1)企業倒産件数、(2)主要行の不良債権の推移、(3)労働分配率の推移、(4)就学援助を受けている小中学生、(5)生活保護世帯数の推移、(6)自殺者の推移――の6データである。
第一の企業倒産件数は2002年をピークに減少傾向にある。これだけ見ると小泉構造改革政策があたかも成功しているように見えるが、これは一種の統計のトリックである。小泉政権発足当初、小泉政権自身が企業倒産を増やす政策をとった結果、企業倒産が増加した。2003年以後は減ったが、これは小泉政権発足直後の倒産件数に比べて減少しただけのことである。これは小泉政権の破壊政策の結果である。
第二の主要行の不良債権の推移についても同様のことが言える。小泉内閣は発足当初、不良債権を増やす政策をとった。その後の減少は、初期の無茶な政策をつづけることができなくなった結果である。
第三の労働分配率の推移(2002年をピークに、その後は減少の一途をたどっている)は、小泉構造改革の本質が労働分配率の引き下げにあったという事実が如実に示されている。小泉構造改革は人件費を引き下げ、家計を苦しくする政策なのである。「人間より企業を大事にする。すべては企業の儲けを図るために」――これが小泉構造改革であることが、労働分配率の傾向的低減に示されている。
第四の「就学援助を受けている小中学生」と第五の「生活保護世帯数の推移」はともに増加の一途をたどっている。国民生活は急激に悪化しているのである。
第六の自殺者の推移は2003年をピークにその後は低下傾向にある。これをもって「小泉構造改革の成果」と言う者がいるが、これは間違っている。 2003年の自殺者は3万5000名に近いという悲劇は小泉構造改革の結果だった。小泉構造改革という非人間的な政策の犠牲者がいかに多いかということなのである。
国民生活という視点から日本経済を見ると、日本経済は明らかに悪化の一途をたどっている。われわれが見落としてならないことは、日本国民は、小泉政権の従米政策の結果、苦しめられているという事実である。
小泉政権が日本経済を縮小させ、景気を低迷させる政策をとりつづけているのは、米国政府の指示に従った結果である。米国政府は小泉政権に不況政策をとらせることによって、日本の巨額の貯蓄を米国のために使おうとしたのである。日本が不況であれば日本の巨額の貯蓄は日本国内では使い道がないため、米国へ移転し、米国経済の繁栄のために使われる。米国の真の狙いはここにあった。同時に米国の国家財政のために日本の金が役に立つ。日本のカネが米国債を通じて米国に移転する。すべては米国の繁栄のためである。小泉構造改革とは、日本の富を米国に移転させるための政策なのである。
日本国民は小泉政権の5年間、米国の繁栄のために働かされてきた。日本国民の生活は切り下げられた。日本国民は米国の繁栄のために犠牲になったのである。
われわれ日本国民はこのことに気づかなければならない。気づいた時、日本国民のための政治が復活するのである。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C02560.HTML
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