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辛口時評060412
受信料不払い罰則検討に待った!『放送メディアの歴史と理論』抜粋
本日、2006年4月12日、日経朝刊の一面トップ、5段抜きの超大見出しは、「NHK受信料、不払いに罰則検討」であった。
三面には「きょうのことば」欄に「各国の受信料制度の比較」がある。イギリス「略式起訴による有罪判決に基づく罰金」、フランス「05年から住民税と一括徴収」が、具体例である。この方向への世論誘導を図っているのである。
これは重大事態である。やたらと忙しいことになった。
以下、まずは、夕刊の記事も含む阿修羅・政治・NHK・掲示板への投稿である。
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日経【NHK受信料・カラ出張・批判の電話相次ぐ・根拠は何?】
http://www.asyura2.com/0601/senkyo20/msg/1130.html
投稿者 木村愛二 日時 2006 年 4 月 12 日 19:45:28: CjMHiEP28ibKM
日経【NHK受信料・カラ出張・批判の電話相次ぐ・根拠は何?】
間が良いというか悪いというか、以下、朝刊2、夕刊2記事。
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http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060412AT3S1101J11042006.html
NHK受信料、不払いに罰則検討・総務省、値下げも視野
総務省は受信料収入が急減したNHKの経営再建に向け、受信料支払いを法律で義務付け、不払いに罰則を科す案を検討する。不払いが全世帯の3割に達し、払っている視聴者との不平等を放置するのは適切ではないとの判断だ。強制的な受信料徴収には放送法の改正が必要。同省はNHKが保有するチャンネル数の削減などによる経費圧縮、受信料値下げも打ち出すことで理解を得たい考えだが、与野党から異論も予想され、国民的な論議を巻き起こしそうだ。
総務省は竹中平蔵総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」でNHK論議を進め、政府が6月にまとめる「骨太方針2006」に反映させたい考え。早ければ来年の通常国会に放送法改正案を提出する段取りを想定する。(07:00)
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http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060412AT1G1103L11042006.html
NHKプロデューサー、カラ出張で1700万円着服
NHKは11日、報道局スポーツ報道センターの大下哲史チーフプロデューサー(43)が5年余りの間に242件のカラ出張を繰り返し、計1760万円を着服していたと発表した。近く警視庁に届け出る方針。NHKは同日付で懲戒免職処分にしたほか、当時の上司ら10人を出勤停止7日などの懲戒処分、原田豊彦放送総局長と石村英二郎副総局長を減給にした。
NHKによると同チーフプロデューサーは札幌放送局と同報道センターでスポーツ担当をしていた2001年1月から今年4月まで、国内出張名目でカラ出張していた。
NHKでは制作費の水増しやカラ出張が相次いで発覚したことを受け、04年から出張精算時にホテルの領収書や航空券の運賃請求書などの添付を義務づけた。だが、同チーフプロデューサーは、札幌赴任中には、自宅がある東京での宿泊を装い出張先のホテル領収書の提出を逃れたり、いったん航空券を購入した後払い戻すなどの工作をしていたという。 (22:41)
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http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060412STXKD025412042006.html
NHK職員着服、視聴者から批判の電話相次ぐ
NHKスポーツ報道センターのチーフプロデューサーがカラ出張を繰り返し、約1762万円を着服していた問題で、NHKの視聴者コールセンター(東京)には12日正午までに、視聴者らから批判など約410件の意見が電話で寄せられた。
NHKによると、「なぜ、このように不祥事が相次ぐのか」といった怒りの声や「襟を正せ」「真剣に反省してほしい」などの厳しい注文が多数を占めた。
中には「再生の取り組みを見守るので頑張ってほしい」という励ましもあったという。
NHKの橋本元一会長は午前7時すぎのニュースで「受信料が視聴者の皆さまからお預かりした公金だという一番大切な意識をさらに徹底させます。誠にすみませんでした」と謝罪し、深々と頭を下げた。〔共同〕 (14:54)
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http://smartwoman.nikkei.co.jp/news/article.aspx?id=20060412n1000n1
[TV]NHK受信料の根拠は何?
