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WTO農業交渉/「日本提案」訴え行動を
世界貿易機関(WTO)農業交渉は、関税を削減する基準づくりで、ヤマ場を迎える。4月末の輸入条件の枠組み決定に向け、まさに胸突き八丁だ。政府は、国内の農業生産が安定的に続けられるように総力を挙げるべきだ。
2000年3月に始まり、足かけ6年に及ぶ農業交渉は、各国の利害対立が解けず難航を続けている。昨年12月の香港閣僚会議では、4月のモダリティー(保護削減の基準)決定、12月末の最終合意という日程を確認したが、関税削減率など主要な対立点は先送りした。今月行われたロンドンでの主要6カ国・地域閣僚会合でも、隔たりは解消できなかった。一部には、モダリティーの4月合意を危ぶむ声も出始めている。
交渉を難しくしている最大の原因は、米国の野心的な姿勢だ。75%の上限関税を主張するほか、重要品目を1%に制限しようという、自分でも実行できそうもない提案で混乱させている。身勝手さも目につく。輸出補助金を13年までに全廃することには合意したが、「隠れ輸出補助金」ともいえる価格変動対応型支払い(事実上の不足払い)は温存を狙っている。
危惧(きぐ)するのは、こうした米国の提案に、日本政府が振り回され、一方的な譲歩に引きずり込まれることだ。「譲るべきものは譲り、守るべきものは守る」という小泉純一郎首相には、米国の無謀な提案に毅然(きぜん)と反対する姿勢が見られない。首相には「日本農業鎖国発言」もある。農業・農村を守り、維持する立場からは心もとない限りだ。
今回の交渉に多くの国民が期待したのは、多様な農業が共存できるルールづくりのはずだ。その哲学は、2000年12月に提出した「日本提案」として結実している。自然的・歴史的な条件から規模が小さく国際競争力を持てない日本農業を維持するには、この提案に盛り込んだ適切な関税が欠かせない。
149の国と地域が集まって行う交渉だから、日本提案がそのまま通るような状況でないことは理解できる。米の輸入枠を減らすことも「極めて厳しい」(中川昭一農相)状況にある。しかし、米国提案のように、食料輸入国の農業を完全否定するような提案は断固受け入れられない。
交渉が行き詰まると、決まって出てくるのが農業譲歩論だ。政・官・財とマスコミが癒着したような農業たたきが活発化しよう。その時に重要なのが国民的な理解だ。JAグループは、農業交渉が始まる20日から全国統一行動で理解と支持を訴える。宮田勇全中会長ら代表団をジュネーブに派遣し、民間外交も行う。
傍観の時ではない。農業者一人ひとりができることがある。それは、周りの人に日本提案の正当性を語り伝えることだ。それが世論となるはずだ。これからが正念場。みんなで行動を起こそう。
[2006年03月20日付]
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0603/20.html
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