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【ワシントン=気仙英郎】アラブ首長国連邦(UAE)の国営企業ドバイ・ポーツ・ワールド(DPW)が米議会の反対で、米国内の港湾施設の管理を断念した問題が尾を引いている。
DPW問題をきっかけに貿易自由化やグローバル主義を掲げる米国の姿勢に不信感が広がっているためだ。
DPWにあわせて重要公益施設への外国企業参入規制法案も議会に提出されており、安全保障と経済自由化のバランスをめぐる国際的な議論に新たな一石を投じた形だ。
「今回の件は特別で、アラブ企業全体に対する拒絶を示したものではない」
スノー財務長官はDPWが港湾施設管理の断念を発表した後、複数の米テレビに出演し、この事例が例外で、米国のグローバル化を志向する政策に何ら変更がないことを強調して回った。
議会側の強硬な反対姿勢に対して、「自由貿易を主張する米国が、あいまいな安全保障の基準で、米国への投資を阻害している。ダブルスタンダード(二重基準)を内外に印象付ける結果になりかねない」「海外からの投資は、米国経済を支えており、DPWの件は、世界に間違ったメッセージを示すことになる」など米産業界から、貿易や投資自由化の重要性を訴える声が相次いだ。
DPWをめぐる混乱では、ブッシュ政権は当初から、「安全保障上問題がない」として、議会がDPWによる港湾施設管理阻止に動けば、「拒否権を発動する」としていた。しかし、議会が、「二〇〇一年の米中枢同時テロの容疑者二人がUAE出身で、同国が国際テロ組織アルカーイダとのつながりがあるとの懸念を払拭(ふっしょく)できない」(ハンター下院軍事委員長=共和)と強く反対。世論調査でも米国民の七割強がDPWによる港湾施設管理の請負に反対したため、UAE側が自主的にあきらめる形で幕引きとなった。
問題は、ブッシュ大統領の「今回のDPWの件が、われわれの友人や同盟国、特に中東諸国に対して送るメッセージに懸念を抱いている」との発言が現実になりかねないことだ。米議会では、ハンター軍事委員長らが提出した重要公益施設の管理業務への外国企業参入規制法案を、今後、可決する方針を示している。同法案は、港湾や原子力発電所など安全保障上重要な公益施設に関する業務について、「最高経営責任者(CEO)が米国人で、かつ役員の過半数が米国人の企業」でなければ認めないなどとし、安全上の懸念の対象施設は国防総省が中心となって指定することになる。
二〇〇五年の外国からの資本流入は一兆二千九百二十六億九千五百万ドル。海外からの資本流入が、米国の財政赤字を埋めて、米国の堅調な経済成長を支えている。もし、米国のグローバル主義に対する不信が広がれば、海外の資金が細り、米国内の金利は上昇、米経済は大きな打撃を受けかねない。特にアラブ諸国からの巨額のオイルマネーが、米国の株式や債券投資に回っているためだ。
世界貿易機関(WTO)も、安全保障を理由とした投資や貿易の制限を各国に認めているが、安全保障の基準は非常にあいまいなのが実情だ。
(産経新聞) - 3月21日3時27分更新
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