なぜNHK受信料を払わなきゃいけないの?
NHK受信契約を求める根拠は放送法第32条にあるとされる。しかし、最近はNHKの受信料不払い問題の広がりをきっかけに、受信料支払いが本当に「義務」であるのかどうかを含めた議論が起きている。そもそも受信料支払いを法的にどう位置付けるかについては、必ずしも明確ではない要素がある。
1950年に施行された放送法は「NHKの放送を受信できる受信設備(テレビ)を設置した者はNHKとの間で受信契約をしなければならない」という趣旨の定めを盛り込んでいる(第32条)。テレビを買えば、NHKと契約を結ぶ義務が生じると理解できる規定だ。
つまり、テレビを持っていれば、受信料を支払わなければならない建前で、たとえNHKは見ない人でも、自宅にテレビを置いた瞬間、契約義務が発生すると解釈できる。「NHKは見ませんから」という断り文句をNHK側が受け入れないことを許す理由になっている。
しかし、放送法が義務づけているのは、受信の「契約」であって、「支払い」そのものではない。支払い義務はNHKと受信者が結んだ契約に基づいて発生する。放送法でNHKとの契約を求める部分に、支払いの罰則規定はない。支払っていない人のケースはNHKと契約したのに支払っていないケースと、そもそも契約していないケースの2種類に分かれる。NHKとの契約は、NHKの契約書に押印して成立する。
[4月12日]
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以下は、昨年は発表した拙著『放送メディアの歴史と理論』の「冒頭陳述・NHK受信料の歴史と問題点の抜粋である。
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昨年、二〇〇四年七月の紅白歌合戦チーフ・プロデューサー醜聞暴露以来、「契約者」の中での「不払い」も激増した。合わせると、「受信料を払っていない世帯・事業者は千三百五十七万件」(右の日経記事)に達したのである。
NHKの受信料の実態が、これほどまでに露呈したのは、史上空前の事態である。
『日本経済新聞』は、以上の長大記事掲載の翌日(二〇〇五年九月二二日、イギリスのBBCの実情を報じた。受信料に関する解説に曰く、《英国では違反者に懲役刑を含む罰則を設けるなど受信料支払い義務を徹底している》。
『NHK腐食研究』の著者と名乗って、NHKの広報に電話すると普段とは大いに違って、非常に丁重で素直な応答であった。最近の状況の反映で、困って切っているのである。「法的措置」に関して、「未契約」をどうするのかと聞くと、すぐに、イギリスの例を持ち出したが、「NHKは放送事業者なので自ら提案はできない」と答えた。
放送現場の問題にも詳しい弁護士に、NHKの「法的手段」の可能性について聞くと、その返事は、まさに、「にべない」ものであった。「罰則がなければ駄目です」。
新たな立法」ともなれば、国政レベルの重大事態である。つまり、この史上空前の事態に際して、いかにして、「公共放送を維持し、活用するかという難問題の解決への道は、「有権者」の認識いかんにかかっているのである。
本書、『放送メディアの歴史と理論』「終章 送信者へのコペルニクス的転回の道」では、「NHKの抜本改革には、オランダ、さらには欧米諸国の実例にならい、放送団体が放送時間を分割する方式が、理想的」と主張する。
最良、理想的な公共放送の活用は、「受信者」から「送信者」へのコペルニクス的転換である。これは、今から二四年前の一九八一年に発行した『NHK腐食研究』以来、各所で発表し続けてきた意見である。
オランダ、イギリス、フランス、イタリアでは、放送制度の改革は、国政を揺るがす事態となった。これまでの日本の放送制度が無風状態だったのは、官僚、NHK、新聞、民放の事態の処理の仕方が巧妙だったのではあるが、同時に、電波の主権者としての「有権者」の認識が、いかにも低水準だったからである。日本の放送の開闢以来、溜まりに溜まった矛盾が、今、初めて一挙に爆発しているのである。
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折から、私も維持会員の一人である民放労連のプロジェクト、メディア総研から、「放送レポート200号記念のシンポジウム」が、今月、2006年4月22日に開かれるという案内が届いた。
