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社説
普天間修正合意・抜本的解決策にあらず/危険は残されたままだ
名護市と政府は、普天間飛行場代替施設の建設計画を修正合意した。従来案のバリエーションにこだわる名護市と、沿岸案の微修正で説得する政府の隔たりは大きかったが、その溝を埋める決定的な提案は2本の滑走路建設だった。名護市長は地元に戻り、住民に合意案を説明して理解を求めることになるが、なお曲折があろう。
この合意で、普天間移設問題は新たな段階を迎えたことになるが、釈然としない。結局は、辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部での微修正をめぐる協議に矮小化(わいしょうか)して協議を進めた政府の戦略にはまってしまった感がしてならないからだ。
小手先の回避対策
滑走路2本建設という提案は、政府にとっては起死回生の案といえよう。名護市が求めた辺野古区、豊原区、安部区の上空の飛行ルート回避を、2本の滑走路をV字型に配置することで可能にしたからである。確かに、風向きによって離陸用と着陸用を使い分けることによって、住宅地の上空通過を回避した。しかし、松田区の近くでは海岸線すれすれに飛行経路が設定されている。住宅地を外れているとはいえ、安部区周辺では飛行経路が陸域をかすめている。
航空機のトラブルは、多くの場合、操縦不能の状態と想定されるわけだから、完全な危険回避とはいえない。どんなに対策をとったとしても、基地が近接すれば、常に航空機事故のリスクを背負うことになる。名護市長は、当然そのことを理解した上での合意だろうから、万が一の事故の場合、計画を推し進めた政府とともに、責任の一端を負うことを覚悟しなければならない。
名護市が当初、政府に要求したのは日米間で昨年10月に合意した沿岸案を400メートル以上沖合に移す大幅修正だった。その理由は、安全性への懸念と騒音問題。安全性は滑走路の修正でクリアできたという認識に立ったとしても、騒音問題はどうなのか。また辺野古沖移転案で最大の問題となった環境保全は解決できるのか。
さらに県は今回の合意後もなお従来の方針堅持を表明している。その調整をどう進めるのか。
1998年に就任した稲嶺知事は、99年11月に辺野古沖を移設先に選定し、「軍民共用」と基地固定化の歯止めとなる「15年使用期限」を移設条件に掲げて、政府、名護市と軍民共用化を軸とした基本計画を策定した。今回の修正合意で2つの移設条件は完全に白紙化されたとみていいのか。
それを肯定するなら、基地固定化の歯止めとなる強力な手段が失われることになる。7日に署名された合意書にも、固定化に制限をかける文言は見当たらない。名護市民、周辺自治体住民、さらに県民は、恒久的な新たな基地建設を許容するのだろうか。
県外・国外移設がベスト
ここで決して忘れてならないのは、県民大多数の意向である、普天間飛行場の「県外・国外移設」である。
辺野古沖合案の変更、沿岸案の提示、それにかかる政府と名護市との修正の綱引きで、「辺野古地域への移設ありき」だけが一人歩きしてしまい、すべての論議がそれをベースに進められてしまった。
根本的に問題となっていたのは、基地の危険除去のはずである。
伊波洋一宜野湾市長も述べているが、辺野古沿岸への移設は、「普天間問題」を北部に持っていくだけにすぎない。住宅地の上空を飛行することは避けられたとしても、「危険」が移設地域に近寄ってくることだけは、まぎれもない事実である。
政府は、県外・国外移設をどれほど真剣に検討したのだろうか。今回の、名護市との協議過程で見られた根気強い姿勢を、県外・国外移設に向けることはできなかったのか。
経済的振興策を示しつつ、辺野古地域住民に、命にかかわる危険を押し付けたと見られても仕方ない。いくら国防のため、と説得されても、納得できるものではない。
普天間代替基地が、もし合意案の通りに移設されれば、子や孫の代まで固定化されてしまうことになるだろう。本当にそれでいいのか、いま一度、問いたい。
(4/8 9:45)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-12630-storytopic-11.html
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