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<北海道えりも> 20業務民間丸投げの町―「しんぶん赤旗」  業務コストの低減と住民サービスの向上―受託業者「大新東」
http://www.asyura2.com/0601/senkyo20/msg/1059.html
投稿者 gataro 日時 2006 年 4 月 10 日 21:38:14: KbIx4LOvH6Ccw
 

いま「指定管理者制度」にもとづいて地方自治体が受託業者に各種業務を委託する動きが強まっています。受託業者はコストが下がる上に住民サービスも向上すると、宣伝していますが、その実態ははたしてどうなのでしょうか。20業務を民間に委託している北海道えりも町を例に、業者のHPと「しんぶん赤旗」の報道を見比べて比較検討してみましょう。小泉内閣の「官から民へ」の実像が浮かび上がってくるのではないでしょうか。


北海道えりも町の業務を受託しているのは大新東株式会社です。

「行財政改革」と「町おこし」のコンサルタントとしてHPで業務内容を説明しています。
http://www.shiteikanrisha.com/index.html

そこには「自治体からの受託業務実績」が誇らしげに列挙されています。
http://www.shiteikanrisha.com/results/index.html

北海道えりも町の受託例も出ています。
http://www.shiteikanrisha.com/example/index.html

前書きでは次のように謳っています。

大新東では平成16年4月、北海道えりも町から行政サービス業務を広範囲にわたって一括受託しました。

 これは、えりも町が行財政改革の柱として民間委託を据えたことに伴うもので、具体的には、町が嘱託職員制度を廃止し、これまで嘱託職員や臨時職員が行っていたスクールバスの運転、学校給食の調理、ゴミ収集業務、「襟裳岬風の館」の施設管理など20の業務を、当社に一括して委託したものです。
町が雇用していた嘱託職員、臨時職員(合計80人)は当社に転籍し、引き続きえりも町の業務にあたっています。

 当社が行政サービス業務を受託することにより、中期的に業務コストの低減が図られるばかりでなく、当社が長年培ってきたノウハウの導入によって住民サービスの向上も図られることが期待されています。

 正規職員が行うべき基幹業務以外のほぼすべての業務を全面的に、かつ一括して民間委託に踏み切るのは全国でも初めてのケースで、行政サービス業務を民間開放する先進事例として全国の自治体から注目されています。


対して「しんぶん赤旗」の報道は次のとおり(4月9日付1面と4面)。

公共サービスが危ない 清掃されない公衆トイレ

学校給食など二十にのぼる業務を職員も含めて民間企業に“丸投げ”した町があります。襟裳岬(えりもみさき)で知られる北海道えりも町。全国で初めて企業に一括委託してから二年、「官から民へ」を先んじた自治体でいま何が。

「役場を辞めて民間会社に移ってもらいます」

町の嘱託・臨時職員八十四人が突然、こう告げられたのは、二〇〇三年十二月末のことでした。

「えっ、解雇なの」「いえ、仕事も給料も変わりませんから」

「でも会社になるとどうなるか分からない」

説明会は重苦しい雰囲気に包まれました。

給食もゴミも

太平洋の海原から強風が吹き付け、沿岸に集落が点在する漁業が中心の人口六千人足らずの町です。

町は、「行政改革」の柱として保育所バス、学校給食、ゴミ収集、文化施設「風の館」管理など二十の業務を民間企業に委託、そこで働いていた臨時職員も一緒に転籍させました。地方交付税削減など財源不足に対処するというのが理由です。

受託したのは、“行政改革推進企業”を自称する「大新東(だいしんとう)」(東京・文京区)。日光江戸村など観光事業も手掛けていましたが、自治体の業務受託に特化し、昨年度は三百四十六億円の売上高をあげました。

創業者の野口勇前会長は民間委託を「自治体ビジネス」と呼び、一度受注すればあとは定年退職者が出るごとに(民間委託が)増えてくる」と社内報で語っています。

えりも町総務課は「民間企業のノウハウを活用して、臨時職員の人件費を抑えるとともに、サービス向上を図ろうと考えた」と説明します。

そのノウハウとは。職員の一人が証言します。

「給食では人員不足なのに何カ月も補充されませんでした。地元で買っていた備品も安いからと本州から取り寄せています。収益優先でこの先どうなるのか心配です」。

業務の手抜きも発覚。公衆トイレが何カ月も清掃されないまま放置されていました。日本共産党の小川悠紀弥町議の調べで分かりました。

残業代はゼロ

職員は待遇が変わり、十五人が退職しました。

「仕事も給与も変わらないといってたのに、職場は変わり、給料も一万円以上ダウン。困るといってもこれしか払えないといわれ断れなかった」

「人手が足りず、午後四時に終わる仕事が六時までかかる日が半年近く続きました。ところが残業代はなし。役場では払われていたのに」と訴える職員もいました。

大新東えりも営業所長は「賃金は本人了解で決めている。残業代も本人が申告すれば払っているはず」と説明します。

しかし、職員の一人は「定刻に終わったことにしてくれといわれ、断れなかった」と明かし、残業代がゼロの給与明細を見せました。

調理員の場合、元町職員は月給約十八万円ですが、新規採用だと約十三万円。大新東には委託料として毎年、二億一千五百万円が入りますが、元町職員が辞めた分だけ収益が増える仕組みです。予算四十五億円の町は千七百万円の経費削減を見込んだのに、約五百万円どまり。視察に訪れた自治体から「手本にならない」といわれました。

民間委託“節約にならない”

民間委託に賛成した町議の一人も「単に人を外の業者に移してピンハネさせただけ。節約にならず、地元のためにもなってない」と批判します。

漁師の片桐信一さん(五九)は「小泉さんは“官から民へ”というが、民間にやらせればいいというのは間違いだ。郵政民営化では身近な郵便局がなくなってしまう。行政は住民を守る責任を果たすべきだ」と話します。

それでも町は、公共施設の管理運営まで民間企業に委ねる「指定管理者制度」の導入など新たなコスト削減を検討しています。

その対象となる恐れがあるのが学校給食の「自校方式」です。各校で調理するのでなく、一カ所で調理する「センター方式」にして、コストを削減しようというのです。

しかし、自校方式には「子どもたちはおいしいといって喜んでいる。センター方式では冷めてしまうし、つくっている人の顔も見えない」(二児の母親)など町民の強い支持があります。

大新東は「収益は少ないが、一括委託第一号なので撤退は考えてない」といいますが、全国には撤退した自治体も。

奈良県野迫川村では、村公社のホテルを大新東が〇五年から三年契約で受託しましたが、一年で撤退しました。「赤字が出て今後、黒字になる見込みがない」というのが理由。民間まかせの危うさを示しています。

日本共産党の小川町議はこう話しています。

「委託しても公共サービスを保障する責任は自治体にある。民間委託の実態を調査し、民間まかせにできない教育や福祉などは委託を見直すなど住民生活を守る責任を果たすべきです」

えりも町の主な民間受託業務  保育所バス、福祉バス、ゴミ収集、学校給食、保育所給食、診療所給食、学校給食配送、ゴミ焼却場管理、風の館、学校用務員、学校事務補助、老人福祉寮、福祉センター、斎場、保育士、体育館・プール、高齢者センター、郷土資料館、役場事務、公衆便所

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