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3月31日朝の放送でした。聞き取り違いがあればご容赦下さい。
イラクでの米軍兵士の死者2314人、戦費も3000億ドルを超した。戦費も嵩んで05年度財政赤字3185億ドル、経常収支の赤字8049億ドル、いわゆる双子の赤字と言ってきたのが1兆1000億ドルを超す。常識的に考えれば機能不全に陥っても不思議ではないアメリカ経済のはずなのだが奇妙なことにアメリカ経済好調なのだ。昨年のGDP成長率も失速するのではという大方の予想を裏切って3.5%という高い成長を実現して今年も3%台の成長をするだろうと見られている。理論的に言うと失速していても不思議ではない統計数字が出てくるのになぜ持ちこたえているか。
まず一点目として戦争経済という要素が重いなとつくづく思う。要するに軍事産業にお金が回っている。2000年クリントン政権最後の年に2945億ドルだった軍事費が06年度には5359億ドル、来年の予算はさらに増やすだろうという局面になっている。9.11から5年間でそれまでの冷戦が終わって軍事費の削減という時代から一変して軍事産業を軸にした産業構造、いわゆる産軍複合体に対置してきた。戦争というのは非常に不幸な要素だし、まったく巨大な消耗なのだが景気を押し上げるという要素においては現実にポジティブに働くということ。
もう一つより重要なことは世界最大の債務国であるアメリカが破綻しない資金流入、世界から資金が入ってくるメカニズムを考えてみる必要がある。冷戦が終わってから、アメリカにお金が流れ込んでいるという構図が続いていると言われていた。経常収支の赤字を垂れ流してもそれを補って余りある資本収支の黒字という形で世界中からアメリカに資金が入ってくる。ところが2004年、流入よりも流出が多くなりアメリカにだけ世界の資金が吸い込まれる状況ではないという不安感がおこりはじめた。昨年どうなったんだろうと注目されたが、結果驚いたことに資本収支の黒字が前年よりも2000億ドルも多い、流入過小は続いているが前年よりもわずか180億ドルぐらいですんだ。いったいこれはなんだろうというとアメリカという国はある面で戦略的な国で、グリーンスパンが金利を上げた、年初の2.25から年末には4.25まで2ポイントも上げた。日本がゼロ金利なのに対して金利差によって世界の資金を魅力的なものとして引き寄せる。もう一つは思い切ったことをやった、ホームグラウンド投資法を成立させてアメリカの多国籍企業で海外に展開しているところから本国にお金を送金したら税制面でものすごく有利だというインセンティブをかけた。これで約3000億ドルぐらいの金を環流させただろうという。そういった戦略的な政策をとったことによって瞬間風速かも知れないがお金を引き寄せた。その事によってアメリカという国は産業の実力以上の過剰消費社会であり、産業の本来持っている実力以上の軍事力を持っていると言われているが、世界の資金がアメリカに回るという形で支えている構図がよりくっきり見えてきた。
アメリカの外貨準備高は昨年末でわずか651億ドルしかない。日本は8469億ドル、中国にいたっては先月日本を追い抜いたと言われ8500億ドル、韓国も2100億台、つまり東アジアの3国で2兆ドル近い外貨準備を持っているのに比べてアメリカはわずか651億ドル。非常に危うい構造なのだが、基軸通貨国であるアメリカは金融不安には陥らないという構造もあって、とにかくアメリカにアメリカにと経常収支の赤字を補って余りあるお金が回っているからアメリカという国は回転しているという不思議な構図になっている。
そこで我々日本人として気が付かなければいけないのはアメリカはそういう構図を続けているから2004年末の段階しか分からないが2兆5000億ドルの対外純負債という借金国であり、日本は世界一の対外純資産を1兆8000億ドルもっている、統計上は世界一の金持ち国家。世界最大の債務国であるアメリカが隆々としていて、世界最大の債権国である日本が、なにやら失われた10年などを続けてきてようやく最近良くなったかと言われても不安材料を抱えている。日本の資産が効果的に使われていないという事だけは確かなので、何もアメリカが悪いという訳ではない。要するに日米は不思議な相関関係の中でもたれ合っている。我々としては、黒字大国として蓄積してきた、自分たちで額に汗して溜めてきた資産をどうやってこの国の将来のために使うかというテーマが浮かび上がってくるわけで、アメリカ側の問題というより日本側の問題がものすごく大きい。これから問われるのは先ほど東アジアの外貨準備が2兆ドルと言ったが、こういう資産をアジアの安定のためにとか、アジア太平洋地域のためにより一層のたとえば環境問題とかエネルギーとかそういう問題解決のために使っていくかということがものすごく知恵が問われている。
要は非常に緻密な構造になって日米という経済関係が成り立っているということを我々理解しなければ行けないと思う。
―(アナウンサー)それだけにアメリカにあって日本にない戦略というもの、ここが鍵になりますね。
まったくそのとおりですね。
(投稿者)基地住民の声に耳もかさず国益のためと称してアメリカに従う日本、これでいいのか。
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