私は、『放送レポート』の前身、『おしゃべりアンテナ』を、1965年4月1日に創刊した労組の責任者である。
以下は、その状況を記した拙著『電波メディアの神話』の『おしゃべりアンテナ』に関する部分の抜粋である。
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http://www.jca.apc.org/~altmedka/denpa-0-3-1.html
『電波メディアの神話』(木村愛二、緑風出版、1994年)
序 章 電波メディア再発見に千載一遇のチャンス
『おしゃべりアンテナ』創刊三十周年を目前にして
一九六〇年代のなかばに私は、民放労連関東甲信越地方連合会の執行委員として、「放送の反動化に反対し、民主化をかちとる闘い」というかたくるしい任務を担当した。当時は国際的にも放送制度改革への動きが高揚していた。「電波は国民のものだ」とか「受け手は永遠に受け手のままにとどまるのか。送り手と受け手の区別を固定すべきではない」などという青くさい議論をおおまじめにたたかわしたものだ。
その間、民放キー局労組の担当執行委員らと共同で『おしゃべりアンテナ』というタブロイド版で四頁の新聞を発行しはじめた。赤茶けた創刊第一号をさがし出して見ると、発行の日付は一九六五年四月一日である。来年(九五年)には創刊三十周年を迎えることになる。当時の仲間に声をかけて記念の集りをしたいなどと思う。創刊第一号の記事には日経連、ひそかに放送番組へ圧力/名ざしのモニター報告で革新色しめ出しはかる/マル 秘要務令」などという生々しい見出しもある。仲間の一人が日経連から放送局幹部に送られてきたマル秘文書を入手して、次のようにまとめたものだ。
「ここに、日経連弘報部発行の『放送調査資料』というタイプ印刷の文書がある。ワラ半紙半分の大きさで二十数頁ギッシリその一週間に東京の各局から放送されたあらゆるテレビ、ラジオ番組から、テーマごとにその内容、発言者、取り扱い方などが逐一報告されている。(中略)号数からみて、この文書は安保(私の注・日米安全保障条約改訂)直後の一九六〇年から発行されたものとみられる。(中略)(以下、資料からの引用)『佐藤首相訪米に対する評価』(中略)(上記に関して)『TBSが局全体としてかなり濃厚に否定的な方向を示しているのが、目立った。(中略)今週にあらわれた外交関係の諸論調を通観してみると、革新的傾向のものと保守的傾向のものと二つの傾向があらわれているが、全体としては前者の方がやや多いことが分る(後略)』」
当時の放送番組弾圧事件の数々については、『放送レポート』の一二一号(93・3/4合併号、隔月刊)と一二二号(93・5/6)の連載「検証!放送中止事件四〇年/テレビは何を伝えることを拒 んだか」(上・下)で特集している。私は、関東甲信越地方連合会の執行委員になる以前にも、九州のRKB毎日で放送中止になった『ひとりっ子』という家城巳代治作の芸術祭参加作品のスライドを地域で上映しては、放送局内部の実情を訴えたり、『ひとりっ子』の放送を求める署名運動に取り組んだりしていた。その延長線上に『おしゃべりアンテナ』の発行があったのだが、組合に支出予算がないため、「おしゃべりアンテナの会」とい う有志発行の形式にして、自主販売でまかなうことにした。その後、私は別の部署にかわわったので直接編集に関係したのは第四号までだが、『おしゃべりアンテナ』は都合一八号(ほかに号外もある)まで発行されている。名前が先行した会のほうは、その間、『ひとりっ子』のシナリオを書いた映画監督の家城巳代治を会長、東大助教授(当時)の稲葉三千男と法政大助教授(当時)の佐藤毅を副会長に迎えて視聴者と結ぶ運動を展開し、一九六七年には日本ジャーナリスト会議の奨励賞を受けるまでにいたった。
