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普天間移設:沿岸案「微修正」 押し切り狙う政府
政府が21日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)への移設案について「微修正」に応じる姿勢に転じたのは、名護市を政府との受け入れ協議に誘い出すためだ。名護市側は島袋吉和市長が同日夜、額賀福志郎防衛庁長官との会談に応じ、在日米軍再編の最終報告期限に設定された3月末を目前に、政府と名護市の協議がようやく始まった。ただ、微修正で押し切る構えの防衛庁に対し、名護市は海上の埋め立て案への大幅修正を求めており、隔たりはなお大きい。【古本陽荘、三森輝久】
◇譲歩姿勢で協議促す 最終報告迫り、対米見合いの側面も
「今週、精力的に協議し、一定の方向付けをしようということにした。今月末までに日米の最終合意と同時決着をする必要がある」。額賀長官は21日夜の島袋市長との会談後、沿岸案の微修正によって名護市との調整を急ぐ考えを記者団に示した。防衛庁が大幅修正を嫌うのは、96年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告に盛り込まれた海上施設案が9年以上経過しても着工にすら至っていない経験則からだ。
当初は撤去可能なヘリポートとされていたが、沖縄県や地元自治体の修正要求を受け入れた結果、02年に決定された移設案は軍民共用の埋め立て空港に変質したうえ、環境保護団体の反対や反基地運動で着工の前提となる環境影響評価(アセスメント)もなかなか進められなかった。地元側には海上案より滑走路が民家に近づく沿岸案への反発に加え、埋め立て工事の経済効果に対する期待も強い。再び地元の修正要求に応じれば海上案への大幅な譲歩を迫られ、いつまでたっても普天間移設が実現しないというのが防衛庁の主張だ。
それでも微修正なら応じることにしたのは、今月上旬の日米審議官級協議で米側が地元の同意が得られるメドが立たないまま最終報告をまとめることに難色を示したためだ。米側は昨秋の日米協議で海上埋め立て案を提示しており、日本政府内でも外務省が同調した経緯がある。このときは防衛庁側が沿岸案で押し切ったが、今回も外相経験者らが海上案への修正を主張し、与党内で修正圧力が強まっていた。
防衛庁にとっては海上案を阻止し沿岸案を守るための微修正。額賀長官は21日午前に小泉純一郎首相と微修正方針を協議後、「実行可能な線でなければならない。具体的なことについては額賀君に任せるということですから」と記者団に語り、沿岸案を基本とする方針で首相の一任を受けていることを強調した。
◇揺れる名護市 稲嶺県政は反対固く
「それはいいことだと思う。地元が沿岸案に反対だと表明していることが伝わったのかなとも考えている」。島袋市長は額賀長官との会談後、政府の微修正方針を評価する考えを記者団に示した。会談では名護市が受け入れ可能な範囲を「海上案のバリエーション」だと強調しつつ、今後も政府との協議に応じることを伝えた。
市長は21日、東京に向かう前に沖縄県の稲嶺恵一知事と会談し、沿岸案反対に変わりないことも確認している。沖縄の記者団には「微修正なら沿岸案と同じで地元が納得しない。受け入れられない」と語る一方、東京では微修正の動きを評価するところに、普天間飛行場の移設をめぐって揺れる名護市の苦悩が浮かび上がる。
そもそも名護市が受け入れ可能な修正範囲を提示した背景には、めぼしい産業のない中で「基地との共存で市の振興を図らざるを得ない」(市幹部)事情がある。普天間移設の受け入れを条件に政府が打ち出す地域振興策への期待感もある。
一方、沖縄県は従来の辺野古沖埋め立て案以外は受け入れない姿勢で一貫している。沿岸案の容認は「苦渋の選択」で従来案を受け入れた稲嶺県政の自己否定につながるからだ。11月には知事選を控え、稲嶺知事は再選出馬するかどうかを明らかにしていないが、沿岸案容認に方針転換すれば保守県政の継続が危ういとの判断も働いている。
ただ、仮に名護市が沿岸案の微修正を受け入れた場合、政府・与党から稲嶺知事に再び「苦渋の決断」を迫る圧力が強まるのは間違いない。そのためにもまず名護市を説得するのが政府の戦術といえそうだ。
毎日新聞 2006年3月22日 3時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20060322k0000m010118000c.html
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