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景気回復:実態との乖離
景気回復が報道される割には、実感が伴わないのは何故か。
最近の新聞やTVの報道によれば、日本経済は絶好調、戦後二番目に長い景気が
続いているとか、或いはバブル以来の好景気であると言われている。
今年11月まで続けば、いざなぎ景気(57ヶ月)を抜いて戦後最長記録を更新する
と言う。与謝野経済財政担当相は4月16日TVアサヒに出演し、この景気は来年まで
続くのではないかと述べた。大手企業の収益回復は、戦後最高を記録していると景気
回復を吹聴している。
そんなに景気が回復しているならば、国の税収もさぞかし膨らんだであろうに、だが
相変わらず増税の話しかばかり、なぜだろうか。
どこかおかしい、国民をごまかしているのではないだろうか。
上述の好景気のニュースの裏で次のように景気回復に疑問を投げかける事態も起きて
いる。景気の回復と生活者実感との乖離である。
05年度の新車の販売台数は、04年度比で0.3パーセントの減少だった。しかも3年連
続の減少であるとのこと。売れているのは軽自動車である。
また、新聞の購読者数の減少傾向特に若者の新聞離れが続いている。若者の収入低下
が著しいことが、活字離れを加速しているのではないないだろうか。
NHK視聴料不払い者の増大も単にNHK不祥事あるだけでなく、経済的困窮も関連して
いると思う。
経済的理由を思わせる自殺者の増加、今話題になっているアイフル、消費者金融に頼
らざるを得ない人々の急増や生活保護世帯も増大している。
一体景気回復ってなんなんだ?
余談:公正取引委員会が、新聞の宅配および販売価格について見直しを検討しているらしい。
もし、新聞の宅配制度がくずれ、販売価格が自由化されれば、ドラスチイックな新聞離れが
起きる恐れがある。
これについて、自民党の新聞販売懇話会(中川秀直会長代行)会合を開き意見交換、また
日本新聞協会は、早速反対の表明をしている。
日頃、小泉政権の改革(規制緩和)に、同調している新聞屋さんも自分たちのことに
なると「改革に反対」しているのが面白い。
政府与党もそのことを心得ているから、これをちらつかせる。新聞屋さんも政権
与党に「急所」を握られているから、正面切って政権批判もできないのだろう。
最近のマスコミの堕落振りは本HPでも何度もとりあげたが、「マスメディアが小泉自公政
権に従順な犬のような態度しか示せない一因はこれだったのか」と酷評する人もいる。
追記:4月18日NHKの夜のニュースによると、05年度の中央省庁による公共工事や
物品購入など1万6400件のうち70パーセントが随意契約だった(農林水産省は飛
び抜けて低く20パーセント台)殆どの契約は随意契約だったことになる。随意契約
は、天下り先の温床でもある。随意契約のすべてが悪いとは、言わないが、小泉政
権が5年間「改革々々」と唱えた結果がこのていたらくである。
(各省庁別の随意契約率を知りたいと思って、本件に関するNHKニュース電子板を
検索したところ、「中央省庁70%が随意契約」という標題が残って肝心のこのニュー
スの内容は削除されていた。朝日も同様だった。何らかの圧力でもかかったのか?)
本当のところは、これ?
景気回復が戦後二番目に長い景気が続いているなら、経済活動の成果であるパイGDP
(国内総生産)が大きくなっているはずである。ところが、新聞の景気回復が大きく報道さ
れる割には、GDPの具体的な数字を上げた報道がないのは何故か。
内閣府の統計資料から、最近10年間のGDPの推移を、名目GDPとGDPデフレーター(%)
及び実質GDPとを列記すれば以下の通りである。
GDPの推移(GDP単位:兆円)
暦年 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
名目GDP 502.6 512.2 502.9 495.2 501.1 496.8 489.6 490.5 496.1 502.9
GDPデフレータ 102.6 103.1 103.1 101.7 100 98.7 97.2 95.7 94.6 93.3
実質GDP 489.9 496.8 488.1 486.9 501.3 503.3 503.9 512.8 524.6 538.9
小泉内閣成立前の5年間(96年〜2000年)の平均名目GDPは502.8兆円であり、
成立後の5年間(01年〜05年)では、495.2兆円である。
そして2005年の名目GDPは502.9兆円になっている。名目GDPで見る限り、小泉政
権になって落ち込んだGDPが2005年になって、やっと元の状態に戻ったと言うことである。
パイは実際には大きくなっていないのである。
