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2006.4.9
小沢民主党の課題
4月7日の民主党代表選は、小沢一郎氏と菅直人氏という二人の実力者の戦いとなったが、小沢一郎氏が勝った。小沢氏の最大の勝因は「未知数の魅力」だ。何をするのかわからないことが小沢氏の勝因となった。
菅氏は、小沢氏と比べると、今までと違うやり方をとる可能性が低いと見られた。
菅氏は今までの民主党のシンボル的存在だった。鳩山、菅、岡田、前原の4名の代表のもとで、民主党は野党第一党としての存在感を示すことができなかった。菅氏のイメージは鳩山、岡田、前原とあまり変わらない。ここに菅氏の最大の敗因があった。
偽メール事件で民主党は未熟なコドモ政党的イメージになってしまった。民主党の再建にはこの未熟イメージの克服が必要、と皆が考えた。この点で、キャリアにまさる60代の小沢氏の代表就任のほうが転換イメージは一歩優る。民主党のイメージチェンジの面において小沢氏のほうが一枚上だった。
政策面では、小沢氏の考えははっきりしていない。小沢氏の10年前の主張に変化がないとすると、小泉首相とあまり変わらないことになる。日米同盟、規制緩和と自己責任確立、小さな政府・官僚支配の排除などの政策において、大筋では小泉政治との違いはない。小沢氏の基本政策理念が10年前と本質的に変わっていないとすると、小沢民主党が時代の変化についていけないということも起こり得る。時代は「脱小泉」に向かって動き始めているからだ。
しかし、もう一つの見方がある。「小沢は10年前の小沢ではない。以前よりもずっと柔軟であり、小泉政権への対抗心は非常に強い」というのだ。このとおりなら、小沢民主党は小泉政権と対決し戦う野党第一党となる。こうなると政治は緊迫感を増す。
小沢民主党の課題は何か。第一に、野党第一党らしい野党になることだ。野党第一党らしさとは、政治権力のミスをきびしく批判し、過ちを正すことにある。今までの民主党には批判精神と批判能力が欠けていた。
第二に、小泉政権に対して基本的な政治理念で対決することだ。小泉政権の外交・安保政策は、米ブッシュ政権に従うことを基本としてきた。従来の民主党はこの小泉政権の従属路線に同調してきた。ここに今までの民主党の根本的過ちがあった。わが国は独立国であり、独立国として行動すべきである。民主党は日本の独立を回復するため、小泉政権と戦わなければならない。
第三に、小沢民主党は国内の社会経済政策で小泉政権と対決すべきだ。小泉政権の国内政策の基本は、市場原理主義グローバリズムを全面的に日本に導入し、日本を米国型社会経済システムの国に変えることにある。市場原理主義を日本の社会経済の基本に据えるための改革が小泉構造改革だった。
この結果、わが国の社会経済は大きく変貌した。総中流社会は崩壊し、階級・階層社会へ移行しつつある。国民はごく少数の富裕層と大多数の貧困層に分裂した。 中央(東京)と地方との格差拡大は著しい。日本は繁栄する東京と衰退する地方に分裂し、地方は中央によって切り捨てられた。
大企業と中小零細企業の格差も拡大している。競争万能主義の横行が、競争力の弱い中小零細企業を容赦なく襲う。わが国は中小零細企業の国だ。この日本で中小零細企業が滅びつつある。ごく一部の恵まれた中小零細企業は大企業の中に吸収されるが、そうでない中小零細企業は倒産に追い込まれている。
小沢民主党はこの現実に目を向け、社会経済政策の大転換を主張すべきである。とくに小泉構造改革のひずみとしての中央と地方、大企業と中小零細企業、富裕層と貧困層の間の格差を縮小させるために、政策転換を推進しなければならない。
これらの政策を大胆に実行するなら、小沢一郎登場の意味は大いにあるといえよう。
【以上は4月8日付四国新聞に「森田実の政局観測」として掲載された小論です】
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C02577.HTML
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