★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK20 > 1207.html
 ★阿修羅♪
イラク開戦3年目に親米・右派文化人に問う( JANJAN 2006/04/14 )
http://www.asyura2.com/0601/senkyo20/msg/1207.html
投稿者 gataro 日時 2006 年 4 月 14 日 19:22:31: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://www.janjan.jp/column/0604/0604122293/1.php?PHPSESSID=511d585355b6a453a5f90458481b3f45 から転載。

 イラク戦争勃発から3年経過したが、この間明確になった最も重要な事実は、言うまでもなく米英両首脳によってたびたび繰り返された旧フセイン政権の「大量破壊兵器」や「テロリストとのつながり」といった武力行使の名目が、すべてウソであったことだろう。

 この事実自体、結局両国政府とも認めざるをえない結果になったが、昨年5月と6月の2回にわたリ英『サンデー・タイムズ』紙に暴露された有名な「ダウニング・ストリート・メモ」と呼ばれる開戦前の英国首相官邸における秘密会議(2002年7月23日)記録では、「テロと大量破壊兵器に関する情報と事実は、(フセインの)追放という方針に合わせて仕組まれつつある」と明記されている。最初から口実や国連安保理などおかまいなしに、戦争を仕掛けるつもりであったことが良くわかる。(The Secret Downing Street Memo【http://www.whatreallyhappened.com/IMAGES/dsmemo.pdf】)

 さらにこの3月27日に米『ニューヨーク・タイムズ』紙が掲載したD・マニング英首相主席外交顧問のメモ(2003年1月31日)でも、開戦前の国連安保理において米国が実現しようとし失敗した武力容認決議はもとより、当時進められていたイラク国内における大量破壊兵器の査察とまったく「無関係に」、「ブッシュ大統領がブレア英首相に対しイラクに侵攻する意志を決定したと明らかにしていた」事実が示されている。(Bush Was Set on Path to War, Memo by British Adviser Says【http://www.commondreams.org/headlines06/0327-05.htm】)

 両首脳のこうした戦争犯罪については別途論じられねばならないが、現在問われねばならないのは、最初からウソだったこうした口実を根拠として開戦前にこの無法な侵略戦争を正当化し、「日本も協力すべきだ」などと盛んに煽っていた右派文化人の奇妙な沈黙である。すでにおびただしいイラク国民の血が流されている現状に対し、彼らはどのように責任を取るつもりなのか。

 「当時はウソだとわからなかった」などとは言わせない。1991年から98年までUNSCOM(国連大量破壊兵器査察特別委員会)主任査察官としてイラクで活動した経験のあるスコット・リッター氏は、開戦前に来日して現在振り返ってもほぼ100%の確立でブッシュ政権の「大量破壊兵器」に関する主張がウソであることを言い当てていた。何よりもこの問題について当時査察にあたり、最も情報を有していたUNMOVIC(国連大量破壊兵器監視検証査察委員会)やIAEA(国際原子力機関)とも、米英の主張を裏付けるいかなる情報も提示していなかったはずだ。要は日頃「国益」だの「民族」だのを口にしたがる彼らは、結局盲目的にブッシュ政権の口真似をしていたに過ぎなかったのだ。

 その典型が、橋爪大三郎・東京工業大学教授だろう。『諸君!』03年5月の「アメリカの『敏』、日本の『鈍』」なる記事によると、「アメリカが大量破壊兵器で攻撃される前に、『ならず者国家』を先制攻撃することは、自衛戦争であり、正当である」と主張する。ありもしない「兵器」でどうやって「攻撃」するのか知りたいが、「アメリカがイラク戦争を正当化すれば、それが新しい国際法になる」とまで口走ると仰天してしまう。西部劇の保安官よろしく、「俺が法律だ」式の世界になっていいとこの人は本気で思っているのか。

 同じ親米派ながらここまで愚かではないものの、北岡伸一・東京大学教授(当時)は、『産経』と並んで戦争支持に徹した『読売』の03年2月12日付「論壇思潮」で、「(イラクは化学兵器を)保有しているのは確実だし、核兵器の開発も断念していない可能性が高い」という前提で、「アメリカがイラク攻撃に踏み切った場合、日本には支持または理解以外に方法はない」と説く。この程度まで言わないと後に国連次席大使に栄転できなかったのかも知れないが、「学者」なら少しは自分の言説に責任を持とうという意識はないのか。

