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2006/04/13の紙面より
http://www.nnn.co.jp/rondan/tisin/060413.html
小泉自民党政府が「改革」という響きのよい言葉を多用して進めている規制緩和と民営化によって、長い時間と税金を使って国民のために作られてきた社会基盤が少しずつ切り崩され、そのサービスを失う者、それによって利益を手にする者と、まさに小泉首相の目指す格差社会に日本は変ぼうしつつある。
郵貯など国外流出
改革という言葉だけを聞くと、現状に満足している一部の既得権益者の持てる権利を、大多数の何も持たない人々の手に移すような印象を与える。しかし実際は、すでに権力とお金を持っている一部の人々の手に、さらにより多くの富を集める仕組みだということは、日本に先んじて民営化や規制緩和が行われてきた国の状況を見れば明白である。
金融規制緩和以降、日本人の貯金が海外に流出してきたことについては日銀のデータなどを基に指摘してきたが、今回小泉首相が民営化したい郵便貯金と簡易保険も、これまで国債や地方債など日本の債券市場で運用されていたが、銀行と同じく日本国外、主に米国に流出することは間違いない。日米間の国債利回りの差や金利の差をみれば、民営化で新しくその地位についた民間経営者が利潤追求をすることは当然だからだ。
平成十五年度、与党自民党が行った証券税制改正のキャッチフレーズは“貯蓄から投資へ”だった。超低金利政策と税制を大幅に簡素化、軽減することで日本の個人資産を、貯蓄から株式投資に向かわせようというものだ。投資は「自己責任」が前提だが、運がよければ個人投資家が株の誤発注で二十数億円稼ぐこともできるマネーゲームを推進したのである。
来年に民営化を控えた日本郵政公社は、最近の報道では合理化という名の下、郵便局の統廃合の準備に入ったという。郵政関係者のコメントは業務の拠点を集約するだけでサービス低下はないというが、公社が発表した郵便局別の損益試算では、全国でかなりの数の局が赤字であり、利益を追求する民間企業になればそれらの赤字局がどうなるかは時間の問題だろう。
電力価格が高騰
民営化といえば引き合いに出さずにいられないのは米国の電力会社である。二〇〇三年に起きた大停電も規制緩和、そして民営化の結果であることを否定する者はいないだろう。電力市場が規制緩和された米国では一九九〇年代に入って、電力取引の自由化を促進するためにさまざまな政策がとられた。九〇年代後半には安い燃料だとされる天然ガスを使った発電所がいくつも建設された。
今、規制緩和された州と、されなかった州の電気料金を比べると、規制されている州の電力小売価格のほうが、規制のない州よりも安いか、値上がりの速度もずっと遅い。ウォールストリートジャーナル紙によれば二〇〇四年十一月から二〇〇五年十一月に、全米のエネルギー料金は平均28%値上がりし、テキサス州は80%も上がっている。原油高騰が原因かといえばそうではなく、例えば米国では半数の発電所が石炭を使用しているが、それらの発電所は天然ガスや原油を使う発電所ほど値上がりはしておらず、民営化されなかった州の電力料金の値上げ幅は一けた止まりである。
理論上は、自由競争になれば民間の電力会社は無駄のない効率よい経営によって、より安く運営を行い、消費者に安く電力を供給するはずだったが、現実にもたらされたのは停電にみられるようなシステムの不安定さと、電力価格の高騰だった。
電力は必需品であり、高騰しても使わないわけにはいかない。人々はほかの出費を抑えるなど節約してでも電気は使う。電力高騰で誰がもうかったのかといえば、言うまでもなく民間の電力会社だ。電力価格の規制が撤廃され、自由に値上げが可能になったからである。二〇〇二年から二〇〇五年の間に、電力会社の株は米国の全株式平均の約二倍値上がりしている。
しわ寄せは国民に
郵政民営化には、郵貯と簡保合わせて三百五十兆円という大きな金庫を開けるという側面とともに、電力と同じく国民にとって重要な郵便制度に大きな影響を及ぼす。
郵便局をコンビニと競合させれば利便性が増すという小泉・竹中スキームがとんでもない話であることは、民営先進国の現状をみれば明らかだし、いままで税金を払っていない郵政が民営化されれば、国の財政に貢献すると竹中大臣は主張するが、民営化された郵貯で不良債権が膨らめば、公的資金、つまり、また税金が使われることになりかねない。いずれにしてもこの民営化のしわ寄せは、働く一般国民がかぶることだけは間違いない。(アシスト代表取締役)
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