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【天木直人 ニッポン外交の迷走】 2006年4月3日 掲載
小泉首相、バナナの叩き売りでいいのか
米軍再編に関する大詰めの協議があす(4日)から6日まで、ワシントンで開かれる。日本の命運を決定づける重要な協議が局長代理クラスの審議官に任されていること自体許しがたいことであるが、協議の中身はもっとお粗末である。
沖縄・普天間基地の移設場所を微調整するとか、米海兵隊のグアム移転経費負担をバナナの叩き売りのように値切ればいいというものではないだろう。
小泉首相はわが国の安全保障政策をどうするか国民に率直に問いかけるべき時に来ている。米国に守ってもらうしかないとして対米従属を続けるのであれば、今後とも米国のどんな無茶な要求にも従う他はない。そんな国のあり方が良いはずはない。
それではどのようにして自国の安全を確保するか。これは突き詰めると2つの選択しかない。自前の軍隊を持って抑止力を高めるか、それとも平和憲法を武器にあくまでも外交力で日本の安全を守ろうとするかのどちらかである。
前者を選択する場合は核兵器保有を含む軍事力の強化に突き進む他はない。今日のように兵器の破壊力、殺傷力が極度に高度化された時代にあっては、なまじ中途半端な軍事力を持ったところで役に立たないばかりか危険ですらある。しかしこれには膨大な経費を覚悟しなければならない。それにもまして、国土が小さく人口が密集している日本が今日の戦争から被る犠牲はあまりにも大きい。
そう考えると、憲法9条を武器に専守防衛に徹し、外交力によって潜在的脅威を除去することに専念するほうがはるかに合理的であることに気づく。外交力こそ強化させなければならないのだ。
半世紀前、宰相吉田茂は憲法9条を盾に、米軍の再軍備要求をはねつけて戦後復興に成功した。
それから半世紀、小泉首相と外務官僚が決まって口にするせりふは「米国に逆らって安保条約を破棄されたらどうする」というものだ。しかし、日米同盟関係の解消をおそれているのは米国の方なのである。日本ほど気前よく財政負担している国は他にない。それにもまして米軍艦隊の補修、補給を支えられる工業力、技術力を持つ国は日本をおいて他にはない。この日本の国力を外交交渉に使うことなく、ただひたすらに米軍再編への協力を一方的にのまされることになれば日本外交史に大きな汚点を残すことになるであろう。
▼天木直人(あまき・なおと) 元レバノン大使。1947年生まれ、京大法学部中退で外務省入省。イラク戦争に反対する公電を送り、小泉首相の対米追従外交を批判して「勇退」を迫られる。著書に「さらば外務省!」「ウラ読みニッポン」(講談社)など。
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=25638
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