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●この内容は既に「他の板」でUP済みですが、内容をかなり修正することになりましたので再度UPしておきます。
●このような「日本の原風景」を際限なく破壊しつつあるのが「ゼニカネ&格差原理主義の小泉政治」です。
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[希望のトポス]映画『博士の愛した数式』に見る「清明な日本の風景」(修正版)
信州、上田地方の春の風景が心地よく美しい。スクリーンからまるで本物の微風が吹いてくるようだ。80分しか記憶が続かない天才数学者(博士)と清楚な美貌のシングルマザー・杏子(深津絵里)、そしてその息子(齋藤隆成)との心温まるコミュニケーションの物語。“わずか80分の温かい心の交流”の記憶。しかし、翌日にはその記憶が博士(寺尾 聰)の脳裏からすっかりデフォルトされてしまう・・・交通事故の後遺症である短期記憶障害に苦しむ博士・・・吉岡秀隆の語りと回想シーンが物語を静かに紡ぎだしてゆく。
初めは、シングルマザーの家政婦・杏子にとって困難の連続。博士と同じ言葉の会話が繰り返される日々。それでも少しずつ博士とのコミュニケーションが可能となるにつれて、彼女は、博士が語る「素数、友愛数、虚数、オイラーの公式」などの数や数式に秘められた神秘的な美しさに魅了されていく。やがて、10歳の息子が一人で留守番していると知った博士は、息子も連れてくるよう杏子に約束させる。そして博士は息子がやって来ると彼を√(ルート)と名づけた。
杏子が終章で“心の時間は数学の真理と同じで流れ去りません、それは、この胸の中にあるのです、だから今を生きることが大切なのです”と語る。この言葉が印象的だ。
最後に、エンドクレジットの前に流れるウイリアム・ブレイクの詩(下記)が再び映画の感動を呼び覚ます。
『Auguries of Innocence』
To see a World in a Gran of Sand
And a Heaven in a Wild Flower,
Hold Infinity in the palm of your hand
And Eternity in an hour.
(原詩は、http://www.cs.rice.edu/~ssiyer/minstrels/poems/368.htmlによ
る)
『無心のまえぶれ』
ひとつぶの砂にも世界を
いちりんの野の花にも天国を見
きみのたなごころに無限を
そしてひとときのうちに永遠をとらえる
(訳詩は、http://www1.odn.ne.jp/~cci32280/PoetBlake.htmによる)
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●『阿弥陀堂だより』、『雨あがる』などの監督・小泉堯史による「第1回本屋さん大賞1位」を受賞した小川洋子の作品を映画化した『博士の愛した数式』を鑑賞しました。数学をテーマにしながら堅苦しさや難解なところは、まったくありません。しかも、決して多弁な映画ではなく、どちらかというと寡黙であり“優しい眼差し”と“日本の美しい自然の原風景”がコミュニケーションの主役を演じています。
●小川洋子の原作にちりばめられている“清明、魂、いつくしむ、敬う、孤高・・・”などの言葉が見事な“日本の風景の映像美”にデフォルメされ、加古 隆の流麗な音楽が情感を盛り上げています。
●ここ数ヶ月の間に鑑賞した映画、『蝉しぐれ』(http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20051129/p1)と『単騎、千里を走る』(http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20060217)にも通じる“日本の原風景”の映画化です。是非、鑑賞をお勧めしたい作品です。
<『博士の愛した数式』の公式ホームページ>
http://hakase-movie.com/
・・・加古 隆(http://www.takashikako.com/)の美しいテーマ音楽を聴くことができます。
(参考URL)http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/
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