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捜査 思わぬ足踏み
耐震強度偽装事件
昨年末、全国百カ所以上という大規模な家宅捜索で幕を開けた耐震強度偽装事件の捜査が、長期化の様相を強めている。警視庁と千葉、神奈川県警の合同捜査本部は押収資料の分析と併せて、偽装建物の現場検証と関係者の事情聴取を進めている。だが、検証作業は強度不足で建物倒壊の恐れがあるとして、相次いで中断されたまま。一方、姉歯秀次・元一級建築士(48)以外の関係者は、偽装への関与を否定し続けている。マンション購入者を被害者とした詐欺容疑での立件を視野に入れての捜査だが、その“突破口”はまだ見えない。 (社会部・鷲野史彦)
姉歯氏の構造計算書偽造が実際の建物にどう反映されたか、偽装物件の耐震性能を調べる現場検証が、建物の解体に合わせて先月二十六日から東京都内で始まった。
対象は、港区の大門二丁目マンションと芝浦二丁目マンション、新宿区の西早稲田三丁目マンションの三件。検証は専門家の立ち会いの下で行われ、壁や柱をくり抜いてコンクリートの強度を調べる「コア抜き」、壁や梁(はり)を削って鉄筋の量や太さを調べる「はつり」などを行う予定だった。
ところが、一物件につき三−四日かかると見込まれていた検証は、すぐに中断に追い込まれた。「上層階の解体が終わらないのに下層階の柱や壁を壊すと、倒壊の危険があると判断された」(捜査幹部)ためだ。
宙に浮いた検証作業の再開は、解体スケジュールから一カ月先になる見通し。捜査幹部は「建物の耐震強度を調べるのは初めてで中断は想定外。検証に足を取られざるを得ない」と、捜査の長期化を示唆する。
建築基準法違反の公訴時効は建物の完成から三年だが、偽装と知って建設、販売すれば時効七年の詐欺罪が成立する。全容解明をにらむ捜査当局は三年以上前に完成したものを含め、主に耐震性が国の基準の50%を下回る物件を検証したい意向だ。
しかし、多くは解体計画が決まらず、検証のめどは立っていない。
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建築主ヒューザーや施工主木村建設の元社員ら関係者の事情聴取も進んでいる。構造計算書の改ざんは、いつ、誰が、どの程度知り得たのか。その解明に向けて百人以上から聴取する考えだ。
しかし、民間の指定確認検査機関のずさんな審査が捜査を、困難にしている実態が浮かんできた。国土交通省の聴聞に対し、複数の元請け設計業者が「姉歯氏の構造設計に不自然さを感じた」と明言しているのにもかかわらず、だ。
例えば、ヒューザーの元請け設計業者は二〇〇二年、あるマンションの建設に際し、以前から取引している構造設計士に構造計算を任せるつもりだった。だが、ヒューザー役員は「その設計士は過剰設計だ」として、木村建設の篠塚明元東京支店長(45)を通じて姉歯氏を紹介してきた。
姉歯氏の計算による設計図を見て、元請け設計業者は「柱が小さい」と指摘したものの、既に確認検査機関イーホームズは“ゴーサイン”を出していた。役員は「建築確認が下りている」と取り合わず、その後も姉歯氏に仕事を回し続けた。
「偽装の見過ごしは自治体の責任」と、十八自治体を相手に約百三十九億円の損害賠償請求訴訟を起こしたヒューザー。関係業者は建築確認を盾に、そろって「偽装には気付かなかった」と関与を否定している。
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詐欺容疑での捜査が難しいのは、建築主や施工主、元請け設計業者のそれぞれが「鉄筋をこれ以上減らせば、耐震性に問題が生じる」と認識していたことの証明が必要だからだ。明らかな故意はなくても、少なくとも「問題が生じてもやむを得ない」という“未必の故意”の立証が不可欠だと捜査当局はみている。
加えて「姉歯氏と業者らの共謀性の立証は容易ではない」と、白鴎大学法科大学院の土本武司教授(刑法)はみる。「関与した業者が一社であれば犯行の指示系統ははっきりする。しかし今回は建築主や施工業者、設計業者らが複雑に絡み合う」からだ。
捜査当局内部にさえ流れ始めた「難しい」との観測。それを打ち破るための地道な証拠の積み上げが続けられている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060209/mng_____kakushin000.shtml
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