 この『読売』は、戦争反対のデモすら報道せず従来以上に日米支配層の「広報紙」に徹したが、3月22日付夕刊に掲載された坂元一哉・大阪大学教授の「イラク戦争『支持』は妥当」という論文は同紙の論調と符合するものだったに違いない。何しろ「この戦争は同盟国アメリカの安全保障にかかわる戦争である」というのだから。

 今となっては当のアメリカ人すら信じない話だが、「反米主義の独裁者が、大量破壊兵器を保持し続けて、新たな『過激主義と技術の結合』の脅威を生み出す」という認識はいかがなものだろう。「国際政治学」者なら、80年代にイランと戦争したイラクの「独裁者」に対し、ありとあらゆる「大量破壊兵器」やその製造技術を供与したのが当のアメリカであったという事実ぐらいは知っているはずだが、それなら「脅威」などと騒ぎ立てる筋合いではあるまい。

 田中明彦・東大教授も同様。03年3月9日の同紙「インタビュー イラク危機」で、「大量破壊兵器がわずかでもテロ組織に流れたら、もはや抑止力は効かない」から、「イラクの完全な武装解除を果たせずに米国が手を引く事態になれば、国際秩序に与える影響は計り知れない」のだそうだ。(次ページへ続く)

(成澤宗男)

次のページ(http://www.janjan.jp/column/0604/0604122293/2.php

そんなに「大量破壊兵器」が心配なら、イラク国民が米軍によって浴びせられた劣化ウラン弾や、核に次ぐ破壊力がある気化爆弾、クラスター爆弾といった数々の「大量破壊兵器」はどうなるのか。実際の戦争被害者に対する意図的な無視は、親米派の特徴のようだ。

 『読売』ほどひどくはなかったのが『毎日』だが、その03年3月17日付に掲載された猪口孝・東京大学教授(当時)の「米国支持を堅持せよ」という「提言」にはあきれる。「なぜ武力行使が認められるか。人類に奉ずる規範や価値を尊重する動きを世界的なものにしなければならない」と主張しているのだ。

 あえて「イラクは国連決議を無視し、大量破壊兵器を保有する重大な違反を12年間続けている」といった基本的な事実認識の間違いは別にして、ウソの名目で、しかも考える限りの残虐な方法で無辜の人々を殺戮する行為が、なぜ「人類に奉ずる規範や価値を尊重する動き」とつながるのだろう。

 事実認識という点で触れておかなければならないのは、前述した『諸君!』と同じ号に登場する中西寛・京都大学教授の「アメリカの力と道徳的信念」という論文についてだ。「フセイン政権が……大量破壊兵器を開発、保有している疑いは濃厚である」という点については繰り返さないとしても、「イラク問題についても、半年の時間をかけて国際社会の説得に当たったことは、アメリカの意思と能力から考えれば、驚くほどの粘りを示した」とは何のことか。

 開戦1ヶ月前にパウエル米国務長官(当時)がパネルなどを持ち出して国連安保理で演じた、「大量破壊兵器の証拠展示」もそうした「説得」の一環なのだろうか。これについては本人自身が、安保理登場前に演説原稿を渡されて「これはイカサマだ」と怒鳴ったエピソードが伝えられているが、「イカサマ」を本物らしく見せかけようといくら努力しようが、他人が「驚くほどの粘り」などと褒めそやす筋合いではないだろう。

 それでも以上の人々は、「学者」らしい節度をまだ感じられるのは確かだ。だがそうしたスタイルとは一線を画すまでのアジテーターとして、今や親米派というよりは極右の代表格になっている中西輝政・京都大学教授の言説にも耳を傾けてみよう。『Voice』03年2月号には、「自衛隊は米軍とともに闘え」という論文が掲載されている。

 自分がイラクに行くわけでもないのにやたらと勇ましい題名の割には、「国連がアメリカのイラク攻撃を容認することは、イラクに対する査察決議を見れば明らかである」などと、02年11月に採択された安保理決議1441の内容もろくに知ってはなさそうだ。

