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□民主党 日曜政談に振り回されるな [毎日新聞・社説]
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20060307k0000m070119000c.html
社説:民主党 日曜政談に振り回されるな
民主党国対委員長に73歳の渡部恒三氏が就任した。明るい人柄とほのぼのした物言いが「緩衝材」となり、偽メール騒動はひとまず沈静化した。自民党の細田博之国対委員長は「教えを請いたい」と言い、麻生太郎外相は「貫禄がケタ違い」と持ち上げた。お世辞も入っているだろうが、自民党は振り上げたこぶしを下ろし、民主党内も収まった。
久しぶりに表舞台に復帰した渡部氏は、記者団に取り囲まれ、テレビに引っ張りだされ、昔の「おしゃべり恒三」が頭をもたげた。おそらく現場感覚を取り戻すヒマもなかったのだろう。
民放テレビなどで、9月代表選の前倒しがありうると発言した。さらに次期代表は鳩山由紀夫幹事長を「最有力」と言い放つ。これに対し前原誠司代表は「任期まで頑張る」と答え、鳩山氏も「小沢(一郎前副代表)氏の出番が近づいている」と手拍子で応対した。
偽メール騒動で無力化した民主党は国会論戦より党内政治に関心を向けたかのような様相だ。信用失墜した党が党内抗争にうつつを抜かす余裕などないはずだ。
渡部氏は根回しをせずに話したのだろう。お得意のアドバルーン、フェイント、目くらまし発言のたぐいとみられる。もともとサービス精神が旺盛で、聞かれたら何か面白いことを答える人なのだ。恒三節と言われるゆえんである。自戒を込めて言うと、片言隻句に騒ぎ立てたのは党執行部だけでなく、マスコミも過剰反応した。
この反応に一番驚いたのは当の渡部氏自身でないのか。別のテレビ番組で「じっとしていれば、小沢さんという声が出てくる。乗せられて前原降ろししてはダメだ」と発言の意図を語っている。つまり代表選前倒しは決まったことでなく、党内の一部のムードを代弁したにすぎない。その後、渡部氏は前言を撤回し、自分のように素早く謝っていれば、偽メールもゴタゴタ騒ぎにならなかったとけむに巻いた。
民主党内には、前原代表、野田佳彦前国対委員長らの若手グループと菅直人元代表、小沢氏、鳩山氏らの確執がある。いまは水面下に潜んでいるが、表に出したいと願っている人たちがいる。劇場型政治にはその方が数段面白い。見方によっては、渡部発言は代表選をめぐる党内の雑音封じ効果を狙ったとも考えられる。
テレビは日曜政談が花盛りである。どの局も同じようなテーマ、同じような顔ぶれで討論番組を組む。しかも違いを出そうとしのぎを削っているから、NHKは民放での発言内容をニュースで伝えない。逆に民放はNHKでの発言を無視する。比較して見ると、どのテレビ局で言っていることが正しいか分からない。
民主党が今もっとも腐心しなければならないのは、テレビ政談の悪乗りではなく、国会審議で「4点セット」再追及の態勢を整えることである。偽メール騒動で後に続く質問者が萎縮(いしゅく)してはいけないし、偽メール騒動の余波で平常心まで失うようでは困る。
毎日新聞 2006年3月7日 0時06分
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