『おしゃべりアンテナ』の伝統は現在、民放労連本部がバックアップする編集委員会発行の『放送レポート』にひきつがれ、さらには今年(九四年)三月一二日に結成された「メディア総合研究所」へと『放送レポート』ごとバトンタッチされているが、「会」の方は解散したまま今日にいたっている。会員の一部は別に「放送市民の会」を結成したが、組織運動としては、発展せずに消滅した。その間、理論活動の発展にもかかわらず、放送局内部の実情は、椿発言に象徴されるように悪化の一途をたどった。職場の運動と市民運動との連携についても、一部に例外はあるものの、全体としては低調である。
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そこで、放送レポート200号記念のシンポジウム」の当日、『おしゃべりアンテナ』創刊号のコピーを無料配布する予定で、原本を取り出した。
すると、その4面には、「放送法改正上の論点」と題する長文の記事が掲載されていた。以下の著書がある放送評論家、瓜生忠夫の署名記事である。
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『放送産業』(副題:その日本における発展の特異性)
瓜生忠夫著、法政大学出版局、昭和40(1965)年。
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「放送法改正上の論点」と題する記事の小見出しだけを紹介すると、「委員会行政はNHKに有利」、「受信料独占の合法化はかる」、「地域サービスもNHK第一」、「無責任な答申と立法」である。
受信料に関しては、「政府から独立し、NHK、民放からも超越した特殊な独立行政委員会としての放送委員会がこれを徴収して、これを『日本の放送の発展のために』使用するということにならなければならぬのである」としている。
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いよいよ、受信料に」関する歴史と理論の議論が不可欠である。
以下も、拙著『放送メディアの歴史と理論』の「冒頭陳述・NHK受信料の歴史と問題点の抜粋である。
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収入源 「受信装置者から一定料金の徴収、広告は許さず」
一見して明らかなように、目下、議論沸騰の受信料問題の爆弾を抱える今日のNHKの路線は、ここに敷かれたのである。
「受信装置者」が使用する「受信機」に関しては、以下の「規則」があった。
《「規則」では、聴取用の受信機は逓信省(通信局)の「型式証明」を受けなければならないことになっていた。これではアマチュアの組み立てた受信機は省令違反となり、これでラジオを聴くことは盗聴ということになる(一九六五年版『日本放送史』一六頁)》。
《聴取料の法的な規定について逓信省は独特な処理をした。一九二二年(大一一)にイギリスで始まった聴取料制度では、政府が聴取料を集めて放送局に交付する形をとった。この制度を日本で採用するには特別な法律が必要であり、既述のように、逓信省は放送のための特別立法を避け、現行法規の中で処理したかった。そこで考えられたのが放送局と聴取者が取りかわす“私法上の聴取契約”であった。聴取者はラジオを聴く場合、それぞれの放送局の「聴取承諾書」、後の「聴取契約書」を添えなければならないことにした。つまり、聴取者が聴取料を払うという“私法上の聴取契約”を放送局と結ばないかぎり、ラジオ設置の許可(施設特許)が逓信局から下りず、違反すれば無許可聴取として無線電信法の罰則が適用されることになった(一九六五年版『日本放送史』一六〜一七頁)》。
戦前の日本の当時の「無線電信法の罰則」は、本書の歴史編で述べるように、「厳罰」であった。「厳罰」を背景として「契約」がかわされたのである。戦後になって、無線電信法は廃止された。
(無線電信法 第二十一条 不法に無線電信、無線電話に関する料金を免れ、または他人をしてこれを免れしめたる者は、二百円以下の罰金に処す。)
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「受信料不払い罰則検討」には、大声で、「待った!」を掛けて、激論を展開あいなければならないのである。
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