 しかも『諸君!』03年3月号での西尾幹二・電気通信大学名誉教授の対談「戦機熟す秋」では、イラクで「アメリカの提供した軍事情報に基づいて化学兵器用の空弾頭が見つかっています」などというガセネタを披露しているのもいただけない。この「学者」によれば「日本人はみな、国益というものにかつてよりも無関心になっている」(『Voice』の同論文)そうだが、他国の言うことばかり聞いてそこからの「情報」も疑うことをしないのは、決して「国益」にはならないはずだ。

 同じ類のアジテーターとしては、中西教授よりもはるかに年季を積んでいるのが渡部昇一・上智大学名誉教授だが、さらに首を傾げてしまう。『Voice』03年5月号の「アメリカ幕府が始まった」でも、例のごとく「(イラクに)本来あってはならない大量破壊兵器が出てきたわけで、これだけで十分な攻撃理由になる」などと、見当はずれの言説を堂々と披露する。もし「出てきた」ならば、今頃ブッシュ政権の支持率はもう少しアップしていただろうが、おかしいのは事実認識だけではない。

 「国連安保理の採択を得ないまま今回の攻撃に踏み切った」その「事情」というのが、ふるっている。「イラク周辺にはすでに、10万人以上の米軍を中心とした部隊が配備されていた」ので、「これだけの大軍を何もしないまま、何カ月も駐留させておくことはできない」からなのだそうだ。「配備」は米英が勝手にやったことなのに、なぜそれが国連を無視して攻撃できる「事情」になるのだろう。

 「学者」ではないが、中西・渡部両氏以上にいくら親米派でも簡単には納得できないような珍論・暴論を当時吐いていた人々にも触れる必要がある。まず、キッシンジャーとの「仲」が売り物らしい日高義樹元NHKワシントン支局長。『Voice』03年5月号の「『反米平和』が日本を滅ぼす」によれば、「そもそも対イラク戦争でアメリカのブッシュ政権が求めたのは、たんなる石油ではなく、アメリカが好きなことをやってのけるための正当性なのである」と、あたかもそれが当然であるかのように解説する。

 「好きなことをやってのけ」たいのなら国連も国際法もいらないし、事実米国はそのようにふるまったが、ネオコンあたりならともかく、なぜ日本人がこんな発言をしたがるのか。ブッシュの「目標」が「中東のテロリストの親玉を押さえ込んでアメリカの力を示すこと」だの「中東の石油地帯をアメリカのものとする」(同誌2月号)などと得意気に注釈に及んでいるのを見ると、かの国では内心歓迎されていない黄色人種なのに、同じ事を口にすることで無意識的に米国人になりたがろうとする典型的な親米派の悲しい姿が浮かんでくる。

 「元」は付かず現職のマスコミ人だが、『産経』の古森義久記者からもそんな姿がにじみ出る。開戦が「(イラクが)大量破壊兵器の材料やミサイルを隠し」たからだとか、「アメリカがついに国際連合という手段をあきらめ」たなどと書いたり、ブッシュの「イラクの脅威に関する問題に国連とともに対処しようと努めてきた。平和理に解決したいと願ったからだ」などというウソを延々と紹介したのが『Voice』03年5月号の「さらば、国際連合」だが、今どうのように弁明するつもりなのだろう。

 同誌3月号での石原慎太郎との対談「イラク攻撃は日本の好機だ」でも、ブッシュは「嘘をつかない」という「基本的な考え方と信念の強さ」があるなど、当の米国人が聞いたら笑うような発言を大真面目にしているが、そこでの肩書きが「国際ジャーナリスト」となっているのは何かの間違いではないのか。権力と距離を取るのがそのように名乗のれる前提条件だが、間違いだらけの事実認識も逆に米国の権力者を疑わない姿勢から生まれているのに違いない。

 再度繰り返す。イラク開戦から3年経った今日、上記の人々に問われているのは自分の言説に対する責任意識の有無である。それが寡聞にして沈黙と頬被りしか見あたらない現状では、日本で大量殺戮の旗振り役を演じた人々の「学問」や「知識」ではなく、人間性自体を疑わざるを得ないではないだろうか。

(成澤宗男)


 次へ  前へ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK20掲示板


  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。