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米軍再編・かながわ:原子力空母配備 米軍の概要書、外務省が公開 /神奈川
◇放射能、安全性を強調「基地外で防護装置必要ない」
◇「裏付けデータない」批判も
米海軍横須賀基地に原子力空母が配備される問題で、外務省は17日、横須賀市と県に対し、米海軍が作成した「米国の原子力軍艦の安全性に関するファクトシート(概要書)」を明らかにした。概要書は艦船から放射能漏れがあっても影響は極めて小さく、日本国内の米海軍基地の外で防護措置を取る必要はないと安全性を強調。記者会見した蒲谷亮一市長は「今後内容をじっくり検討する。安全性が確保できれば(原子力空母を)容認せざるを得ない」と述べたが、専門家からは「安全性を裏付けるデータはない」と批判の声も上がっている。【吉野正浩、足立旬子、稲田佳代】
概要書は、横須賀市が3月23日、外務省に出した質問書に回答したもの。米原子力軍艦の安全性をめぐる論点について、原子炉の設計や乗組員が受ける放射線量など計11項目にわたって説明。艦船からの放射能放出については「可能性は極めて低い」と述べたうえで「放出されても、影響は局地的かつ深刻でないものにとどまる。米政府の基準に照らして屋内退避等が検討される範囲は、軍艦の至近の在日米海軍基地内にとどまる」とした。
また、放射能漏れなど緊急事態の対応計画については「米国内の原子力軍艦の母港や原子力軍艦が置かれているいかなる港においても、避難、ヨウ化カリウムの配布といった公衆防護のための原子力軍艦に特定した計画は存在しない」などと述べている。
概要書について松沢成文知事は「横須賀市長の質問に対して、真摯(しんし)に対応し、原子力空母の安全性について詳細に説明している。文書を受理したばかりなので、横須賀市の考えも聞いた上で、今後の対応を検討したい」とコメントした。
一方、平和問題を研究しているNPO法人「ピースデポ」の梅林宏道代表は「サンディエゴ基地に原子力空母を配備する際の96年、当局が地元の公聴会で説明した内容とほぼ同じだ。米海軍の原子炉は安全と強調しているが、技術的データは明らかにしていない。例えば、燃料棒の構造は金属だと強調しているが、種類や構造が分からなければ判断できない。受け入れようとしている人たちの条件を整えるため、都合の良い情報だけ出している」と批判した。
「原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会」の呉東正彦共同代表は「ちょうど横須賀商工会議所のメンバーがサンディエゴに視察に訪れており、現地でも同様のデータが提示されるのでは。同時に情報を流して安心させる作戦かもしれないが、牛肉の安全性問題と同じで、『安全だから』と一方的に言われても受け入れられない。県や市も批判的な目を持って判断してほしい。99年に原子力空母が事故を起こしているが、米海軍はこのような事故情報を出していない」と話した。
4月18日朝刊
(毎日新聞) - 4月18日12時5分更新
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