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2006.2.12（その1）
2006年森田実政治日誌［85］
行き詰まった小泉外交――深まる国際的孤立／われわれは他国民に対して思いやりのない国民になってはならない
「夜郎自大」（史記）
［広い視野をもたないため、自分の力量を知らず、狭い世界で尊大にしていること、またそういう態度の人］（『成語大辞苑』、主婦と生活社刊参照）
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前漢の時代、中国の西南地方には少数民族の小国が多くあったが、そのなかで「夜郎国」（今の貴州国西部）は最も大きい国であった。さらにその西では「てん国」（今の雲南省。「てん」はさんずいに眞と書く）が最も大きく、前漢の武帝（前141−前87在位）が使者を派遣して帰属させようとしたとき、「てん国」の王が「『てん』と漢とどちらが大きいか」とたずね、夜郎国の王も同じ問いを発したという。どちらの国も自分の国が大国だと思っていて、広大な中国全土を支配する漢の強大さを知らなかったのである。（出典：同前）
国会中継を見て目立つことは、中国・韓国との関係と靖国参拝問題を語るときの小泉首相の異常な興奮ぶりである。
小泉首相の靖国神社参拝に抗議して小泉首相との首脳会談を拒否している中韓両国政府に対して、「理解できない」と叫びつづけている。この小泉首相の態度はどうみても異常である。
第二次大戦のＡ級戦犯を祀ってある靖国神社に参拝しつづけることが、第二次大戦で日本軍によって大きな被害を受けた中韓両国民の心をどんなに傷つけているか、小泉首相には理解できないのであろう。というより、理解しようとする心がないのであろう。小泉首相は、自らの靖国参拝が中韓両国民の心を傷つけていることが理解できないのである。
温かい心の持ち主なら、人を傷つけることはしないだろう。多くの人々を傷つけてまで、自らの行為の“正当性”のみを一方的に主張しつづけるようなことはできないだろう。
小泉首相の異常な行為を日本のマスコミが支持しつづけているため、海外からは大多数の日本国民はこの異常な小泉首相を支持しているように見られている。このため、海外からは日本人は身勝手な国民と見られている。冷たい心をもった小泉首相を礼讃しつづけているマスコミの罪は大きい。
健全な日本人は、小泉首相が中韓両国民を傷つける靖国参拝をつづけることはしてはならないことだと感じている。中国、韓国との国際関係を傷つけてまで靖国参拝にこだわりつづける小泉首相の“異常さ”に気づいている。だが、この日本人の健全さは海外には伝わらない。マスコミ（大新聞とテレビ）が、良識的な日本人が多数いることを報道せず、小泉首相の異常行動を支持しているからである。
小泉首相はさかんに「理解できない」との発言を繰り返しているが、これは小泉首相が独裁者的気分に浸っている証拠である。小泉首相は、自ら相手を理解する努力を放棄して開き直っている。小泉首相の傲慢さは目に余る。小泉首相は、なんがなんでも強引に自らの異常な姿勢を貫こうとしている。
これに対して、日本国民の多くは小泉首相の頑なな態度は変わらないと諦めてしまっている。政治家は小泉首相の退陣の時を待っている。この国民の諦めと政治家の無気力が、小泉首相という乱暴者をのさばらせている。
小泉首相の乱暴で異常な行動は、政界だけでなく、国民の健全な常識とモラルを乱している。日本国民全体が健全な常識と倫理を失い、小泉首相の“異常”に慣れてしまっている。
非常識な政治権力者の危険性はここにある。国民の大多数が健全な常識を失ってしまうのである。海外からは日本国民全体が非常識になったように見えてくる。
最近米国取材を終えて帰国した友人から、「ワシントンの対日空気が変わり始めている」という話を聞いた。靖国参拝にこだわる小泉首相への批判が米国指導者のなかに広がっているそうである。アジア諸国の指導層の間でも「小泉離れ」が進んでいる。アジア諸国のどの国の指導者も「今は、われわれは中国と日本との間で中立的姿勢をとっているが、それは今だけのこと。近い将来、われわれは中国の側に近づく」と語っているそうである。
小泉首相の過度の“こだわり”と頑なで異常な態度が、日本の国際的孤立化を招いている。われわれはこの首相の“異常さ”に気づかなければならない。われわれは思いやりのない国民になってはならないのである。
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