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2006年3月18日(土)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-03-18/2006031815_01_0.html
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神奈川県横須賀市の雑居ビルで今年一月三日、会社員佐藤好重さん(56)を殺害し現金一万五千円を奪ったとして強盗殺人の罪に問われた在日米海軍の空母「キティホーク」の一等航空兵リース・ジュニア・ウィリアム・オリバー被告(21)の初公判が十七日、横浜地裁(小倉正三裁判長)で開かれました。同被告は起訴事実を認めました。
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検察側の冒頭陳述によると、同被告は同日午前五時すぎ、横須賀基地近くの路上を歩いていた際、付近のバーで前夜から飲み明かし無計画に金を浪費したことへの後悔などから「自由になる余分な金がほしい」と、通りすがりの女性から現金を奪おうと決意。同六時半ごろ、通勤中だった佐藤さんに道を尋ねるふりをして声をかけ、佐藤さんのバッグを手で奪い取ろうとしました。
抵抗した佐藤さんに対し、同被告は手で顔面を殴打、ビル一階通路に引きずり込みさらに暴行を加えました。
佐藤さんが泣き叫んだため、同被告は「周囲に騒ぎを聞きつけられる」と殺害を決意。佐藤さんの襟首を両手でつかみ、コンクリート壁の角に力任せに投げつけ、転倒した佐藤さんの顔面や腹部を何度も踏みつけるなどの暴行を続け、腎臓と肝臓の破裂などで失血死させました。
同六時四十分ごろ、同被告は佐藤さんのバッグを持ち逃走。近くの駐車場で定期入れに入っていた現金一万五千円を抜き取ったとされます。
奪った現金は同日中に、風俗店での遊興や飲酒に使ったとされます。
弁護側は「確定的な殺意はなかったが、未必の故意は否認しない」とのべ、死んでも構わないと認識があったことを認めました。
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ビデオ再現「助けて」
「悔しい」遺族悲痛
「死刑にしてほしい」――。初公判で明らかになったのは米兵のすさまじいまでの暴行の実態と、被害者の佐藤好重さんを「助けることもできなかった」遺族やその関係者からの怒りと嘆きでした。
強打を繰り返し
法廷に姿をあらわしたのは殺人罪に問われたリース・ジュニア・ウィリアム・オリバー被告。黒い上下の服。
検察側の冒頭陳述。
道をたずねるふりをして「すいませんでーす」と声をかけた同被告。バッグを奪おうとしたものの佐藤さんに抵抗され、顔面を殴打。さらに馬乗りになって強打を繰り返し、泣き叫ぶ被告にたいして「シャラップ」と怒鳴り、襟首をつかんで抱え上げ、コンクリート壁に振り下ろすように投げつけた…。
被告が映っていた防犯ビデオも公開されました。そこに残されていたのは「助けて」「やめて」と何度も叫ぶ佐藤さんの声やうめき声でした。凄惨(せいさん)な殺害の再現に静まり返った法廷にすすり泣きが聞こえてきました。
法廷では、佐藤さんの遺族や当時佐藤さんと暮らし、結婚を約束していた男性も傍聴しました。
佐藤さんの実弟で、裁判後、記者会見した真田修一さんは「姉の肉声が流れた時、悔しかった。本当に助けてもらいたかったと思う」と絶句。「姉の顔は、原形をとどめていなかった。被告には自分の体で罪をつぐなってもらいたい。二十一歳で(人生の)幕をひいてもらいたい」と死刑を求めていく考えにかわりはないことを明らかにしました。
協定見直し必要
また、米軍には「人の命の重さなどの根本的な教育をしなければ、こういう事件はなくならない」と要求。さらに米兵が日本にいる以上、日本の法律や交通ルールを守ってほしいとしたうえで、「日米地位協定の見直しも必要ではないか」とのべました。
佐藤さんと同居していた男性は本紙に対し「佐藤さんは負けず嫌いだった。(ビデオの)声を聞くと、おれに助けてほしかったんだと思う。おれも米兵にやられるかもしれないけれど、死んでも助けたかったよ。優しい人だった。カネがほしければカネをとって逃げればいいじゃないか。何で『助けて』と何度もいっているのに殴りつづけるのか」と涙をぬぐいました。
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