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2005年12月11日号 サンデー毎日
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/tokusyuu/news/20051202-162735.html
官製談合事件。成田国際空港(旧・新東京国際空港公団)から始まったこの問題は防衛施設庁、そして国立大学に飛び火しそうな雲行きだ。とりわけ施設庁をめぐっては、幹部の関与が急浮上している。東京地検がひそかに狙うターゲット・それは「南の島」と囁かれているのだ。
東京地検特捜部が大手企業を一斉に家宅捜索したのは、11月17日のことだった。
東芝、三菱電機、富士電機システムズ、明電舎、日新電機の重電メーカー5社の競売入札妨害容疑である。
直接の容疑は03年、旧空港公団が発注した受変電設備工事をめぐり、公団側が予定価格を業者側に伝え、業者間で事前に受注業者が決められたという「官製談合」だ。
これだけなら驚きはない。
しかし問題だったのは、同時に防衛施設庁東京防衛施設局(さいたま市)発注の電気設備工事をめぐり、これらメーカー間の入札調整を主導したとして東京都内のコンサルタント会社を捜索し、同社社長(53)の事情聴取に踏み切ったことから、にわかに「施設庁ルート」がクローズアップされたことだ。
関係者によると、このコンサルタント会社はメーカー側から手数料を取り、施設庁との「橋渡し」をしたとされる。社長は以前、防衛政務次官の経験もある元郵政相の秘書を務めていた。
社長の知人が言う。
「やり手という印象だよ。東京と地元・北海道を年中、行ったり来たりしていた。2年ほど前に訪ねてきて、西日本にある防衛施設局の局長を『表敬訪問するので紹介してほしい』と頼まれたので、紹介したことがある。ただ、どちらかといえば、施設庁より旧郵政省の仕事が中心だったはず。施設庁絡みで捜索を受けたと聞いて驚いた」
この社長は22日、「当社が談合に関与した事実はないと確信している」というコメントを出した。
一方、防衛庁関係者によると、捜索を受けたメーカーを含む重電6社が受注した東京防衛施設局発注工事は、00〜04年度までの過去5年間で計17件。総額は40億3300万円に上る。03年度までは2億〜6億円程度で推移してきたのが、04年度には一気に22億8900万円と突出している。
驚くのは、予定価格に対する落札額の割合(落札率)である。
平均で99・2%に達し、01年度の硫黄島発電機新設工事(明電舎)や02年度の市ヶ谷15号館発電設備新設電気その他の工事(東芝)、03年度の横田ボイラー発電機新設工事(富士電機システムズ)、入間電源施設整備電気工事(東芝)の4件は、なんと100%。同施設局が用意した予定価格と業者の落札価格がピタリ一致している。
こんなことは通常ありえないし、落札率が高ければ高いほど談合の疑いが強まるが、施設庁関係者は、
「発電施設は特殊な機器を使うため、業者から事前に見積もりを出させることになっている。予定価格は見積もりの中の最低価格から積算して決めるので、業者が予定価格に極めて近い金額を独自に計算することは可能だ」
と釈明する。その上で、「予定価格を決める際、施設局長の下で建設企画課の課長補佐クラスが補助する仕組みだ」と話す。
「事前に見積もりをメーカー側から出させる」というのは、にわかには理解しがたいが、一方で、この制度を現実に採用している以上、同施設局側が予定価格を業者側に漏らすメリットがあるのか、という疑問がわく。だが、特捜部が東京防衛施設局と重電メーカーとの関係を徹底追及しているのは間違いない。
それだけに「単なる談合事件にとどまらない」と事件の展開を見る向きが出ているのだ。
防衛行政に詳しい永田町関係者は、
「数人の施設庁幹部が捜査線上に浮上している」
と明かす。
旧空港公団の例でも分かる通り、捜査当局の狙いは言うまでもなく、役所が入札調整を主導する「官製談合」。発注権限を持つ担当者が予定価格を漏らし、それに基づいて業者側が落札者を事前に決める構図だ。
施設庁幹部が談合を主導したと認定されれば、今度はこの幹部が業者から賄賂を受け取っていなかったか特定の業者に便宜を図るよう国会議員やその周辺から指示されなかったか幹部に指示した国会議員やその周辺が業者から賄賂を受け取らなかったか・という問題が浮上する。
前出の元郵政相秘書のようなコンサルタント会社がヤクッションユの役割を果たしている可能性はあるにせよ、一気に「政界」まで司直のメスが及びかねない。
■“秘書ビジネス”標的に額賀氏3度目の悪夢も
そうした中、捜査関係者が注目する「場所」がある。
施設庁ルートで、疑惑が指摘されている幹部が以前勤務していた沖縄だ。
沖縄といえば基地の島だけに「施設庁発注工事も多い。ヤ南の島ユに捜査が及ぶ可能性も出て、最高幹部は震え上がっている」(別の防衛庁関係者)という。
ちなみに、重電メーカーによる談合疑惑では、施設庁ルートとは別にもうひとつ、「国立大学ルート」も浮上している。施設庁の構図と同じく、重電メーカーと大学の「橋渡し」をしたとして特捜部の聴取を受けたとされるのが、元文相の元事務所職員(45)だ。
文部科学省関係者によると、この元職員は「文部利権のドン」といわれた旧文部省OB(故人)に近く、施設庁絡みで事情聴取された前出の元郵政相秘書とも交遊があるという。
つまり、重電メーカーという業界の中で、限られた秘書仲間が、それぞれ防衛施設庁と文科省に絡む「利権」を分け合っていた疑いが持たれているのだ。
国会議員秘書によるヤビジネスユといえば、かつて衆院議員元秘書だったコンサルタント会社社長が、当時の徳島県知事ら地方自治体の首長に賄賂を贈った「業際都市開発研究所事件」が有名だが、今回の一連の疑惑は、重電メーカーを軸に、複数の役所にまたがったヤ秘書ビジネスユも標的になりそうだ。
話を「施設庁ルート」に戻そう。
沖縄の事情に詳しいあるコンサルタントは、
「沖縄利権は、複数の自民幹部の影響力が強い」
と指摘する。とくにゼネコン関係は「東日本選出の大臣経験者が力を持っている」とも明かす。
折しも、在日米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部移設問題で、額賀福志郎・防衛庁長官が沖縄県など地元自治体に対し、地元振興策を持ち出す代わりに移設案を受け入れるよう、懸命に説得している最中だ。
だが、その沖縄にからんでお膝元の防衛施設庁に不正があるとすれば、防衛庁旧調達実施本部(調本)を舞台にした汚職事件や旧ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団(KSD)事件で当時、防衛庁長官や経済財政担当相を辞職した額賀氏にとって、まさに3度目の「悪夢」になりかねない。
本誌・青木英一
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