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行政不服審査法の法理と懸念 − 実姉は細川律夫議員に相談を  【世に倦む日日】
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投稿者 愚民党 日時 2006 年 2 月 09 日 18:08:43: ogcGl0q1DMbpk
 

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【世に倦む日日】 http://critic2.exblog.jp/



行政不服審査法の法理と懸念 − 実姉は細川律夫議員に相談を

http://critic2.exblog.jp/2708582#2708582_1

「きっこのブログ」の往復書簡に登場する野口英昭の実姉は実物の可能性が高い。そう考える根拠は今週号の週刊現代の記事で、この記事を読むと往復書簡が本物である理由がよく分かる。「自殺」を不審に思っていた遺族は妻だけではなく、姉もまた警察の捜査や判断に疑問を抱いていた一人だった。週刊現代の記事は、その大部分が「野口さんの親戚のAさん」による語りの文章形式で埋められている。ところが記事の中身では、1/18の夕刻に沖縄県警から一報が入り、翌日の1/19の朝一番に沖縄入りして遺体と対面し、さらに同日の夕刻に琉球大学で監察医と面会して検視の結果を聞いている。現場に居合わせた人間でなければ証言できないリアルな内容であり、読みながら、この証言を語っている「親戚のAさん」というのが、実は妻と同行して一緒に那覇に飛んだ実姉本人であることが分かる。記事の証言によると那覇に行った遺族は妻と母と姉の三人で、1/19の午前5時に家を出て、羽田を午前6時半頃発の便で那覇に入っている。

私は前の記事で、週刊文春の記事に基づいて、1/18の夕刻に妻は那覇で監察医の説明を受けたと書いたが、それは週刊文春の取材ミスであり、実際には一日後の1/19だった。週刊現代の記事を読むと分かるが、実姉は妻以上に野口英昭の「自殺」を承服していない。沖縄県警の捜査情報に納得しておらず、そしてまたテレビ報道を信用していない。妻のようにテレビに出ず、週刊誌とブログで見解を発信しているのは、発言を恣意的に編集されてテレビに印象操作されるのを警戒しているためだろう。その判断は正解だ。ネットでも妻に対するいわれなき偏見や中傷が横溢している。テレビには安易に出ない方がいい。往復書簡によると、今回の問題に対して実姉は行政不服申立を提起するらしい。結構なことである。書簡では実姉は「地検に申請」すると言っているが、行政不服審査法による不服申立の手続きは、通常、上級行政庁に対して申請するものであるから、今回の場合は沖縄県警の上級行政庁である警察庁が申立を受ける窓口になる。

法律を読むと、実姉は、法律上「処分庁」である沖縄県警の行政処分に対して不服を申し立てる「審査請求者」という立場になり、不服申立書の書面を「審査庁」たる警察庁に提出し、審査請求を受理した警察庁の「検証」と「審理」を経て、沖縄県警から関係書類(検視報告書等)の提出を得たり、あるいは自殺判断(犯罪死否定)の処分の取消を得ることができる。法律を読めばそう書いているように読める。ところが、少し気になる部分があって、第4条に例外規定があり、不服申立ができない行政処分として、「6.刑事事件に関する法令に基づき、検察官、検察事務官又は司法警察職員が行なう処分」の項目がある。今回、沖縄県警が行った野口英昭の一件の検視と判断は、刑事訴訟法に基づいて司法警察職員が行った行政処分であるはずで、すなわち、この例外条項を盾に警察庁(審査庁)が不服申立書(審査請求)を受理しない可能性がある。法律で言う「司法警察職員」とは俗に言う警察官のことで、この場合は沖縄県警刑事第一課の刑事である。

果たしてきっこがレコメンドするように首尾よく行政不服申立(審査請求)が受理されるだろうか。この行政不服審査法は、基本的に紛争解決に裁判所が関与しない仕組みであり、訴える側の救済が行政機関内部での審査と裁決に委ねられている。裁判所が問題解決に関与するためには、言わばワンランク上のステージである行政事件訴訟法の抗告訴訟のところまで持って行かなくてはいけない。きっこが相談した弁護士はそこまで見据えているのかどうか不明だが、まず行政不服審査法で不服申立をして、そこで門前払いされ、第二段として行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟というステップが作戦配置されているのかも知れない。実姉がこのブログを見ていればアドバイスしたいが、ぜひ一昨日衆院予算委で質問した細川律夫の事務所に電話を入れて相談するといい。細川律夫は弁護士である。そして質問の前には野口英昭の妻とも連絡をとって情報を聞いている立場にある。さらに検視や司法解剖など犯罪捜査と法医学の専門領域について特に詳しい。

私は昨日(2/8)の記事で細川律夫の質問を批判したが、質問としては政府(警察庁)を動かす迫力は無かったけれど、政策論としては日本の治安行政について正鵠を射た議論が展開されていた。日本の自殺者数年間3万人の中で、果たして野口英昭のような「自殺」が何件あることか。実際のところ、組織暴力は警察の怠慢によって事実上免責免罪されていて、具体的に言えば、野口英昭のように暴力団の手で殺害された者は、何の監査もなしに自殺者として当局によって判断処理されてしまっている。暴力団に殺されたらそれで終わりだ。日本の警察行政は、口先では治安の回復を言いながら、こうして組織暴力の犠牲者を「自己責任」扱いにして、犠牲者の遺族の悲憤を公権力の手で強引に泣き寝入りさせている。今回はそれが特別大きな話題になっただけで、警察行政の中では日常茶飯だろう。刑事局長の縄田修の答弁は、暴力団に殺害された者まで警察は面倒を見ませんという基本方針の表明であり、暴力団に生命を狙われたら諦めろという国民に対する(毅然たる)メッセージである。

日本の治安回復を願う市民は、警察の怠慢と暴挙を許してはならない。警察と共謀して殺人を自殺にスリ替えたマスコミの情報工作を、絶対に許してはならない。遺族の行政不服申立を支持して断固支援しよう。


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