余談だが、名目GDPという表現は曲解されやすい、「実GDP」と表現すべき。
パイは大きくなるどころか、落ちる所まで落ちてやっと元にもどったに過ぎない。
この5年間で起きたことは、多くの中小企業が潰れたり、より小規模化した。
また中流層に属していた階層が、改革のあおりを受けてリストラという首切りによって、
もの凄い数の人がいったん失職して低所得化した。再就職先では前職時の賃金の半分
とか、三分の一が当たり前になっている。
こうして国民の間で収入格差が生じた。つまり、中小企業から大企業へ、或いは低所
得化した人から高額所得者へ「所得移転」が起きたに過ぎない。竹中大臣が言ってい
た「努力した者が報われる社会にする」とは「中流層の切り捨て社会」だった。
生き残った企業は、収益が元に戻ってリストラ(首切り)による人件費のコスト削減
効果がでた、そして空前の利益をあげるに至った。
つまり、パイの大きさだけで見れば、小泉政権になって失われた5年間が元に戻
ったにすぎない。これがいざなぎ景気以来の好景気の実体ということになる。いざなみ
いざなぎの命は、これをみてなんとコメントするのだろうか。
次に実質GDPについてだが、2000年の501.3兆円が05年には、538.9兆円に
上昇している。約37兆円増えたことになります。年平均成長率に直して、1.5パーセ
ントということになります。これでいざなぎ?ですか。
名目GDP*100/GDPデフレーター=実質GDP、つまり、名目GDPをGDPデフレータで
割った値に100を掛けると、実質GDPが得られます。05年の名目GDPは502.9兆円、
これを実質GDPで表すと538.9兆円に膨れあがる。
これをわかりやすく言えば、2005年の或家庭の年間収入が502.9万であったが、デ
フレによって約7パーセント分36万円だけ、実質的に収入が増えたはずだ。だから、この
家庭の実質収入は539万円になったということです。もらってもいないのに、36万円
余計に収入が増えたという理屈です。
私はこれは、単なる上げ底に過ぎないと思うが、皆さんはどう思いますか。
そもそもデフレによる恩恵は、収入が大きければ大きいほど大きい、収入が少なければ
少ない家庭ほど小さい。つまり、収入格差拡大の要因になっている。具体的に説明するの
はもう止めましょう。
日銀が、ゼロ金利政策を解除する方針を表明した。05年のGDPデフレータは93.3
で過去5年間でデフレ率が最も大きい。何故このタイミングで解除なのか?原油高の影
響で06年は、インフレになることを恐れているのだろうか、さっぱり訳がわからない。
もともと、ゼロ金利政策など資本主義国にあるまじき最悪の政策だった。ゼロ金利策を採
るのではなく、景気浮揚策(個人収入を増やす)を採っておれば必要のない策だった。
金利の上げ下げはタイミングが重要である。最悪のタイミングでゼロ金利を解除して、
日本の景気を押さえ込もうとしているように見える。一体日銀とは何者ですか、愚者の集団
ですかね。
蛇足1:ツーランドットのブーイング
小泉首相が4月3日夜、東京都内のサントリーホールでオペラ「ツーランドット」をトリノ五
輪フィギュアーの金メダリスト荒川静香選手と鑑賞した。その時TVのニュースでみた荒川
選手の笑顔が、なんとなくぎこちなくみえた(心からの笑顔ではなかった?)。
ところで、ネット上
で江川紹子さんの本件に関連する記事が紹介されていた。これを読んで、荒川静香のぎこ
ちない笑顔に納得した。江川さんの記事、出だしの部分を紹介しよう。
””いやはや、すごいブーイングの嵐でした。
これまで音楽会やオペラで、こんな激しく長いブーイングは、聞いたことがありません。
しかも、このブーイングがあったのは、公演が始まる前のこと。・・・・・ 2階席の最前列
に小泉さんが現れたのですが、なんと荒川静香選手を伴っていました。その姿が見えた
途端、すさまじいブーイングが起きたのでした。””
小泉首相のみえすいたパフォーマンスも、知る人ぞ知るところとなっている。だが上述
の件は、TVも新聞も一切ブーイング報道なし。マスコミのごますりは、「忍ぶれど
ネットに出にけり 我が媚は ものや思うと 人の問うまで」と言ったところか。
本来なら満場の拍手で迎えられたであろう荒川さんにはお気の毒と言うしかない。
過去5年間で、全国で40のスケートリンクが閉鎖されたという。景気の悪化で利用客が
減少し次々と閉鎖に追い込まれていった。底辺が広がらない限り、才能ある選手を見出す
ことはできない。
荒川静香選手を育てた仙台のリンクも2004年12月に閉鎖され、荒川選手も心を痛めて
いるという。景気回復の陰で、不況の話が多いのは、今の景気が庶民に届いていないこと
を裏付けている。
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