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□日中関係 これでは子供のけんかだ [朝日新聞・社説]
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#syasetu1
日中関係 これでは子供のけんかだ
「名前が何なの。バラはどんな名でも同じように甘くかおるのに」と言ったのは、シェークスピア劇のジュリエットだった。宿敵モンタギュー家のロミオと恋に落ちた彼女にとって、家の名前などどうでもよかったのだ。
台湾を「国」と繰り返し呼ぶ麻生外相も、まさか同じ思いではあるまい。だが、国と呼ぼうが地域と呼ぼうが、台湾は台湾だと言わんばかりである。
外相は国会答弁で、台湾について「民主主義が成熟し、経済面でも自由主義を信奉する法治国家」であり、「日本と価値観を共有する国」と述べた。
実態はそれに近いだろう。台湾では96年の総統選以来、直接選挙で政権トップが選ばれ、自由経済も栄えている。だが、ことが外交となると、何という名で呼ぶかは決定的な意味を持つ。
72年の日中国交正常化で日本は台湾(中華民国)と断交し、外交の相手として中華人民共和国を選んだ。当時の国際情勢のなかで、日本が生き残っていくための国益を踏まえた重大な選択だった。
そのときの日中共同声明で、日本は次のような約束をしている。
中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。台湾が中華人民共和国の不可分の領土であるとする同国政府の立場を理解し、尊重する。
この「ひとつの中国」路線に基づいて、以来、日本政府は台湾を「国」とは呼んではいない。それは、世界の多くの国も同様だ。
「国」発言は先月、福岡市での講演でも飛び出した。中国は今回、「共同声明に違反する発言だ」と批判した。
日本外交の基本政策をもてあそぶかのような外相の姿勢は著しく思慮に欠けたものだ。
台湾の位置づけは、日本にとって重要であるだけではない。台湾の一部にある独立志向や、場合によっては武力行使も辞さずという中国の強硬姿勢は、この地域の潜在的な紛争要因になっている。米中間でも外交、軍事の中心テーマであり、日本も含めて真剣な外交戦が繰り広げられている。
そんな大事な問題で、言い間違いを装うかのように「国」と繰り返し呼んで中国を刺激するのは、危険であるばかりか、外交として下策である。言葉を軽く扱う外交は信頼されない。
折しも、中国の李肇星外相が他国の政府当局者の言葉を引く形で、小泉首相の行動を「愚かで不道徳」と言い、安倍官房長官が不快感を表明した。日本側が在京の中国大使を呼ぼうとしたところ「多忙」を理由に断られ、電話で抗議を伝えざるを得なかったという。
中国外務省は北京で、日本側の不快感表明にさらに反論した。
なんと不毛な応酬だろうか。こんな子供のけんかのようなことが続くのでは、外交と呼ぶにはほど遠い。両政府とも早く頭を冷やして、大人の対応を取り戻してもらいたい。
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