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□<縦並び社会・格差の源流に迫る>市場は万能か|毎日新聞
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/regulation.html?d=12mainichiF0413m017&cat=2&typ=t
<縦並び社会・格差の源流に迫る>市場は万能か (毎日新聞)
7階建てマンションの1階から子どもの歓声が消えた。神戸市東灘区の住宅街。株式会社が運営する「すくすく保育園」は3月末に閉園した。
認可保育所の運営は自治体か社会福祉法人に限られていたが、オリックス会長、宮内義彦氏が委員長を務めた「規制改革委員会」が民間への開放を提言。00年から株式会社やNPOの参入が可能になり、この保育園も01年7月に開園した。
しかし、遊具や絵本の不足、前日調理した給食の使用が問題になる。国が負担する運営費約4900万円も外車購入や社長の家族の給与に流用されていた。
2人の男児を別の保育園に移した父親(44)は「保育士も次々に辞めるし、もうけ優先に感じた」と憤る。認可した同市子育て支援部は「運営する企業の実態を見極めるのは正直難しい」と言う。一方、名古屋市は「保育は福祉事業。営利企業にはなじまない」と今も企業参入を規制する。
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小泉内閣が「官から民へ」と推し進める規制緩和路線。市場の競争原理は万能なのか。
昨年6月、国会は会社法の審議が大詰めを迎えていた。法案では、外国企業が日本国内の子会社を通じて日本企業を買収しやすくする「三角合併」が解禁される。自民党は企業の買収防衛策を聴くため、ライブドアの堀江貴文前社長を招いた。だが堀江前社長はとうとうと持論を述べた。
「日本も大買収時代を迎える。外資脅威論は時代遅れだ」「市場のルールには関心はない。我々は利益を合法的に追求する」。いつもの「弱肉強食」の論理だった。
法案は成立したが「三角合併」に関する規定は結局、自民党議員や経済界の反対で1年間凍結された。米国でも33州で、合併される会社側の事前承認が必要とする防衛策が法律で規定されている。
それでも小泉純一郎首相は国会で「外資歓迎論」を力説した。「(外資の参入は)日本経済に活力を与え、経営者にも刺激を与えるという気持ちを持たないと日本は島国だけで終わる」
市場原理を重視する考え方は、今の規制改革・民間開放推進会議の前から色濃く現れてきた。
99年秋、当時の規制改革委員会では茨城県東海村の臨界事故について委員の1人がこう述べている。「(原子力関連施設には)厳しいチェックが必要だと言うが、公にやらせてきた結果、事故が起きているのではないか。能力の優れた民間に任せるべきではないか」
05年には、不当に安い価格による商品の販売を独占禁止法が禁じていることへの批判さえ噴出した。「1円だろうが安ければ安いほどいいという当たり前の原理を貫徹すべきではないか」
宮内会議が提言し、公共サービスの分野を民間に開放する「市場化テスト」は05年に始まり、国民年金保険料の徴収や職業訓練など八つのモデル事業が実施されている。
「官から民へ」。このキャッチフレーズを初めて使ったのは、中曽根康弘・行政管理庁長官の肝いりで81年に発足した第2次臨時行政調査会(土光臨調、会長・土光敏夫経団連名誉会長)だ。国鉄や電電公社の民営化を実現させた。
臨調の事務局にいた鈴木良男・旭リサーチセンター会長によると、当時は「規制緩和」という言葉はなく、「(官庁が出す)許認可の整理合理化」と呼ばれた。鈴木氏が行政管理庁に「どんな検討材料があるか」と尋ねても、7項目しか挙げてこなかったという。
規制緩和に向けて大きく動き出すのは95年、村山内閣が作った行政改革委員会規制緩和小委員会といわれる。今も宮内会議の議長代理を務める鈴木氏は「バブル崩壊後、日本経済を再建しようとあがくために、(企業の手足を縛る)規制から自由になる必要があった」と振り返る。
格差の拡大には目をつぶり、経済効果を期待した規制緩和は、果たして成功したと言えるのか。鈴木氏は「規制はきれいに取った。でも(規制緩和した業界に)新たな企業人が出てこない。IT関連を除けばそれを残念ながら認めざるを得ない」と言い、こう続けた。「笛吹けど踊らずだ」
[毎日新聞4月12日]
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